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「ジョー・ブラックに会わせてやるよ」と自分への口撃を牽制するナズを読む。(和訳:Nas - "Meet Joe Black")

written by @raq_reezy

今回は、大ベテランのナズが突如としてリリースした『Magic』から、「Meet Joe Black」という曲を解読したいと思います。本作は全編Hit-Boyがプロデュースしています。

ジョー・ブラックといえば、後述しますが『ジョー・ブラックをよろしく』という映画に主人公として登場する死神ですね。演じたのはブラッド・ピット。

こちらの映画のタイトルを拝借した本作、どのような内容を歌っているのでしょうか。さっそく内容を見ていきましょう。

今回解読する曲
Nas - "Meet Joe Black"
Produced by Hit-Boy

1バース目

Why would I ever have to cop a chain again
When the QB chain birthed most the chains in the game?
No post office was stampin' time
Took out a slice out of the Big Apple, made apple pies, family sized

和訳:
なんで俺がもう一度チェーンを手にしなきゃいけないんだ
QBのチェーンがゲームに存在するほとんどのチェーンを生み出したのに
時間をスタンプしてる郵便局なんてなかった
大きなリンゴから一部を切り出してアップルパイを作った
ファミリーサイズさ

Nas - Meet Joe Black より

【解読】

*QBは「クイーンズ・ブリッジ」の略です。ニューヨークのクイーンズ地区とマンハッタン島を結ぶ橋がクイーンズ・ブリッジで、ナズはクイーンズの出身です。ナズは、地元をレップする意味でQBチェーンを身に付けています。

*「大きなリンゴ(Big Apple)」は、ニューヨークの別称です。ジョン・J・フィッツ・ジェラルドというスポーツライターによって、1920年代に広められました。ナズは「ニューヨークから成功を手にした様子」を「大きなリンゴからアップルパイを作った」と表現しています。

Leather bombers and Nike Sacais
Dangerous corners, you better pray that tomorrow arrives
Rap Sugar Ray Robinson, nothin' sweet
Y'all too out of shape to even box with me
Heavyweight, I know my way around the ring

和訳:
レザー・ボンバー・ジャケットとナイキ・サカイ
危険な曲がり角、明日が来るのを祈ることだな
ラップのシュガー・レイ・ロビンソン、甘くはないぜ
お前そもそも俺とボクシングするような体型でもねえだろ
ヘビー級、俺はリングでの振る舞い方を知っている

Nas - Meet Joe Black より

【解読】

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