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「自分で勉強ってどうやるのさ?」家庭教師の経験から見えてきた、勉強の苦手な生徒の抱える問題

東大のとある教職の授業にて、教授に向かって

「勉強なんて小さい頃からみんな毎日ちゃんとしているはずなのに、どうして中学・高校で習う基礎事項が大学になっても分かっていない人たちがいるのか?私は呆れている」

という質問(ほぼ語り)をしている同学年の輩がいた。
その学生は多分普段思っていることを聞いてもらいたかったのだと思うけれど、まるで自分の育った環境が当たり前だと思っているような発言におれは困惑した。教授もさすがに困惑しているようだった(教育社会学系の授業だったからなおさら…ね)。


 …世の中には、毎日勉強するのが当たり前じゃない生徒がたくさんいる。勉強の仕方が分からない生徒もいる。それだけじゃなく、頑張って勉強していても、点数が上がらなくて困っている生徒もいる。


(でもたしかに中学からハイレベルな環境にいたら気づかないものなのかも…?おい待て、お前すでに2年も大学にいるくせに、自分の出身校以外の環境を知らないのか?卒業までに地方公立出身の友達を作ったほうがいいよ。
 by 北海道立高出身のおれ。)

おれはその学生と一緒に授業を受けるのが嫌なあまり、次の回からその授業に出なくなり、単位を落とした (おれはそういうところがある。)


かくいうおれも、勉強の習慣がなかったり苦手を抱えたりしている生徒の現状をちゃんと認識したのは、家庭教師のバイトを始めて、生徒一人一人の具体的な悩みに直接かかわるようになってからだ。

そこから自主学習とか、基礎的な学力の向上の方法について考えることが多くなった。


自分で勉強しろ、というのは、簡単なようで難しいと思う。


まずは勉強の習慣がない生徒の問題。小学校は学年×10分、中学校は学年×1時間だっけか?なんか聞いたことあるけど。家庭学習が当たり前だということを知らない子どもが、小学校ではかろうじてなんとかなっても中学に入って急についていけなくなることもあるだろう、と想像する。(具体的な習慣づけの方法については詳しい人がいると思うのでここでは割愛。)

しかし、目安の勉強時間を決めるのは簡単だが、その時間にいったい何をどう勉強すればいいのだろうか?


このように、勉強の内容や仕方も問題だ。これに限っては全員に当てはまる定式化された方法はなく、自分に合ったやり方を見つけることが必要だ。得意なら得意なりの、苦手なら苦手なりのやり方。その見つけ方もなかなかの試行錯誤だ。
また、自分に合った方法以前に基本的なやり方が分からない場合もある。例えば、ワークの解き方一つとっても、「まず解けない」「解くけど間違いまくる」「解答を見たあとどうすればいいか分からない」「解き直しのやり方が分からない」などなど多様な問題がある。


さらに、今まで書いたものよりもかなり初期段階の問題もある。
一番の基礎は「文章を正確に読む」力がついているか?ということだ。

いくら計算が得意でも、文章が読めなければ、数学や理科といった文章問題を解くことができないだけでなく、ワークの「解答解説」の文章を理解できないため、大抵の場合「解きっぱなし」(問題を解いても答え合わせや解き直しを行わず、ワークの効果がない状態)  になってしまう。ワークの解答解説にはかなり重要なことが載っている場合が多いのに、これではもったいない。そのような状態では自分で勉強して力をつけることが難しいことは想像に難くない。

個別指導で現代文を教えているが、文章を読み解くための「公式」や「ワザ」のようなものは、表面的なテクニックにすぎないと揶揄する人もいるけれど、多分そういう人は意識していないだけで頭の中でそのワザができているというだけなのだと思う。
(そういう読解力をつけるためには幼少期の読書体験が必要とか聞くけれど、その辺は詳しくないので語るのを控えておく。ところで、中学や高校の段階から読解力を伸ばす方法を知りたい!誰か教えてくれ!)


あとは各科目で、例えば数学なら「線分図の感覚に慣れる」や「平面上に描かれた図を見て三次元の立体図形を思い描く」「1/3をかけることと、3で割ることが同じことだと分かる」という類の力をどこでつけるか?という問題である。
数学を教えるとき、教えたいメインテーマの大前提として当たり前にスルーしたい部分で引っかかってしまうことが多々あり、毎度頭を悩ませるところである。

(ところで、宮本哲也先生の「賢くなるパズル」「賢くなる算数」シリーズはいいぞ。おれ自身も小中学生時代に入っていた塾でやらされていたのだが、なんとあれから10年(笑)家庭教師での指導で大いに参考にさせていただいているし、将来自分がドリルを作ることがあれば、かなり影響を受けた出題になる気がする。
↓宮本算数教室の教材ページ(ショップ学研+)
https://gakken-mall.jp/ec/plus/Facet?inputKeywordFacet=%E5%AE%AE%E6%9C%AC%E7%AE%97%E6%95%B0%E6%95%99%E5%AE%A4%E3%81%AE%E6%95%99%E6%9D%90&kclsf=AND

ただし余談だがおれの野望は、もっと幅広く、とくに非中学受験組で勉強が苦手な子どもたちをターゲットにした教材を作ることだ。そんなことで、日々ちまちまと構想を練ったりしている。)


以上のように、自分で勉強をどうする?と言っても、ざっと思いつくだけでこれだけさまざまな問題がある。

家庭教師として、生徒をどう伸ばしていけばいいのか?
文法や数学の公式といった教科の内容を教えることは確かにメインだ。受験生なら受験対策に全振りしてあげるのが良いだろうし、定期テストならその範囲のおさらいをするなど、生徒のニーズに合わせてサポートすることが必要だ。

しかしそのようにして並走の姿勢を見せたところで、結局は、家庭教師と会わない間に生徒が自分でどんな勉強をするか全て把握できるわけではないし、家庭教師が管理するものでもない。
だから、生徒が「自分で勉強できるようにさせる」こともまた家庭教師の目標なのだ。

おれも一人のアルバイト家庭教師・個別指導講師として、先に挙げたような問題について日々悩み、工夫しながら指導を行っている。

JULIE


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