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話し始めると【うまく言葉にならない】理由

これから就職活動をしようという大学生女子から「伝える」ことが苦手だという相談を受けました。

何か質問を受けると、言おうと思うことがいくつも浮かんではくるのですが、話している間にあっちへ行ったりこっちへ行ったり、、、自分でもまとまりがないと思います。結局、言いたいと思ったことのうちほとんどはうまく言葉にできず、焦ってしまい、どんどん早口になって持ち時間が終わってしまいます。どうやったら良い話ができますか?

このような経験は、多かれ少なかれ、誰しもあるのではないでしょうか。

相談者さんの話を聞いていると、大きく分けて2つのポイントがあるような気がします。

うまく話せない理由

1、質問されたことに対して、言おうと思うことがいくつも浮かんでくる

まず1つ目は、いくつも浮かんでくることをどう処理していくのが良いかという点についてです。

何も浮かばずにまっしろになってしまうのとはちがって、答えの候補がわーっと湧いてくるのは頼もしいことです。でも、その中で一番言いたいことは何でしょうか。それを選ぶためには、「どんなふうに感じてほしいのか」という【目的】が必要です。

コミュニケーションと一口にいっても、普段の会話、仕事で送信するメール、大切な人への告白、お会いしたことがない方への営業(セールス)メール、アポイントをとるための会話、、、実に様々なものがありますね。

どんなケースにも、そのコミュニケーションを通して伝えたいこと【What】があります。そしてもっと手前には、その【What】を伝えたい理由【Why】があるはずです。

営業(セールス)であれば、最初の一投で成約できることはあまりないでしょうが、自社の商品・サービスが自分に合うかもしれないと思って頂くことが目的になるのではないでしょうか。あるいは、この営業マン、知見もありそうだし礼儀正しくて気持ちが良いメールを送ってきたので、一度、会って話を聞いてみてもいいかもしれないと、自分自身に興味を持ってもらうことが目的となりますね。

告白であれば、自分の気持ちを受け入れてもらうことが目的です。

言いたいことがわーっと浮かんできたときに、まず1つを選びましょう。
一気にたくさんあれこれいっても、相手には伝わりにくくなります。

選ぶときは、「どう感じて欲しいのか」というそのコミュニケーションにおける目的に合わせて考えてください。

こうして瞬時に選んだ1点から話を始めると、あっちへいったりこっちへいったりすることもなくなります。

2、言いたいことのほとんどがうまく言葉にならない

2つ目は、思っていることを「言語化する」というポイントについてです。

「思い」は目に見えません。音も発しません。形も可視化できるものではありませんね。

それを言語によって、他者に伝えることができるのは人間の高度な脳力です。特筆したい点が2つあります。「うまく伝わらない」「伝えられない」「コミュニケーションが苦手」という人の多くは、この2つのどちらか一方が、または両方が足りないことが原因です。

下記の2つです。

① トレーニングが必要であること
② 相手との一期一会のセッションであること

① トレーニングが必要であること

言葉を介して他者に自分の思いを伝える脳力は成長とともに、身に付く力です。最初は泣いて表現することができなかったものを、徐々に様々な表現を習得して、効率的に効果的に、他者に伝えるスキルを身につけていくのが人間です。

赤ちゃんから幼児へ成長する中で、親の様子を感じ取りながら、どんな時にどんな表現をすると自分の意思が受け入れられるか、毎日、何百回もの小さな【実験】を繰り返して、わたしたちは学んでいきます。

しかし、一定のレベルに達した後、わたしたちは、意識していないとこの努力をいつの間にか辞めてしまうんですね。これが、語彙の少なさ、伝わる力の伸び悩みの原因です。

「食レポ」という言葉が一般化している現代ですが、テレビやYouTube、TikTokなどをみていて、何を食べても「おいしい」しか言わないレポートは「下手だなあ」と思いませんか?伝わってこないからですね。

言葉は、豊かです。とくに日本語は世界でも類を見ないほど感覚的なことを表現する言葉が豊かです。難しい熟語や、高度な知識がないと理解できない例えを用いようということでは一切ありません。小学生でもわかる表現でいいのです。

自分が感じた「感覚」「形のない手触り」「体温が上がるような感動」を、どんな言葉を使うとしっくりくるだろう?と、小さな実験を繰り返すトレーニングによって、伝える力は磨かれます。

夜、5分でも10分でもいいので、その日にあった出来事を振り返り、一番自分の気持ちが動いたことは何かなあと思い出してみてください。その時の感覚を表現する、「今日イチ」のワードを使って、短い文章にしてみましょう。Twitterと同じ140文字ぐらいがちょうどいいと思います。長く色々言葉を重ねることなく、短い表現をする。最初は50文字以内!と決めてもいいかもしれません。

