女の朝パート46

10月5日土曜日。







写メを撮ってからコーヒーを飲む。

ここに落ち着くといつもそうだ。

ざわめきと静粛が重なりあい何とも心地よい。

眼を閉じて仕舞えばその心地良さだけに浸れる事が出来る。

水面に浮かぶスイレンの花、

空に浮かぶ真っ白な雲、

金色に輝くキンキンに冷えた生ビール、、。

頭の中で様々なイメージが沸き上がる。

なのに悲しいかな、、、

そこにはいつもスタバ女の邪魔が入る。



暗転


女は窓の外を眺めがらあの時の事を思い出していた。

以前は眼を瞑っただけで、

真っ暗な闇の中へ急降下していった。

算出できない程のスピードとその破壊力。


ふと眼を覚ますと深い悲しみだけが残り、

どうすることも出来ない疲労感にとりつかれる。

バランスを失う事は苦しい。そして痛い。



時間が進む。

不思議な事に、スタバの中にいると、

自分一人と言う気がしないのだ。

口が勝手に動いて独りぶつぶつ呟いている。

とても恥ずかしい事を呟いていて、

ぞっとするときもあれば迷いもある。

なのにもっと強い刺激を望む時のように、

絶対に言わない事を言っておどけてみたり、

どうでも良いことを呟いている。

何故かすらすらでる。


出ていったり入ってきたり、

口と言う器官は謎や快感がいっぱいだ。



暗転


時間が流れる。

血液も流れる。

心臓が動いているからだ。

一刻も休まずいつも本当に良く保ってくれている。


その時だった。

スタバ女が現れた。

スタバの入り口出口からスタバ女が現れた。

スタバ女も巡りめぐってここへ流れてきたのだろう。



パタッと心のドアを閉じ自分の穴に潜りこもう。

そうやって、耐え、小さなバランスを保ってきたからだ。

だからなのかスタバでは今でも誰とも深い繋がりを作れない。




暗転


ここは田端のスタバ。





完。




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