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#3 「岩田さん」を読んでみた

皆さん、マリオって知っていますか?

皆さん、カービィって知っていますか?

皆さん、ゼルダの伝説って知っていますか?

この質問に対し、おそらく「知らない」という人はいないと思う。少なくとも「どういうのか知らないけど、名前は知ってる」のではないか。

岩田聡という方は、上記のキャラクターおよびゲーム全てに携わっている方である。生みの親でこそないものの、マリオやカービィの生みの親から絶対的な信頼を持たれた方である。

#1でも書いたのだが 、自分は任天堂で育ってきた。子どもの頃こそ、岩田さんのことは存じていなかったが、大人になるにつれて、いかに自分が岩田さんの恩恵を受けてきたのかを理解できていった。

ということで、今回はあのほぼ日刊イトイ新聞が編集をした書籍『岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた」の感想を書く。

今後、noteではちょいちょい読んだ本の感想を書いていくと思うが、自分の性格上、ネガティブなことは書かない。ていうか、書けない。

ネガティブな感想は時には大事だとは思う。大事だとは思うのだが、ネガティブよりポジティブなことを書いた方が、心にもいいよね。

1、好きなことはとことんやるのが大事

確かポケモンの生みの親である田尻智さんもそうだったと思うのだが、岩田さんといい、この方々はゲームやコンピュータに並々ならぬ関心を持っている。そして何より「とことんやる」という行動を起こしている。

岩田さんは高校時代にプログラムができる電卓と出会い、大学時代にはコンピュータ売り場で仲間と出会い、HAL研究所という後々カービィやスマブラという名作ゲームを作る会社を立ち上げていく。

これだけ見れば、出会いに恵まれたとか岩田さんに尋常ではない才能があったという一種の「恵み」のおかげだと思ってしまう。

けど、大切なのはそうじゃない。恵みを得るための行動を好きだからこそやっているのが岩田さんなんだ……と読んでいて思った。

プログラムができる電卓をとことん使ってゲームを完成させた。それをあるコンピュータ系の企業の代理店に送った結果、「とんでもない高校生がいる」と驚かれたのだという。

サラッと書いたが、自分にとっては「自分で作ったものを企業に送る」という行動がもはや尊敬に値する。

noteを利用している方々にとって、好きなこととは「書くこと」だと思う。書いていきましょう、皆さん。そしたら、いつか何か起こるかもしれませんよ。ってか、もう色々起きてるか。素敵。

2、皆から末永く尊敬されるのは、皆人格者

岩田聡さんを一言で述べるのあれば……難しい。

社長、ゲーム開発者、ゲーマー……と岩田さん自身は述べているが、自分があえて言葉を選ぶとしたら、「人格者」だ。

マリオやゼルダの伝説の生みの親である宮本茂さんのインタビューもこの本には掲載されている。宮本さん曰く、岩田さんはほとんど怒ることがないのだという。もちろんゲーム開発において厳しさというのは持っていたのだとは言うが。

ただ、一つ怒る場面があるとしたら、トラブルが起こった時にお客様に何の説明もできていない時だったという。

これはごく当たり前のように思うかもしれないが、意外とできていない人って多い気がする。図書館で働いていても、自分の頭の整理がつくまで、利用者を放置する図書館員はいる。仕方ないといえばそれまでだが、どうしても利用者よりも自分を優先しているからそうなってしまうのだろう。

岩田さんは会社は、ゲームはお客様、プレイヤーがいてくれるから成り立つものという考えを根っこから持たれている方だ。つまりは、利他的なのである。

それが一番表れている本書の言葉を引用すると、「自分以外の人に敬意を持てるかどうか」。こんなこと、人格者でないと言えない言葉だと思う。

本書を読んでいると、若いころからゲーム業界を引っ張ってきた、いわゆるトップの人物であるということを思い知らされる。

だが、トップでい続けられた所以は、能力以上にあらゆる人々から尊敬されていたからであり、尊敬されていたのは、特筆すべき人格者だったから。そう本書を読んで感じた。

見出しに「末永く」とつけた理由は、人格者でなくても、仕事ができるとか、何か少し秀でたものや磨かれたものがあれば、一時的に人というのは尊敬されるものだと思う。それもとてもとても素晴らしいことだ。

だけど、岩田さんの場合はゲームに携わり、会社をけん引し、そして惜しくも亡くなられた今でも尊敬される人物。こういった人が末永く尊敬される人物なのだと思う。

3、MOTHER2

最後に、自分が約30年の人生において、最も好きなゲームである『MOTHER2 ギーグの逆襲』について。もうこれは感想というよりかは愛情……MOTHER2へのラブレターだ。

メチャクチャ簡単にこのゲームについて述べると、

超能力を持った少年少女が世界を救う物語」である。

これだけではありきたりのように思われるかもしれないが、やったらわかる。こんなゲームは2020年の今でも、この作品しかないから。

開発期間は5年であるが、岩田さんが携わったのは最後の1年だけ。4年を過ぎた頃にゲーム開発は難航し、いよいよ岩田さんが呼ばれたのである。

開発の現状を見た岩田さんは糸井さん達にこう告げた。

「今あるものを活かしながら手直ししていく方法だと2年かかります。いちから作り直していいのであれば、半年でやります」

これは有名な言葉である。少なくともMOTHER2ファンにとっては。

この言葉を最初に知った時、「うわぁ、すげえ! 岩田さんって天才やん!」という感想だったが、本書を読むと、そこに優しさがあったんだということに気づかされる。

それまで作り上げてきたものを決して否定せず、最善のものを創るための選択肢を出している。それが岩田さんの優しい部分なのだ。

ちなみに、岩田さんはいずれの選択肢であろうともやり遂げることは決めていたのだという。仕事だから当たり前なのかもしれないが、どうだろう。岩田さんと同じ立場にあったら、「半年で終わるんだから、一からやりましょう!」と言ってしまうかもしれない……。そして実際に岩田さんが加わった1年後にはリリースされているのだから素晴らしい。

岩田さんがMOTHER2について述べているところでは、とにかく糸井さんへのリスペクトも伝わってきた。やはり敬意をここでも示しているのだ。

MOTHER2はゲームとしても素晴らしいが、言葉で面白い表現を生み出す勉強にもなるし、人との出会いって素敵ねということを改めて感じさせてくれるし、敵側にも色々あるんだということを感じられるゲームだ。とにかく色々感じられるんだ。色々はやってみないとわからない。

そんなMOTHER2を生み出してくれた糸井さん、岩田さん、開発に携わった全ての人に感謝。

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人生初のネット上の書評であり、うん年ぶりの読書感想文となった。

ニンテンドーDSやWiiのことなど、まだまだ書きたいことはあるのだが、極力コンパクトにしたいので、感想はここまでで留めておく。

ということで、本書は人生でゲームを少しでもやったことがある人なら読んでみて損はないと思う。

本書を読むと、家にあるゲーム機や、スマートフォンの画面上で繰り広げられているゲームへの見方が、ほんの少し変わるかもしれない。


立竹落花


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