戸惑い(世界と私25)

私たちはチーズをつまみに飲み始めた。

外は雨が降っていた。

雨の音と雨の匂いがなぜか心地良かった。

そして私たちはまた酔っていた。

「今何時?」

時計を見るともう10時近かった。

「もうすぐ10時です。」

シャンパン1本では足りなくて、
コンビニで安い赤ワインを買って飲んだので、
私たちはかなり酔っていた。

「そろそろ帰りましょう。」

私はテーブルを片付けて、
帰る準備を始めた。

「さっ!南さん帰りましょう、
大通りまで出たらタクシーいますよ!」

私はギャラリーの電気を消した、
すると南さんが後ろから私に抱きついて来た。

「今日は帰りたくない・・・」

「どうしたんですか?酔い過ぎですよ。」

私が振り返ると南さんは私にキスをして来た、
南さんの舌が私の舌に絡んで来た。

私は抵抗しなかった、
いや、抵抗出来なかった、
南さんはキスが上手かった。

南さんは私から離れて、
「なんで抵抗しないの?」と聞いて来た。

「えっ・・・・」

そして私の腕を掴んで、

「なんでいつも私があげたブレスレットをしてるの?」
と聞いて来た。

薄暗いギャラリーで南さんの表情が良くわからなかった。

「去年も抵抗しなかったよね!」

「去年のキス覚えてたんですか?」

「覚えてたよ。なんで抵抗しないの?
なんでブレスレットをしてるの?
私勘違いしちゃうよ!」

私は言葉が出て来なかった。

つづく


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