食にまつわる悲しい記憶って一生残るから気をつけたい。
いまはもう実家と関わりがない私にも、食にまつわる記憶がいくつかある。
おばあちゃんの手作りコロッケ。
毎週日曜のお昼の定番、コトコト煮込んだカレー。
父親の作る唐揚げとサラミ入りのポテトサラダ。
(父はあまり料理をしない人だったけど、実はかなり料理上手だった)
だけど、実母の手料理といったらコレ、というのが思い浮かばない。
実母は料理が苦手だった。というか興味がなかったのかもしれない。
自分で作るよりは、自分で稼いだお金で外食をしたい人だった。たぶん。
実母の料理で思い出すのは、豚肉を市販の塩ダレで焼いたやつと、ハンバーグヘルパーを使ったハンバーグと、レトルトのミートソーススパゲティ。
まあ18年実家に住んでいたわけだからたぶんこれ以外にもたくさん作ってくれていたと思うけど、実母はフルタイムで働いていたから帰りが遅かったので、小学校くらいまで私は祖母のご飯を食べて育った。
実母の作るご飯を食べるようになったのは塾に通い出して晩ごはんの時間が遅くなった小学校高学年くらいだと思う。
実母の名誉のために(?)言っておくと、実家にいたときの私は市販の塩ダレで焼いただけの豚肉をめちゃくちゃ美味しいと思っていたし、ハンバーグヘルパーを使ったハンバーグもすごく好きだった。
レトルトのミートソースはたいして美味しくないと思っていたけど、美味しくアレンジして食べる方法を知らなかったし、出されたものをおとなしく食べるしかなかった。
だけど大学進学をきっかけにひとり暮らしを始めて、豚肉の調理法がタレをかける以外にもあると知ったときは若干ショックだったし、ハンバーグヘルパーがなくてもハンバーグが作れると知ったときは複雑な気持ちになった。パスタソースって作れるの?とも。
「私が食べていたのは実母の手料理じゃなかったのか?」という気持ちになってしまったからだと思う。
まあ18歳までその事実に気づかない時点でいかに私が家事を手伝っていなかったかかがモロバレで若干恥ずかしいのだけど。それは置いておいて。
誕生日パーティとか、季節のイベントの記憶もない。
たぶんしてくれていたこともあるんだと思うけど、覚えていないっていうことは記憶として残るほど嬉しくなかったのかもしれない。
覚えているのは、ある年のクリスマスに母がクリスマスケーキを準備してないと知って泣き喚いたこと。小学生くらいのときかなあ。
私があまりに騒ぐので、母が仕事を終わった後にケーキ屋さんを駆けずり回ってくれたんだけど、買って帰ってきたのがフルーツタルトだったことにめちゃめちゃ泣いた。
私はショートケーキとかチョコレートケーキみたいな、クリスマスっぽいケーキが食べたかったのに、と。
あと、ある年のひな祭りに「うちってひな祭りのお祝いご飯しないなー」って気づいてしまい、ひとりメソメソ泣きながらひなあられを食べた記憶。
たぶんね、寂しかったんだと思う。
クリスマスケーキが食べたかったわけでも、ひな祭りのお祝いをしたかったわけでもなくて、仕事が忙しい母に家族の時間をないがしろにされているような気がしてしまって、寂しかったんじゃないかな。
母は母なりに愛情を注いでくれたと思うし、感謝もしてる。塾のお迎えだって楽じゃなかったはず。ご飯以外の部分でたくさん時間を割いてくれていたと思う。
けど、35歳になった今も、ご飯に引きずられる感じで幼少期の寂しかった記憶を思い出すことがけっこうあるのです。
一度でいいから学校から帰ったら「おかえり〜」って手作りのクッキーとかパウンドケーキ作って待っていて欲しかったし、一緒に料理作ったりもしたかったなあ、みたいな。
自分ができるだけ手料理を出すことにこだわるのも、得意じゃないくせにお菓子をたまに作りたくなるのも、イベントご飯は張り切るのも、こういう幼少期の記憶が関係しているのかも。
あ、手料理と書いたけどレトルトも使うし、市販のタレも使います。けどそのままじゃなくて極力アレンジしたり、基本的には自分で味付けするようにはしてるかな。
あと小さい頃に美味しいと思わなかった市販のミートソースだけは必ずフライパンで炒めて具材も加えたりして多少美味しくしてから食卓に出すことにしてる笑
なんで突然こんなこと書いたかというと、今日は息子にコーンスープを作るっていう約束をしていたのをすっかり忘れて、いざいただきますをしようって段階になって息子に「コーンスープは?」って聞かれて。
今から準備するのもなあって思って「明日でもいい?」って聞いたらめちゃくちゃ悲しそうな顔したので急いで作ったのです。これは対応を間違えると悲しい記憶になるやつだ!と焦りました。
私がよかれと思ってしたことが子ども達にとって必ずしも一番嬉しいことだとは限らないけど、食に関しての負の記憶って一生残りそうだなと。せめて私がされて嫌だったことはしたくないなあと思う今日この頃です。
おしまい。
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