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医学書批評

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Rule #1 . 誰も取り上げない本を取り上げて褒める。 Rule #2 . みんなが褒めそうな本は、別の見地から褒める。
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書評を書いたよ:不明熱・不明炎症レジデントマニュアル

書評を書いたよ:不明熱・不明炎症レジデントマニュアル

Covid-19の波が世界を押し流していく。まさしく「パンデミック」の風景であるが、このパンデミックは各社会が内包する脆弱性を片端から明らかにしつつある。
本邦の診療現場においても、少なからぬ数の「システムエラー」が明らかになったが、その一つに「日常診療において『発熱患者』に対してどのようにワークアップすれば良いのか、きちんと理解して診療している医師は決して多くない」という不都合な事実がある。卒前

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「病名がなくてもできること」Amazonレビューを書いたよ

「病名がなくてもできること」Amazonレビューを書いたよ

以前に「カンファレンス思考」「ベッドサイド思考」という区分けを考えたことがある。
カンファレンスでは(叙述トリックのように重要情報を伏せる場合を除いて)情報収集が漏れなく行われ、適切な仕方で提示されていることが期待される。症例(特に内科領域のもの)は【現病歴】【既往歴】【併存症】【内服薬・アレルギー】などに腑分けされ、カンファレンス参加者はその「腑分けされた『症例』」について「鑑別診断」を考え、や

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場違いなレビューを書いた。

場違いなレビューを書いた。

「天」から学ぶ臨床推論 (Looking awry)

レビュー対象商品: 天-天和通りの快男児 5 highstone comic (Kindle版)

内科医が「医療マンガ」に分類されるマンガから学べることは殆どといってよいほど存在しない。ただ「こんな医者(研修医)いたら嫌だなぁ」という嘆息が漏れるのみである。

一方で、「天」をはじめとする福本伸行の諸作品は、「医療マンガ」には決して分類さ

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こんな書評を書いた。

こんな書評を書いた。

まず、全ての原著に和訳が付されているのが素晴らしい。
本邦の免疫学の系譜には大いなる先達・北里柴三郎に始まり、利根川進先生、審良静男先生、本庶佑先生を始めとした免疫学の「煌くようなスター」が多数いるが、「原著論文に和訳を付したものがAmazonで購入できる(分冊版あり)」のは、僅かに山中伸弥先生のiPS細胞・ノーベル賞受賞論文にとどまるのではないだろうか。
(利根川進先生に至っては、名前でAmaz

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