秋田県の暴力団情勢

現在の暴力団情勢

・概況
2018年末の秋田県の暴力団情勢は、8組織、構成員等76人(構成員/準構成員の詳細不明)である。 ※画像:出典①より

公益財団法人_暴力団壊滅秋田県民会議_情勢と対応

※上部団体の補足
 山口組弘道会     (愛知県)金田組 
 山口組弘道会稲葉地一家(愛知県)天立組
 山口組良知二代目政竜会(静岡県)小椋組
 山口組國領屋一家   (静岡県)盛道会
 神戸山口組山健組   (兵庫県)兼昭会 
 稲川会        (東京都)稲秋一家
 住吉会住吉一家向後睦会(東京都)向後睦能代
 極東会松山連合会   (東京都)眞会津家会

秋田県の暴力団の殆どが、全国的な主要団体と呼ばれる山口組、神戸山口組、住吉会、稲川会の系列に属している(69名、県下91%)。
またその中でも山口組系が29名、神戸山口組系が29名を占める(各・県下38%)。
※出典:①

・全国における割合
秋田県の暴力団構成員等は、全国の0.25%程度を占めている。県内人口、GDPが全国に占める割合と比較すると、暴力団構成員等が少ない地域であると推察される。

GDP人口比較

暴力団勢力の推移

秋田県の暴力団構成員等の数は、1970年に約1,100人とピークに達し、1992年時点で約400人に減少し、暴力団排除条例が施行された2011年以降減少傾向を強め100人以下となっている。
【構成員等数の変遷(概数)】
1970年 1,100人
1992年   400人
2004年   300人
2011年   280人
2014年   180人
2018年  76人
※出典:②③

2018年時点で秋田市の暴力団構成員等は約60人であり、県内の暴力団構成員等の約78%を占めている。

暴力団構成員の推移の全国的傾向(青線)と合わせて比較すると、類似して減少傾向にある。
なお秋田県の準構成員数に関するデータが不足しており、構成員等数(構成員+準構成員)はグラフで示すよりも実際は多い可能性がある。
※注 全国的傾向は、全国の暴力団構成員等の増減傾向を、1970年の秋田県の暴力団構成員等数に乗じて示している。

秋田構成員

団体数は1970年の53団体がピークである。構成員等数の減少と同様に、団体数も減少し近年は10団体を下回っている。
※出典:②③

秋田団体数

県内組織の変遷

・概況
1974年時点の秋田県内の主要勢力はいずれも的屋の源清田(180人)、会津家(150人)、姉ケ崎(120人)であった。
同時期より青森県五所川原市にルーツを持つ極東関口谷畑二代目佐藤会が抗争を通じて勢力を拡大し、1983年に秋田市に本部を設置し構成員350人~400人の最大勢力となった(青森、秋田、山形の3県で活動)。

1980年代後半より山口組が東日本への進出を強め、1989年に山口組系組織と佐藤会が山形県での事件を切掛けに抗争を起こし山口組の有利決着となった(みちのく抗争)。
また同時期に稲川会も秋田県への進出を図っている。

秋田県の主勢力であった佐藤会は1990年に内部分裂を起こし1992年に解散。
旧佐藤会系組織が山口組系組織に加入し秋田県内の暴力団勢力の過半を山口組が占めることになった。

広域暴力団の寡占が進み、2007年時点で県内暴力団の全てが山口組、住吉会、稲川会、極東会の系列に属している。

※出典:③④

・主たる勢力
県内最大勢力は2015年時点で神戸山口組系兼昭会、山口組系金田組の2団体である。2団体とも佐藤会にルーツを持ち山口組傘下に加入していたが、山口組分裂に伴い別系列団体となっている。
2団体は勢力の拮抗状態が続いており、2018年時点で構成員等数では神戸山口組系兼昭会がやや上回っている。

・勢力の変化
概況で示したように、秋田県の暴力団勢力の中心は的屋系諸組織→佐藤会→山口組と変遷した。

秋田県内暴力団の変遷イメージ

※変遷イメージについては、ブログ等の再引用により作成しており、参考程度に留められたい。

秋田県の抗争事例
・1974年9月 山口組系暴力団 × 地元暴力団
・1989年7月 稲川会稲川一家岸本組石井組 × 極東関口一家佐藤会
・1989年11月 山口組 × 極東関口一家佐藤会(みちのく抗争)
・1991年3月 極東関口一家佐藤会 × 泰光組(佐藤会脱会派)

