北越急行の超低速スノータートル ナイトタートル ~夜のトンネル探検~に参加してきた話
こんにちは、スノーライトです。今回はタイトルの通り、北越急行のトンネル見学ツアー?に参加してきた話をまとめていきたいと思います。だいぶ長くなってしまいましたがお暇なときにどうぞ。
まず越後湯沢へ
スタートは北の玄関、大宮駅です。
今回は新幹線で行きます。JREポイントの使い道がここくらいしかないもので……。
ホームに上がるとどうみてもつばさななすのがいました。増結車として便利に使われてる……。
こちらのたにがわ413号に乗り一路越後湯沢まで行きます。停車駅は熊谷・本庄早稲田・高崎・上毛高原・終点越後湯沢、要するに各駅停車です。たにがわだからね、仕方ないね。
それでも62分で越後湯沢に到着。速すぎるぜ新幹線。在来線ならまだ高崎にすらたどり着けてないぞ。
越後湯沢駅から少し歩き、湯沢東映ホテルへ。ここでトンネル探検前に日帰り入浴をいただきます。実は駅の近くで21時まで日帰り入浴を受け付けているところがここくらいしかなかったんですよね。
ちなみに名前でお察しの通りあのザッパーンで有名な東映が運営しているホテルとなります。
館内もこんな感じに東映作品が押し出されています。ガルクラ要素が一つもなくてトゲトゲが出そうになりましたが。 そして肝心の風呂ですが、特に怪人が出てくるわけでもなく大浴場とでかい露天風呂という割と普通の構成でした。もちろんいい湯でした。
沐浴を済ませたところで、最終の直江津行でツアーの集合場所である六日町へ。
ホームに降りると同じツアー参加者と思わしき人が結構いました。まあみな考えることは同じですわな。
とここで偶然TwitterのFFの方と遭遇。まじかよ。六日町までの間少しばかりお話させていただきました。
FFの方と別れ六日町駅到着。ここで1時間の待ちです。なんで最終から1時間も空いてるんだと思ったらどうもほくほく線の六日町行最終と石打行最終が残っている模様。というか意地でも越後湯沢まで行きたくないのかこの最終列車たちは……。
しばらくすると受付が開始され、夜食とお茶と座席番号が書かれた乗車証をもらいました。
ツアースタート~旧津池変電所見学
23:30を回り、ホームへ移動してくださいとの指示がありホームへ移動。
六日町の車庫から今宵の宿、もといツアー列車が出庫してきました。
HK100系ゆめぞら仕様を使用してのツアー列車です。
この日のためのヘッドマークも装着されています。日付の横に運用中に日付が変わることを示す◯ヨが書いてあるのが芸コマですな。ちなみにこのヘッドマークはツアー中に希望者に抽選販売されるらしいです。すげえ。
運行案内にも臨時列車として表示されています。一応臨時列車扱いだからですかね。
23:40、定刻通りに六日町駅を発車。車内では北越急行の人によるツアーの説明が行われています。
六日町の次の魚沼丘陵駅までは徐行運転をしています。とはいっても景色は真っ暗ですが。一応関越自動車道を乗り越える際には案内があり、走る車のヘッドライトがきれいに見えましたな。
23:45に魚沼丘陵駅を通過し速度を上げながら赤倉トンネルへと突入。
23:57、定刻通りにトンネル駅、美佐島駅に到着。ここで旧津池変電所を見学し、その後しんざ駅まで赤倉トンネル内を歩行します。
変電所を見学している間にこのナイトタートルを十日町駅まで回送し線路閉鎖の措置を取る模様です。しんざ駅までの歩行が終わると十日町駅からまたしんざ駅まで回送され再び乗り込むことになるため、必要な荷物以外を車内においていくことができ、身軽な格好でトンネルを歩くことができます。地味にありがたい。
ちなみにこの美佐島駅ですが、皆さんご存知の通りホームと今現在押し込まれている通路、通路と駅舎までの階段を仕切る2枚の扉があり、エアロックのような状態となっています。以下ご存知でない方向け説明なのでご存知の方は飛ばしちゃってください。
階段を上がり駅の裏手にある旧津池変電所に到着。
この津池変電所は、かつてはくたか号が運行されていた時代に使用されていた変電所です。先述のようにはくたか号は時速160kmでぶっ飛ばすために結構な電力を消費するため、高々60km程度の距離のほくほく線の沿線にはこの大量の電力を架線に供給するために7箇所もの変電所が設置されていました。が、このはくたか号が廃止となり、電力の消費が大幅に減ったため、およそ半分にあたる3箇所の変電所の使用を取りやめました。その使用をとりやめた変電所のうちの一つがこの津池変電所となります。
立地しているのが豪雪地帯であるため、すべての機器が屋内に収納されています。そのため、このようにどの機器もきれいな状態で今も残っており、一応他所の変電所で故障が発生した際のスペアとして保管されているそうです。ちなみに社員さんいわく、送料さえもらえるならこれらの機器を差し上げるとのこと()。あなたのお宅にも真空遮断器1台いかがでしょうか?
