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らせんの本棚

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SF、ファンタジー、実用書からマンガ、画集、絵本などなど、アトランダムに紹介するレビュー集。神楽坂らせんが読んで「グッ!」と来た本を不定期に紹介していきます。もちろんネタバレはな… もっと読む
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2020年2月の記事一覧

『大きな森の小さな家』レビュー

『大きな森の小さな家』 ローラ・インガルス・ワイルダー(著) 足沢 良子(訳) むかい ながまさ(画) ◇ これ、有名なアメリカのTVドラマ『大草原の小さな家』の前編にあたる本なんです。 日本でも昔『草原の少女ローラ』というタイトルで世界名作劇場でTVアニメ化したことがあるとか。ご存知の人もおられるかも? 冒頭で「むかしむかし、今から百年以上もまえ」と書かれています。原作では「今から六十年以上まえ」と書かれていたそう。原作が出版されたのは1932年ですから、193

『小学4年生の世界平和』レビュー

『小学4年生の世界平和』ジョン・ハンター(著)/伊藤真(訳) ――― 著者のジョン・ハンターさんは小学校の先生で、もう35年以上も先進的な授業を、4年生の優秀な生徒を集めた特別学級で続けています。 その特別な授業とは、生徒たち全員が『世界の指導者』となり、自分たちの『世界を平和』にするゲーム。その名も『ワールド・ピース・ゲーム』をする。という授業です。 ゲーム盤は立体的で、一辺が1.2メートルのアクリル板を4層重ねた構造になっています。積み重なる層は、下から海中/

『天冥の標』レビュー(?)

『天冥の標』小川 一水 (著) ◇ 今や日本SFを代表する作家、小川 一水先生渾身の大SF長編、『天冥の標』。2009年の第1巻刊行から足掛け10年、全10巻・17冊に及ぶ長編です。 作中はBC6000年くらいからAD2800年くらいまで(うん万年前のエピソードもあったっけ)というちょーロングスパンのタイムスケールで、舞台も地球どころかアステロイドに太陽系全域、果てはふたご座ミューに、いずことも知れない宇宙のかなたまで。時空間と人々が織りなす壮大なドラマ! この

『戦争は女の顔をしていない』レビュー

戦争は女の顔をしていない 1小梅 けいと (著), スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ(原著), 速水 螺旋人 (監修) ◇ 2015年にジャーナリストとして初めてノーベル文学賞を受賞したスヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチの主記である『戦争は女の顔をしていない』のコミックス版です。 この本を読むまでぜんぜん知りませんでしたが、ソ連では第二次世界大戦中、100万人をこえる女性が従軍し、看護婦や軍医としてのみならず本当に兵士として武器を手にして戦ったのだそうです。

『アンジュと頭獅王』レビュー

『アンジュと頭獅王』吉田修一(著) ◇ え? これって『あんじゅとずしおう』よね。ずしおうって頭獅王って書いたんだ、へえ。かっこいいんだ(てっきり厨子王だとおもってた……) あれっ? 表紙がヒグチユウコさんじゃないの! すてき! 『あんじゅとずしおう』の現代語訳なのかなー? と、いうのが第一印象。 開いてみると、めっちゃ素敵なヒグチユウコさんの扉絵が、和紙のようなトレーシングペーパーにうっすらと映える見返し。これは期待できます♡ そのままページをめくり本文にいた

『レンマ学』レビュー

『レンマ学』中沢 新一 (著) ◇ 中沢新一さんといえば私にとって『アースダイバー』のひと、なんですが、 『チベットのモーツァルト』『カイエ・ソバージュ』などの思想書・哲学書で有名な方のようです(そっちは未読><) レンマなんて耳慣れない響きの『学』ってなんなんでしょー。と手に取ってぱらぱらめくってみたらけっこう面白そう。むつかしそうだけれど知的好奇心をくすぐられ、熟読してしまいました。 この『レンマ』というのは、西洋哲学でいうところの『ロゴス』に対する対義語にあ

『アイデアたまごのそだてかた』レビュー

アイデアたまごのそだてかたコビ・ヤマダ (著), Kobi Yamada (著), メイ・ベソム (イラスト), Mae Besom (イラスト), 伊東奈美子 (翻訳) ――― 今回は絵本の紹介です。 もちろん絵本ですから、子供でも楽しめるかわいい絵柄の素敵な本です。 でも、子供「だけ」向けではありません。大人だって十分楽しめます。 むしろ、大人の人に読んでほしい。夢や、なにかちょっとしたアイデアを胸にしまい込んでいるうちに忘れてしまった人にこそ読んでほしい。

情報カードについて(そして関連アイテムや本の紹介)

メモ帳やダイアリーっていいですよね。けっこうみんないろいろこだわりあったりして。そういう情報をとどめておくノート系の文房具は大好きなのですわ~♡ で、私のこだわりや利用法はまたいつか書くとして、今日は「情報カード」についてすこしだけ紹介したいとおもいます。 種類情報カードの種類はたくさんありますが、わたし的によく使うのはこの2サイズ。 B6(128mm x 186mm)サイズ 5x3(125mm x 75mm)サイズ B6はいわゆる紙サイズ(A4とかB5とか)のB6で

『ワン・モア・ヌーク』レビュー

ワン・モア・ヌーク藤井太洋/著 ――― 2020年3月11日。 東京に、もう一度、核を。 9年前の震災で発生した福島原子力発電所の核による被害をもう忘れてしまったのか、それとも見たくないものを見ないようにしているだけなのか。今年の夏に迫ったオリンピック開催を目指して、しゃにむに突っ走る日本、そして東京。 リアルな「今・現在」がこの物語の舞台です。 プロローグこそ2018年8月の中東・シリアですが、物語の本編は東京、2020年3月11日までの5日間。3月11日午前