「なんとなくイヤ」という気持ち

５歳の息子が久しぶりに「ほいくえんいきたくない」と言ってから３週間がたつ。

思い出してみると、１歳から３歳くらいまで長かったイヤイヤ期のとき彼は「ほいくえんやだ、いきたくない」とよく号泣していたし、泣き叫ぶ息子を抱きかかえて保育園に行ったことも１回や２回ではない。泣いている息子を先生に託して会社に向かう電車で、わたしも泣きたい気持ちだった。

ほんの何年か前のことなのに、喉元すぎれば…とはよくいったものでイヤイヤ期のしんどかった記憶は気づけば遠い昔のように感じる。

そのくらい最近の息子との毎日は平和だったのだ。

イライラしたりケンカしたりもあるけれど、彼と言葉で意思疎通できるようになってからは、息子とあれこれおしゃべりしたり、寝る時間やほしいおもちゃについて交渉されてなかなか手ごわいななんて思ったり、コミュニケーションを楽しめるようになった。

最初は３連休明けだった。

朝起きた息子は「ほいくえんいきたくない」「まだねたい」「○○くんがいじわるするからいやだ」といろいろ話してどれが本当の理由なのかはよくわからないけれどなんとなく行きたくないらしいことはわかった。すこし鼻水も出ていたし、その日はおやすみすることにした。

わたしが仕事をしている横で、Amazonプライムを存分に見て、タブレットで知育アプリでゲームをやって休日を満喫していた息子。

夜寝る前、布団に入って「きょうはどんないちにちだった？」と聞いたら「きょうはいっぱいあそべてたのしかった。ぼくはじゆうじかんがないから。ほいくえんおやすみしたからいじわるもされなくてラッキーだった」と言われて、ドキッとした。

その翌日も「いきたくない」とおやすみしたけれど、その次の日からは登園して楽しく過ごしていたようだ。

そして翌週、翌々週も月曜日は「いきたくない」が続いている。

息子の「行きたくない」気持ちは大切にしてあげたい。

だけど困るのは大人だ。

我が家はフルタイムの共働き。お互い職場の理解はある方だと思うけれど、仕事量が減るわけでもないし、事情を伝えて予定の調整するのもストレスがある。調整するとて、明日出社できるかも確実ではない。
保育園のおかげで働けている我が家が、保育園を休ませるにはそこそこのエネルギーがいる。

そして保育園を休む息子と家で仕事をするのだけど、これもまた大変だ。仕事中のBGMは問答無用でポケモン。お昼ご飯も用意せねばならない。オンラインmtg中にもうちょっと待っててと言ったら号泣されてmtgどころでなくなったり、仕事モードと母モードを何度も切り替え、へとへとになりながらの夕飯づくりが待っている。

と、つい脇道にそれてしまった。笑

保育園を休んでいいよと言うためには準備と調整が必要だ。
「行きたくないで休ませない方がいい」とも言われる。

だけど、なんとかやりくりをしながら息子の「行きたくない」を大切にしたいと思うのは、私自身が長い間「行きたくない」気持ちをないもののとして行くべきだ、行きたくないと思う自分がわるいと思ってきたことや、それによって去年いろんなことが重なって会社に行けなくなった体験が大きい。

「なんとなくいや」は心と体からのサインだ。

「いやだ」という気持ちを認めて、よく観察してみるとそこにはたくさんの感情と体感覚がある。

体がつかれていてだるいとか、ねむいとか。
寒いとか暑いとかも実はけっこうある。
気が重たいイベントや会議があったり、〆切が近い仕事がたまってたり。
昨日買ったばかりの早く読みたい本があったりとか。

それらをよくよくみてみると、今日はつかれてるから休んだ方がいいとか、あの仕事について誰かに相談してみようとか、混んでる電車に乗りたくないから出社時間を遅くしようとか、今週どこかで有給とろうとか、とれる選択肢がみえてくる。

息子はまだ5歳だけれど、彼なりにいろんなことを感じて考えている。

なぜいやなのかまだうまく捉えられなかったり、言葉にできなかったりするのだけれど、自分の中にときどきでてくる「なんとなくいやだ」には気づいている。

それってすごいなぁと思うのだ。

「なんとなくいやだ」をないものにしてしてしまっていると、いつしか「なんとなくいやだ」という心と体からのサインにも気づけなくなってしまう。

これから先、学校に通うことになっても、働くようになっても、きっと「なんとなくいや」な日はやってくる。

だから、その「なんとなくいやだ」という気持ちをちゃんととらえて、行くか行かないか決められたらいいし、自分で対処をしたり誰かに助けを求めたりできたらいい。

自分で選択することは、自分を大切にすること。

息子が、自分で自分のことを大切にできたらいいなぁとわたしは思っている。