ちなみにこの変電所、現役時代に豪雨で裏の山が崩れ、建屋内にまで土砂が侵入してきたことがあったそうな。その時ははくたかの廃止まであと数年でしたが、運行されている以上使用停止するわけにもいかないため復旧されたそうですが、一説にはこのような災害に弱い立地のために廃止対象に選ばれたとかなんとか。
とてもどうでもいい余談。本当はこういう大電力を消費する場合は新幹線と同様な交流電化を採用するのがベタなのですが、そもそも建設するときには電化するつもりがなかったせいでトンネル断面が小さく作られていたために絶縁離隔が取れずやむなく直流電化になったとか。まあもし交流電化になっていたら普通列車も高価で単行運転ができないけどはくたかから逃げるために仕方なく交直両用車か交流専用車にせざるを得なくて、結局はくたか廃止後に単行運転できる気動車化して架線が剥がされるオチが見えますが……。
変電所の右隣の空き地には、かつて変電所へ電力を供給していた東北電力の鉄塔があったそうですが、受電を停止して程なく撤去されたとのこと。今は空き地が残るばかりです。
およそ30分ほどの見学を終え、再び美佐島駅へ戻ります。いよいよ赤倉トンネルを実際に歩きます。
赤倉トンネル歩行~しんざ駅
さっき降りたときは気づきませんでしたが、美佐島駅のホームの向かい側に旧津池変電所から引き出されたケーブルの出口があります。今やただの穴ですが。
ちなみにこちらが、もともと電化を想定していなかったクソ狭トンネルの電化+時速160kmでの高速運転のための大電力給電+高速運転による架線の振動対策という問題を解決するため、特殊な架線支持金具+シンプルカテナリを2本並べたツインシンプルカテナリ+架線支持に滑車を用い振動を吸収という超重装備となった架線です。ごつい。
00:34、美佐島駅のホームの端の階段から軌道へ降り立ちます。
軌道に下りた後は1列になり、およそ5人に1人の間隔で北越急行の社員さんが挟まる形でしんざ駅までのおよそ2.2kmを1時間位かけて歩行していきます。
歩き始めてすぐの区間は変電所があったために電源を区切るためのエアセクションだったものが頭上にあります。そのため、架線が4本並ぶというなかなか壮観(?)な事になっています。
美佐島駅の範囲を示す停車場区域標の前を通過し、正式に美佐島駅を出発し駅間に突入します。
この300の標識は美佐島駅をオーバーランする事案が多発したために設置された、美佐島駅まで残り300mということを表すための標識だそうです。まあ線路が一直線で景色がずっとトンネルだったらそりゃ距離感も狂いますわな……。
美佐島駅の400m手前には開業当初から設置されている停車場接近標識が設けられています。
ATS-Pの地上子です。はくたかが運行されていた時代には列車本数が多く間隔を詰めるためにおよそ1500m間隔で閉塞が区切られていました。しかしはくたかが無くなり、通過待ちもなくなったため駅間に連続して同じ方向に列車が入ることが基本的になくなったため、列車交換可能駅間を1閉塞とする形に改められました。よーするに今は使われていません。
もともと信号があった場所にはこのように反射板と閉塞番号?が書かれた標識のみが残されています。この場合、第2閉塞信号機があったことを表していると思われます。
しんざ駅に停車する列車のブレーキを掛けはじめる目安の地点を表す標識だそうです。ちなみにここからしんざ駅までは1.3kmあります。徒歩だとまだ結構ある……。
曲線標を見る限りこの曲線の半径は2000mのようです。とてもゆるい。
ちなみにずっとこの軌道と排水路の間のアスファルトがはみ出た部分を歩いています。狭いね。
出口が近づいてきたところで、軌道がトンネル内ではよくあるスラブ軌道から砂利敷きのバラスト軌道に切り替わりました。一般的にスラブ軌道と比べてバラスト軌道の方が騒音を抑えることができるのですが、どうやらトンネルの出口付近に民家が多いため、騒音対策としてこうなっているそうです。ここのバラスト(砂利)は表面が固められているのですが、これは積雪期に時速160kmで走行する車体に付着した雪の塊が落下すると、その衝撃でバラストを跳ね上げ、床下の機器を破壊してしまうことがあるため、それを防ぐためにそうなっているんだそうで。確か東海道新幹線の雪がよく降る関ヶ原の付近でも似たような対策をしているという話を聞いたことがあったような。
01:37、赤倉トンネルを脱出ししんざ駅へ到着。
ちなみになぜひらがなの駅名となっているのかといいますと、周辺の地名は新座なのですが、これだと埼玉県の武蔵野線にある新座駅(こちらは「にいざ」)と表記が丸かぶりになるためだそうです。
