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みんな、ファイトだ!

威勢も味のうち。
あめや鮨の大将の声はいつも通りだった。
へい、いらっしゃい。
ここの花寿司はランチだと千円。赤身まぐろが絶品だ。
あめや鮨は鮨ネタに合わせて四種類のたれを選べる。このたれが実にうまい。特にまぐろのたれづけがうまい。
朝からすこぶるの快晴で出かけるしかなかった。
庭にハーブの苗を植えたくて、相模湾を望む湯河原からひと山超えて三島にでかけた。神奈川の辺境に位置する湯河原町は川向こうがもう静岡。静岡は今日、緊急事態宣言が解除されたという。


新緑輝く森のアーチを抜けたらまだ雪の残す富士山が空に浮かぶ。本日の目的は、あめや鮨とミシマサイコ。
ミシマサイコはミシマで採れるハーブだ。一時は絶滅危機種ともなった柴胡は漢方薬として使われる植物。ミシマサイコはミシマ産の柴胡で、三島の落合ハーブ園で苗が買える。

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かつてこのあたりではどの家も庭先に柴胡を植えて、お茶として飲んでいたとのこと。解熱、鎮痛作用などがある万能ハーブ・ミシマサイコは免疫力を上げ、ひとによってはがん治療中に服用するとも。効能はともかく、めずらしいハーブなので栽培してみたかった。
小さなハーブ園から見る富士山がまたいい風情。霞がかった空に浮かぶ富士はいい。はるかな幻のよう。カモミールや、ローズゼラニウム(ローズの香りのゼラニウム)など、ハーブ苗を選びつつ、落合農園の奥さんのうんちくを聞く。会話も買い物の楽しみ。うんちくも値段のうち。

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(↑なんちゃって富士山)

車に苗を積み込んで三島市内へ。
三島大社前の土産物屋も営業していた。大社の裏にあるあめや鮨へ直行。
窓を開け放った店内に涼しい風が吹いていた。のれんがひらひらするのもよい風情。江戸の頃はどの店もこうして涼をとっていたんだろう。
久しぶりの花寿司ランチを注文。
土産物屋の軒先にぶらさがった風鈴の音がちりんちりん。
ああ、鮨屋で食べる鮨は久しぶりだ。
おまたせしました。
うん、ここのつけだれは赤身に合う。
やっぱり、駿河湾の魚はうまいね!
毎日見ている相模湾には申し訳ないけれど、魚はやっぱり駿河湾だ。
こんなうまい鮨がほんとに千円でいいのかな。ここのたれづけは絶品だよ。ああ、ずっとずっと、このお店がありますように。
おかみさん、大将、がんばれ。
みんな、ファイトだ。
富士山がそう言ってる。

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