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火を吹く、切れ味抜群のラプソディの反撃を読む。(Rapsody - "Cleo")

Writer:@raq_reezy

こんにちは。

今回は、8月にリリースされたRapsodyの最新アルバム『Eve』から「Cleo」を解読したいと思います

Rapsodyは、がっつりとコンシャスなラップをするラッパーで、リリシストとして注目を集めています。

今回のアルバムは「女性をエンパワーメントする内容」ということで、曲名はRapsody自身が影響を受けた女性の名前となっています。

「Cleo」というのは、後ほども触れますが、『Set It Off』という映画に登場する女性のキャラクターです。

さて、それでは内容を見ていきましょう。

イントロ

To my real ones that know, this ain't for you
To  my enemies, it's still love all day
Everybody's  still growing and learning themselves, right?
My true story, yo

【意訳】
私のことをよく知ってるリアルなみんな、この曲はあなたのためじゃないわ
私の敵たちへ、それでも私は愛を持って接する
まだ、みんな成長してどう振舞うべきか学んでる最中、そうでしょ?
私の真実の物語

*この曲は仲間ではなくて、敵に向けられていると最初に述べています。攻撃的な内容になることが想像できます。

*また、攻撃的な内容を歌うものの、その目的は、敵も含めて成長途中である人たちを導くためのようです。

1バース目

Pondering, pondering how to approach
Some  of y'all sensitive, but y'all still need to know (Yeah)
Wonder  how a bunch of sheep can have opinions on a G.O.A.T. (How?)
We all on the same continent and off the same boat (Right)

【意訳】
どうアプローチすべきか、熟慮を繰り返す
お前たちの中にはセンシティブな奴もいるかもしれないけど、
やっぱりみんなが知っておくべき
どうして、羊の群れがG.O.A.T.に対してオピニオンを持てるっての?
私たちは、みんな同じ大陸の上にいて、同じボートから降りてきた

*ここでいうセンシティブというのは、賛否両論が別れるような、角の立つ話題を嫌うような層を指しています。そういう人が多いけれど、みんなが知っておくべきことだと述べられています。

*「G.O.A.T.」は「Greatest Of All Time(史上最高)」の略であり、ここでは自分がG.O.A.T.(史上最高のラッパー)だと歌っていることになります。また、「Goat」にはヤギという意味もあることから、他の人たちを「羊の群れ」に例えて、言葉遊びをしています。

Remember  early on, y'all ain't treat me all the same though (Uh-huh)
Used to question why the brothers even rocked with me for (Uh)
'Member y'all wondered, used to wonder 'bout Wonder
Question why they'd ever wanna push a black woman

【意訳】
覚えてる、最初の頃は、今と同じように扱ってはくれなかった
何のために、仲間が私とつるんでくれてるのかも分からなかった
みんな疑問に思ってた、9th Wonderはどうしちゃったの?って
どうして黒人女性なんかを売り出してるんだろうって

*9th Wonderは、Rapsodyを発掘・契約して売り出したプロデューサーであり、Rapsodyの恩人です。

*9th Wonderが最初にRapsodyと契約して面倒を見始めたとき、Rapsodyの才能に気づいていなかった周囲の人間は「9th Wonderは何をしているんだ」という反応をしていたことが分かります。

Niggas  on my label who ain't want me in the front end
Some sisters in the industry, y'all know y'all was frontin' (I know it)
Dressed too tomboy, rap too lyrical (You said it)
I can say more, the pain would bring a few tears to you (Hurt)

【意訳】
同じレーベルにも、私が前に立つのを嫌がる人たちがいた
業界の女性たちも「カッコつけてるって自分で分かってるでしょ」って言ってた
男勝りな服装にめちゃくちゃ詩的な歌詞
もっと言ってもいいけど、みんな痛すぎて泣いちゃうかも

*Rapsodyが男勝りな服装やラップで、グイグイと前に出ていくのを、良く思わない人たちがいたことが歌われています。

I shed a few, was booed bad in Fort Lauderdale (Uh)
Now I'm boo'd up, they boohoo 'cause I didn't fail
Know who you are, I was told names, never tell
The weight that I carried those summers, I'm never frail

【意訳】
私も少しは涙を流した
フォート・ローダーデールではひどいブーイングを浴びた
今では恋人同士になった、あいつら私が落ちていかなかったから泣き騒いでる
誰のことか分かってるでしょ、私はいくつか名前を伝えられたけど、絶対に言わない
何年も担いだ重み、私は絶対に虚弱にはならない

*前段で「もっと言ってもいいけど、痛すぎてみんな泣いちゃうかも」と自分のラップの切れ味をボースティングしていましたが、ここではRapsody自身がフォート・ローダーデールでブーイングを浴びて、涙を流したときの経験が歌われています。なお、フォート・ローダーデールはフロリダです。

*「boo'd up」はエラ・メイの曲が有名ですが「恋人同士になる」といった意味のようです。ここでは、以前はヒップホップリスナーたちがRapsodyにブーイングを飛ばしたこともあったけど、今ではRapsodyとヒップホップは相思相愛だという意味ではないでしょうか。

あわせて読みたい
表面よりもずっと深くにあるもの (Mustard - "Surface" ft. Ella Mai, Ty Dolla $ign)

*Rapsodyのことを悪く言っていた人の名前も把握しているようです。「あいつ、お前の悪口言ってたよ」みたいな、わざわざ本人に伝える人はどこの国にでもいるんですね(笑)。

Now they say I ain't elite (Who are they?)
On to the next
I don't take time to address opinions that ain't 9th, Dre, or Jay-Z (Right)
Only rap radars I need are them and the streets (Right)

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