01:47、十日町駅で待機していたスノータートルがしんざ駅まで戻ってきました。
しんざ駅~赤倉信号場~鍋立山トンネル
ここから再びナイトタートルに乗り込み、ほくほく大島駅を目指します。
列車はほくほく大島方面……ではなく逆方向の美佐島方面へと進み始めました。これは、しんざ駅は厳密には駅ではなく停留所であるため、列車の進行方向を変えることができないためです。そもそも列車の保安装置が列車が退行しないことを大前提に作られているため無闇矢鱈に進行方向を変えることができないんですよね。
というわけで列車は美佐島駅も通過し(ここも停留所)、赤倉信号場まで来て停車。
この赤倉信号場もかつてはくたかが運行されていた時代に使われていたものですが、現在は待避線側は使用しておらず、定期列車はすべて通過しています。しかし信号場としての機能は残されており、(おそらく)出発信号機、場内信号機が存在するため、方向転換を行うことができます。はくたかが運行されていた現役時代には、ここで退避のために20分も停車する列車があったそうです。大変。
運転手さんが反対側の運転台へと移動し、列車は今度こそ十日町方面へと発車。
ここで受付をしたときに頂いた夜食をいただきました。魚沼産コシヒカリを使用したおにぎりと漬物とかです。さすが米どころ、期待を裏切らない美味しさでした。
02:18、まつだい駅到着。ここで20分くらいのトイレ休憩です。
駅舎に道の駅が併設されているため、ファミリーマートが普通に営業していました。すごい。
このまつだい駅は松之山温泉の最寄り駅となっています。ツアーの後に行く予定なのでどのみちこの駅には8時間後に戻ってきます。
この停車時間を利用してほくほく線グッズの車内販売が行われています。
ええもちろん買いましたよ。松代うさぎちゃんアクリルスタンド。とてもかわいい。ドカ雪で曇らされちゃうところもかわいい。
まつだい駅を発車し鍋立山トンネルを抜け10分ほどでほくほく大島駅に到着。
02:48、再びナイトタートルを下車し、お見送り。先程と同様に隣駅の虫川大杉駅まで回送した後に線路閉鎖の措置を取ります。
駅前には街灯の明かりしか見当たりません。地図を見ると後ろ側に集落があるようです。
このホームの段差ですが、どうやらこの辺の地盤の一部が弱いらしく、沈下した結果がこれとのこと。
下車してから10分後、線路閉鎖の措置が完了したとのことで再び線路上へと降り立ちます。
鍋立山トンネルの出口からだいたい250m(一般的な電車約17両分)は複線分(線路2線分)の断面でトンネルが掘られています。これは路線の計画当初ではほくほく大島駅が交換駅となる予定だったからだそうです。ちなみにこの複線の距離がやたら長いのも、もともとこの路線が長さ460mの貨物列車を通すための貨物線として計画された名残です。実はさっき行った赤倉信号場も680m分複線でトンネルが掘られていたようですが、実際に使用されているのは240mとなっています。
そんなわけでこの広いスペースには一度も線路が引かれたことはないのですが、その広さと雪を気にする必要がないトンネル内であることを活かして資材置き場として活用されています。
これらは分岐器の部品で、以前ははくたかのために高速で通過することができる、分岐器の隙間がなくなるノーズ可動式のものが使用されていましたが、保守に手間がかかるため、通常タイプの分岐器への交換が進んでいるそうです。上のものは交換で外されたものです。
この辺の地盤が弱い影響はこんなところにもあります。路盤そのものが傾いているため、レール取り付け金具の高さを変えることでレール面を水平に保っているそうです。
六日町~解散
30分ほど探索した後に再びほくほく大島駅へ戻りました。
待合室のベンチに座ったら10分くらい寝てました。一晩歩き回ると流石に身が持たない。
03:46、帰りのスノータートルが入線。
ここから一気に六日町まで戻り解散となります。
車両がゆめぞらなのでトンネル内で映像が放映されていました。が、うつらうつらしていたのでほぼ見られなかった……。
トンネルを抜けると夜が明けてました。綺麗。
十日町手前の信濃川橋梁では減速運転をしていました。が、うつらうつら(ry
気づいたら上越線が隣を走っていました。
04:45、六日町到着。これにてツアー終了となります。お疲れ様でした。
ちなみに始発までは2時間位時間がありますので、ベンチに座って寝ました。
夜通しのツアーのためめちゃめちゃ疲れましたが、それに見合うだけのものを見せてもらえました。皆様も是非参加してみてください!
終
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