※出典:警察白書。時期は抗争勃発時点を指し、筆者が補足を加えている。

2015年の山口組分裂に伴い、秋田市繁華街で金田組と兼昭会の集団による小競り合いも発生している(2015年10月)。秋田県内における抗争のエスカレートは確認されていない。

近年のトピック

・暴力団排除条例
2011年3月に秋田県で暴力団排除条例が制定された。
全国的にも同様であるが暴力団構成員等の減少につながっており、県内暴力団の弱体化は今後も続くと想定される。

考察

秋田県の暴力団勢力は全国的に見ても最小レベルであり暴力団排除が進んでいる県である。背景には暴力団排除条例の影響、また県内人口減少による経済規模縮小によって暴力団の資金源も減少していることが考えられる。
一方で人に依存しない資金源として、山間地における産廃不法投棄・大麻栽培や、特殊詐欺の発信拠点として秋田県内で活動を続ける事も想定される。
暴力団の潜伏化を防ぎながら、暴力団排除を継続する事が重要であり、筆者は秋田県が日本初の「暴力団ゼロ県」になることを現実性のあるものと信じている。

出典

①公益財団法人公益財団法人暴力団壊滅秋田県民会議 
 https://www.akita-boutsui.jp/

②秋田県議会議事録


③あきた(通巻315号)1998年8月1日発行
 ※当時の稲川会の進出活動が報告されている。


④ブログ「鯉登通信 極東関口谷畑二代目佐藤会」
 https://oldjersey.hatenablog.com/entry/2020/03/29/083757
 ※日頃、貴重な情報を公開頂き感謝申し上げます。

⑤ブログ「暴力団ニュース~ヤクザ゙事件簿」https://yakuzanews.jp/
●山口組分裂で情報収集急ぐ 秋田県警 2015-08-30 |

 国内最大の指定暴力団山口組(総本部・神戸市灘区)の分裂が確定的となったことを受け、篠田建市(通称・司忍)組長の出身母体である弘道会(名古屋市)系組織と、離脱するとみられる山健組(神戸市中央区)系組織の勢力が拮抗(きっこう)する県内では、県警が情報収集を急いでいる。

 捜査関係者によると、県内では弘道会金田組の勢力が構成員、準構成員ら約40人。山健組兼昭会はそれよりやや多いという。両組とも極東会佐藤会の流れをくみ、山口組の県内進出に伴う佐藤会の分裂で、平成4年に山口組傘下になった。

 県警は今年4月、金田組の会長、組長ら幹部を一斉逮捕し、秋田市の繁華街・川反(かわばた)の飲食店に組との関係を絶つよう働き掛けるなど壊滅作戦を展開。5月には兼昭会の元組長も逮捕していた。

 山口組の分裂をめぐり県警は、本部の動きを慎重に見守るとともに、事態が秋田に波及し、抗争などに発展しないかどうか警戒している

●弘道会系金田組組員と山健組系兼昭会組員ら9人逮捕/秋田2015.10.14

秋田市の繁華街で、指定暴力団山口組(総本部・神戸市灘区)傘下暴力団と離脱派傘下暴力団の幹部同士の小競り合いがあり、秋田県警は13日、暴力行為等処罰法違反(集団的暴行)の疑いで、双方の計9人を逮捕した。

 逮捕されたのは、指定暴力団山口組系弘道会傘下、金田組(秋田市)幹部、後藤浩二容疑者(47)ら幹部3人、無職の男1人と、神戸山口組系山健組傘下、兼昭会(秋田市)会長、島田潔希容疑者(44)ら幹部5人。

 凶器は使われておらず、けが人や巻き込まれた一般市民はいなかった。分裂騒動をめぐる組員の逮捕は県内で初めて。

 逮捕容疑は11日午後10時ごろ、秋田市大町で互いに組の勢力を誇示し、胸ぐらや腕をつかむなどした疑い。9人のうち6人は大筋で容疑を認めている。



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