YES!高須クリニック!
今回はキャッチコピーについてです。
キャッチコピーに込められた意味
シヅ夫人が考案したという、キャッチコピー「Yes! 高須クリニック」は、これだけでは意味が通じません。
このコピーは、前詞「自分を楽しんでいますか?」と対になって初めて完成します。
どこか後ろ暗いものだった美容整形をメジャーにするため奮闘した高須夫妻、その根底にあったのは、「容姿のコンプレックスを克服し、若さや美しさを手に入れ、自分らしい人生を謳歌することは、誰しもに認められた権利である」という信念にあるといいます。
そうした美容整形に対する夫妻の考え方を表したのが、「自分を楽しんでますか?」の一言であり、その問いに答えを出せるのは、自分たちのクリニックであり、患者のどんな願いも受け止めるという覚悟を示したのが「Yes! 高須クリニック」というキャッチコピーだったのです。
そうしてみると、いっけんして意味不明なあのCMに込められた意味も何となく見えてくるのではないでしょうか。
美容整形によって自らの人生を切り開き、世界中を飛び回っていろいろなことに挑戦する高須院長自身の姿を見せることで、美容整形は恥ずかしいことではなく、人生を輝かせるものなのだと訴えているわけです。
アイリンク国際特許事務所様より
確かに昔の日本では、整形や刺青に対して『親にもらった大事な体にメスを入れるのか!』と否定的な意見が多かった。一見、究極にシンプルに思える高須クリニックさんのキャッチコピー、その深さ・理念には頭が下がる思いだ。
以下、私の意見を述べつつ数社のキャッチコピーを紹介したい。
日本を、一枚で。
(東日本J R)スイカカード、日本中という広がりとカード一枚のミニマル。
服を変え・常識を変え・世界を変えています。
(ファーストリテイリング)自社で作った服が世界に届き、その常識をも変えている。ただの服じゃねえぞ、舐めんな!という気概と自信・やる気を感じさせる。
子供たちに誇れるしごとを。
(清水建設)後世にも残る建物に対する責任とその仕事ぶり、職人根性を見るがいい!同時に『ウチの建築物は丈夫で長持ちすっぞ。』と言わんばかりだ。
よく生きる。
(ベネッセコーポレイション)よいがひらがな。良い善い快い・人間の色々な価値観を包含している。それぞれにとって、よい生き方を応援しますと。
機械を買ってもらいたいのでは無い。チームを買ってもらいたいのだ。
(小松製作所)自社の社員への信頼と確信と誇りを感じる。また、社員さんにも『信頼してるよ。頼んだよ。』とメッセージを発している。社員は無名だが、その心や汗で作り上げた製品なのだと。
窓の向こうへ。
(フジサッシ)もちろんアルミサッシメーカーだ。高品質のアルミサッシを作る。だが、売ってるのは建材だけじゃない。窓から見える景色や家族の未来・悲しい時に慰めてくれる月や太陽の窓なのだと。
キャッチコピーの役割
これらは、素晴らしい。会社の特徴も理念もストーリーさえもが含まれている。
これだけで、映画が撮れそうだ。ただ、あなたの場合はあまり上品だと興味を持たれずにスルーされるのだ。
キャッチの名の通り、『ここに見込み客の目を止めねばならない。』興味を引くのだ。
今まで長々とやってきたセールスレター。それを読み始めてもらう重要な役割を持つ。ちょうど、週刊誌の表紙の女優さんのように。
そして、今まであなたが紡いできた言葉たちの代表者となる。仮に、新聞広告だとしてお金をかけているわけなので一人でも多くの人に読んで欲しい。その最初の一行だ。そこに興味を持たれなければ広告費は、ドブに捨てることになる。
その効果性を追って、一生変え続けなければならないかも知れない。
フレッシュで、インパクトがあって、洗練され、饒舌で、見込み客にとって重要で緊急な・チャンスを予感させねばならない。今まであなたが考え、捻り出してくれたメリットやプロフィットを暗示せねばならないのだ。
大きな銅鑼を鳴らして、注目させねばならない。
商品の名前も大きなヒントになる
あなたが目にする名前。それにはどのようなものがあるだろう?
名前そのものが、キャッチコピーになっているもの・・・・
例えば本の題名。例えば漫才コンビの名前。例えば映画の題名。
そこには、素晴らしい教材が転がっている。
『永遠のゼロ』日本の歴史の事実に零戦を象徴とする、悲しき特攻があった。それを私たち日本人は決して忘れることなかれ。
『下町ロケット』庶民の下町と、超先進技術のロケット。
『劇団 ひとり』団なのに一人とは?
『メイプル超合金』柔らかく温かいものと、固く冷たいものの対比。
『足軽エンペラー』下っ端と偉いさんの対比。
この5つに見られるように、(もちろんもっとある)『意外な・両極端な組み合わせ』は目に止まりやすい。
『五体不満足』も、コピーとして秀逸だ。え?と思わされないか。
映画の題名については、次回の『サブコピー』でやります。
本屋さんに行って、棚に並ぶ本の背表紙を見てほしい。あなたが唆られたら、それがあなたにとってのキャッチコピーとなっている。
いやいや、コンビニやスーパーに行けば『キャッチコピー』が沢山あるだろう。あなたが道や駅を歩くだけで100個見つけるのは簡単なはずだ。
手元にあるのは?
シーバ とろ〜り。厳選素材の美味しいおやつ。まぐろ味セレクション
猫の餌
セピアート ほろ苦カカオ コク深いカカオの味わい
お菓子
おいしさギュッ!鍋キューブ 風味豊かな鶏だしと濃厚な鶏油のコク 家族でも!一人でも!
キューブ型鍋用のスープ
もう少し美味しそうに言えないか?検討されたい。
『ネコ、まっしぐら!』の方が美味そう。美味しいってのは食べ物では、ダメなワードだと思っている。
『カカオの味わい。』うーん。『苦み走った大人の男に。』の方が良くね?
『一粒入れたら、料亭の鶏なべ。一人の夜も寂しくないよ。』の方が?
もちろん、これらは私の無責任な思いつき。実際にはこれらのネーミングに売れ行きがかかっているというデータもある。必死なのだ。その必死さをこそ学ぼうね。
キャッチコピーはパクり合いだが。
こういうのをパクるのも良いが、あなたも考えてください。ハッピーハックは、死ぬまで思考を手放さない。
『なぜ、〜は〜か?』も流行ったが、見ているこちらが小っ恥ずかしい。それでも効果があるのだろう。
また、矢沢永吉さんの『いつかその日が来る日まで』には、日が重なるのは変だなあ、でも『日』に強いこだわりがあるのかもなあ、と思わせられて上手い。
今までのことを思うと、キャッチコピー作りは楽しい。だが、言葉を深く深く考えていってほしい。ブレイクスルーを期待する。
最後まで、お読みくださりありがとうございました。
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