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でんぱ組inc.と『成金』は奇跡だった。

落語界には“ユニット”みたいなものが意外と多い。

モーニング娘。で言うところの、『ミニモニ。』『プッチモニ』

AKB48で言うところの、『フレンチ・キス』『not yet』

・・・みたいな。(たとえ、古っ!)


それはやはり、二ツ目ブームを巻き起こした『成金』の影響が大きいのだと思う。

『成金』とは、柳亭小痴楽、神田伯山、昔昔亭A太郎、瀧川鯉八、桂伸衛門、三遊亭小笑、春風亭昇々、笑福亭羽光、桂宮治、春風亭柳若、春風亭昇也 からなる落語芸術協会のユニット。

もう成金メンバーも半分くらい真打に昇進していて、成金の余韻が残っているのは年末イベントの『大成金』くらいで、ほぼ落ち着きを見せている。

グループで活動していた“SMAP”が個人で活躍し始めましたよ的なシフト感。←



そして、“ポスト成金”を目指さんとばかりに、成金結成以降、ポコポコとあちこちで“ユニット”が誕生している。

が。

「もう、これ以上は組まなくてもいいんぢゃない?」と、思うことも正直ある。


もちろん、たくさんのファンがついているユニットもあるけれど、いいメンバーが揃っているわりにバズらないユニットが多いような気がする。


「このユニットのメインターゲット層は誰!?」

「メンバー同士、喰い合っちゃっているのに気づかずまま進んじゃうの!?」

「ユニット活動を指揮する人がいないから、このままフェードアウトしちゃうんじゃない!?」

and more…

って、ツッコミを入れずにはいられないユニットが多い。もちろん、すべてのユニットがそうだということではない。




『成金』は、柳亭小痴楽氏がほぼ同期くらいの噺家に声をかけて、昔昔亭A太郎氏がユニット名をつけたとか。

本当は幻の12人目、13人目候補が居たとか居ないとかだけど、最終的には11人でおさまった。

成金には恐らく、外部プロデューサー的な人はいないと思うのだけれど、そういうキーマンがいないのに、上手くプロデュースができたのは奇跡的なことだと思う。



『つんく♂無くしてモー娘在らず』
『秋元康無くしてAKB在らず』
『川上アキラ無くしてももクロ在らず』
『もふくちゃん無くしてでんぱ組在らず』

という中で、

『○○無くして成金在らず』

みたいなことでは無かったはずなのだけど、ホントは落語芸術協会のエラい人の中にキーパーソンでもいたのかなー。

(↑敢えて女子アイドルと落語家を横並びにしてみたよ)


プロデューサー不在の中で、メンバーでわきゃわきゃしながら色々考えて挑戦して、たくさんのファンから支えられて、あれほどのブームを巻き起こせたのは稀有な存在だと思う。

“成金本”とか、ホント、麻布中学あたりの頭の良い男子校の中学生が文化祭とかで作っちゃいそうな本みたい。編集にすごく昭和風味を感じられて懐かしい気持ちになったり、不覚にも涙してしまう記事もあったり。

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先日Amazonにて中古が4000円近くで売っていたけれど、それが売り切れているところをみると、やはりその人気に驚かざるを得ない。

これは伯山人気だけが引き起こした事態では無いような気がする。



「この人の高座は聴きたくないなぁ」と思うような噺家は成金メンバーにはいない。

誰の高座を観てもおもしろい。

ただ、最近の他のユニットには「あぁ、この人の高座は聴きたいけど、あの人の高座は聴きたくないなぁ」と思う場合がある。

それは、単純にわたしの好みの問題かもしれないし、噺家さんの芸歴の問題なのかもしれないし、それ以外の何かかもしれないし。

だから、あまり徒党を組んでつるまないほうがいーのになー、と思う。





ところで『成金』って、“でんぱ組inc.”っぽい。

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個性炸裂過ぎて、“てんでばらばらなところがひとまとまり”というパッケージで売り出している。

でんぱ組って言っても、WWDの頃の、サクラあっぱれーしょんの頃の6人体制の時のね。もがちゃんもねむきゅんもいたときの。

素でキャラが立っているメンバーを、なんとなく括って、素のまま売り出しているのがでんぱ組で、『成金』はちょっとそれに近い。


それはけして“ももクロ”では無い。


ももクロは、キャラ分け・色分けしているけれども、無個性なところに“後から付け”をしている。

ももクロは、はちゃめちゃっぽく見せて、実はバービー人形や、老舗の和菓子屋のまんじゅうみたいに、メンバー全員がきちんと箱の中に入ってお行儀良く綺麗に並べられている感じがする。

でんぱ組にしろ、成金にしろ、ひとりびとりの個性が強すぎるのに、よくもまぁ、ひとつのパッケージとして売れたなぁと。

でんぱ組にはもふくちゃんがいるけど、そんな人がいないまま成金があそこまで大きくなって、今尚大きくなり続けているのは、メンバー個々人の『華』『センス』『努力』の化学変化に寄るんだろうなぁと非常に感心する。

今後のことはわからないけれど、『成金』のようにパッと結成して、どーん!とビッグになるユニットってなかなか出てこないと思う。


やっぱり、『あの頃のでんぱ組』と『成金』は奇跡的だったな、と。

しみじみ。









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