壁の薄いマンションで真夜中に思い出す、佐藤さん親子のこと。
真夜中に1人で起きていると、もうこの世界の人類は絶滅してしまって、生きているのは自分だけなのではないか、という安易な妄想に孤独を感じる瞬間がある。
けれど、耳をすませば薄い壁の隣の部屋からは知らない誰かの寝息や話し声が聞こえていて、世界はまだ滅んでいないことを知る。
数日家から出ていなかったことに気がついて、急に社会に参加しなくては、という謎の焦燥感にかられて慌てて外に出るけれど、結局はコンビニくらいにしかたどり着けない。24時間開いていてくれるコンビニは、夜行性の人間にと