女の朝パート29

7月22日月曜日。
今日の天気は曇り時々雨。
じとっとじっとしてても蒸し暑い今日もである。
女が椅子に座りじっとしていた。

暗転


朝起きてから自宅で精力的な活動に勤しんでいる女がいた。
一度落ち着きたいと思った女はTULLY'Scoffee吉祥寺でアイスコーヒーでも飲みながらボケッとしよう、
お仕事前のちょうど良い気分転換にもなるし、、。
そんなことを企みながら、
女は家を出る前に折り畳み式の傘をこっそりとバックに忍ばせ、ここへ向かった。



それから数分後。
アイスコーヒーを飲みながら、
始まりとはいつも新鮮だなぁ。
月曜日の朝10時に久米川でお仕事してきた事が懐かしい。
あの時のお客様もスタッフさん達も皆良い人達だったなぁ。。
女はここまで呟くと、
苦虫を噛み潰したような顔になり一瞬顔を歪める。
しかし忘れようと思ったのか、
傘が手離せない季節だなぁと呟き、
天気も読めない季節だなぁと一人呟くと何故だか笑っていた。



暗転

 

人肌に止まった一匹の蚊がその血液を吸い込むように、
TULLY'Scoffee吉祥寺の席に一人で座った女がアイスコーヒーをチューチュー吸い込んでいる時だった。

風に煽られて飛んでくる虫のように女の声が、
突として女の耳に入ってきた。
手離せないと言ったら珈琲である。
そして思い出も。
天気が読めないのは地球の自転と風のせい。
湿っぽい今の季節もいずれ終わり、
ギラギラ輝く太陽が顔を出す季節となる。
天気が読めないのはその他に(気圧とか建物とか)色々あるけれど、
天気を決めるのはやっぱり風なのか?
風の形、風のタイプ、風の吹きかた、風の大きさ、
その種類は夜空に輝く星の数より多そうだ。


薄暗い雲が避けると太陽が顔を出し、
地上を明るく照らしてくれるように、
風というものは、人達に吸い付く虫のような気がしてならない。
そう思うのはワタシの頭がとうとう可笑しくなったから?

女の声に耳を傾けていた女は、
女の声が風のようだと思った。

群れては散る虫の群れ。
強風に煽られても甘い蜜を目指し、
風が止み淀み始めると、
虫はどこから都もなく沸いてもくる。
そしてどこから都もなく吹いてくるのも風なのだ。
虫は不思議だなぁ。

人様の血を吸ってる時は得意満面の笑みをきっと浮かべている。
どっぷり腹に収まったそれを持って虫は何処へいく?
ふらふら、ゆらゆら宙を舞い、まるで風のよう。


暗転





写メ!


女の腕に虫が止まっていた。
今日もスッキリしない天気だなぁ。
しかしどうでも良かった。
今のワタシは、心身共に清々しいのだから。







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