三日月の夜に

細い三日月が浮かぶ
グラデーションがキレイな淡い紺の夜
あの子は泣いていた

全部が欲しいと泣いていた

自分でもきっとわからないところで
いつだったかの不安を埋める作業を
無意識でしてる

私を見て
私のために生きて
私のために何ができる?

どれだけの理不尽を叩きつけても
あなたは私を捨てない?

まるでそう
そんなふうに見える

誤魔化した正しさは
いつだってほころびているのに
そんなこともお構いなしに
あの子は懸命に自分を守っている

私の中にはない感覚ばかり
私の中にはない思考
だからあの子が思う気持ちを
わかってあげれない
そんな悔しさが歯痒い

あの子のことを
全部丸ごといいんだよそうなんだねって
抱きしめたなら
あの子は少しでも楽になってくれるだろうか
そんなのは自己満で終わってしまうって
わかっているのに
あの子の楽がどこにあるのかを探してしまう

真実はわからない

何で?どうして?
訳わからないって
そんな言動で私を困らせる

それなのに私はあの子を嫌いになんてなれないし
どうでもいいと投げ捨てることもできない

それは大切な人の大切な人だからだけじゃない
それはあの子があの子だから

私のないものをたくさん持ってて
とても魅力的だから

嫌なものは嫌だと
あの子は簡単に言ってのける

そんな強さをどこで手に入れたの?
勝手な想像は真実に程遠いのかもしれない

わからないままで
あの子に触れてしまうと
きっとあの子を壊してしまうかもしれないし
私も壊れてしまだろう

だけどわかるのはあの子に出会ったことは
偶然でもなんでもなくて
ちゃんと必然だったってことは
遺伝子レベルで感じてる

苦しいよ、しんどいよ、

だってまともに事が進まないことの方が
多いんだから
そんな中であの子は足掻いてもがいてる
それがわかるから
どうにかしたいって思ってしまう

あの時に似てる

人ととの関わりの少ない私が
ちゃんと関わって
ちゃんと感じるものがある人は
そんなに多くない

みんな生まれてきてから
経験してきたことしか知らない
その中でしか生き方を見出せない

だけど、それ限りじゃない

あんな世界もこんな世界も
みんなあるんだよって
本当は言いたい

小さな世界だけで
生きて行くことを強いられてきたから

心地いい場所があるってことすら
幻になってしまう

本質から幸せになることを
恐れなくてもいい
罪悪感を感じなくてもいい

大丈夫だよと
あの子の背に手を重ねることがでたら

あの子はきっと笑ってくれるって
そう思う

ただその笑顔が
本当なのか偽物なのかは
わからない 

あの夜の下で
あの子は何を思い泣いていたのだろうか

きみはあの子を幸せにできるって
そんな確信は私にはあって
それでもきみはまだあの子を知らないままで
迷子になったみたいに
諦めと悲しみを見つめてる

この先の未来に
あの子と君の心からの笑顔があることを
信じてる

確信的に信じてる

見上げた三日月は
確かに未来を輝かせて笑ってた

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