1ヶ月もやると、語彙が広がり、表現の幅が今の2倍にも3倍にもなっていきます。普段から、読んだもの、見たもの、聞いたものの言葉の選び方に対する感度が自然と高まり、自分がグッときた表現を、言葉の引き出しに拾い集めてくることもできるようになります。

こうした言葉の感度が上がること、操れる言葉の種類が広がることは、人に自分のことを伝える際の頼れる道具になります。人に自分をうまく伝えられることによって、やりたいことへのチャンスを引き寄せたり、思わぬプロジェクトに呼んでもらえたり、人生を変える出会いを頂けたりする機会が広がるでしょう。

自ずと、自分の願う幸福な人生を引き寄せる力となりますよ。

② 相手との一期一会のセッションであること

伝えるのが苦手という方の中には、「伝える」ということは、聴き手(相手)とのライブ(=セッション)であるということを忘れている方がいます。

推敲を重ねて準備した原稿を一気に読み上げるような話し方は、セッションにはなりませんね。ちょっと出してみながら、相手の反応を観察して、興味ありそうな反応があった部分を掘り込んでいく。

対話は、二度と同じものはありません。一回だけのライブです。
これは日常の家族との会話でも、何億円もかかったプレゼンテーションでも同じことです。

準備はもちろん必要です。たくさん推敲して、整えて、最高の伝え方ができるようにできることは全部やる。でも、それをそのまま「発表会」のようにやり切るだけでは「伝わる」対話にはなりません。

全力で準備したものを、一旦、閉じて
目の前の対話の相手と向き合うことが必要です。糸口を掴んで、対話の相手とシンクロしたら、準備したものをどーっと注ぎ込んでも大丈夫。きっと相手に届きます。

ライン黄緑

焦ってしまう本当の理由は自分の気持ちを知らないから

ここまで、
✅ 対話の目的は何かをはっきり自覚すること、
✅ 言葉のトレーニングを積み重ねること、
✅ 相手との「対話」であることを忘れてはならないこと
をお伝えしました。

まとめに代えて、もう1点。
コミュニケーションが苦手な方は、本当の自分に興味を持って丁寧に向き合っていない人であるケースが多いと感じます。

本心で話していることは、人間同士、相手に伝わります。
本心ではなく飾っていること、独善的な願望を語っていると、聴き手には届きにくくなります。

わたしはテレビプロデューサーを25年ほどやってきました。
その間には、多くのオーディションを行う側を経験しました。
新番組のただ1席のプラチナチケットをめぐって、多くの応募者さんがきてくださいます。

選考する側が見ているのは「どんな人なのか」という一点です。
それまでの実績や受賞歴などは実は、さほど重視していませんでした。
(もちろん実績があることはとても素晴らしいことですが)

これから一緒に、新たなプロジェクトをやっていく仲間として、
「嫌な人より好きになれる人」がいいですよね。
チームメンバーになる人です。
周囲に不要なストレスを与える人ではなく、可能性を広げる人、メンバーが自己の能力を最大限発揮できるような空気を作れる人がいい。
わたしはそう思います。

そのためには、自分とも真摯に向き合っている人がいいです。
得意なこと、やりたいと思っていることがわかっていて、苦手なこと、やらないと決めていることもわかっている人。

倍率の高いオーディションを通過する人には、共通点があります。
素直+情熱のある人です。

当たり前のことに聞こえるでしょうか。
でも、多くの人は、それが出来ていないのです。

自分の人生を変えるオーディションとなれば、本来の自分ではなく、選考側が求めているだろう姿を演じたくなるのは人として当然ですよね。
とてもよく分かります。

でも、そんな自分の気持ちも含めて、少し上空から俯瞰して自身を観察できる人、それでいて「こうしたい」「こんなことをやりたい」「最高なのはこうなること」という素直な情熱を持っている人が、最後に残るように思います。

こういう人は「自分はこうですけど、求めている人物像に当てはまりそうですか?」という、どこか開き直ったような落ち着きがあります。

「ちがったら、お互いに無理するのはやめましょう」
それがお互いにHappyですよね、という落ち着きです。斜に構えた「文句あるなら切ってくれていいっすよ」というのとは全くちがいます。

とても自分に真摯に真っ直ぐに向き合って、自分を知っている人ということもできると思います。

相手に何かを伝えるときは、一番は素直さと情熱!これがわたしの持論です。その上で、目的をしっかり持ってお会いすること。
普段からの言葉のトレーニング、自分の気持ちに丁寧に向き合う習慣をつけていれば、きっと自分らしく聴き手の方と対話することができるようになりますよ。

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ライン黄緑

大澤 弘子 
日テレHR代表/企業の人材育成を支援しています。
サラリーマン応援📣ライフコーチ

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なかなかの男性社会で30年働いてきたテレビマンが、コーチングやカウンセリングで「自分らしく生きる」を支援中。限定少数しか出来ませんが小学生からシニアまで。