ぼくはうみがみたくなりました・その後

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書籍化しました!

「ぼくはうみがみたくなりました・その後」を書籍化しました。
経費はクラウドファンディングで集めさせて頂きました。
https://motion-gallery.net/projects/bokuumi

大幅改訂したゆえ、3章以降をいったん削除させて頂きました。

印刷数は500冊。
アマゾンには100冊預けて購入できるように出来るようにしていましたが、どうやら売り切れてしまった模様です。
でも私

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ぼくうみ・その後 2章



 門倉明日美は今日も走っていた。
 ここ三日間、毎日走ってばかりいる。
 別に好きで走っているのではない。仕事だから仕方なく走っているだけだ。
「早太クン待って。待ちなさい。早太クンってば!」
 四歳児クラスの瀬古早太は、その名のイメージ通りにやたらと足が速い。
 少しX脚気味の両足を他の園児の三倍ぐらいの勢いで回転させて走る。細かい歩幅を駆使する姿を見ていると、どこかにモーターがついている

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ぼくうみ・その後 1章



 お気に入りの場所は、大きな空の下にあった。
 ぐるりと外周路に囲まれていて、その内側にはたくさんの細い道がある。
 信号もある。芝生の丘があって、坂道もある。
 T字路やクランクやS字カーブもある。
 児童公園はない。ブランコと鉄棒と砂場があったらいいのにと思う。
 ガソリンスタンドやコイン洗車場があったら、トミカタウンみたいだ。
 渋滞はない。スピード違反をする車はいない。追い越しをする

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ぼくはうみがみたくなりました 1~2章



 サッシの窓ごしに、澄んだ青空が見える。
 ガラスは多少汚れているものの、スカイブルーの青さは圧倒的だ。
 初夏を思わせる白い雲のかたまりが、ぽつんぽつんと浮かんでいる。止まっているように見える。ゆっくりと形を変えながら動いているその姿は、じっと目をこらして眺め続けていなければ気づかない。
 昨日までの雨がまるでうそのようだ。先週からの連休も、ゴールデンウィークという言葉が似合わないほどに、

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