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本の続き

初めて賞をいただいた

お笑いには戦いが存在する。いわゆる「賞レース」と呼ばれるものだ。
M-1グランプリ、キングオブコント、R-1ぐらんぷり、ABCお笑いグランプリ、ytv漫才新人賞、上方漫才大賞、NHK新人お笑い大賞、歌ネタ王決定戦、THE W。
様々な賞レースが存在する。

数々の賞レースで自分の存在の証明をすべく、若手芸人は鎬を削って日々ネタに取り組んでいる。
「賞レース優勝」は若手芸人全員が喉から手が出るほど欲しいステータスである。

僕らは十四年の芸歴で賞レース優勝がなかった。
決勝の舞台にすら上がっていない体たらく芸人だ。

そんな僕らは三年前、ある賞レースで準優勝した。「関西演芸しゃべくり話芸大賞」という関西の賞レースだ。この年は後輩のマルセイユが優勝した。毎日告知生配信を僕に薦めてきて、僕が続け過ぎたのでめちゃめちゃ引いていた津田と別府というおもしろ男のコンビだ。

目の前での後輩の優勝は正直悔しかった。
翌年のリベンジを誓った。

そして去年、リベンジをすべく関西演芸しゃべくり話芸大賞にエントリーをした。結果、再び準優勝に終わった。優勝はミルクボーイさんだった。
僕たちの出番順はトップバッター、ミルクボーイさんはトリだった。審査員の先生によると僕たちとミルクボーイさんとの差は一点差だったそうだ(優しさから来る社交辞令なのかもしれない)。
僅差で敗れてしまったのだ。そしてその年、ミルクボーイさんはM-1グランプリ2019の覇者になった。あっという間にスターになられた。
本当にカッコよかった。

僕らは今年もう一度挑戦しようと決めた。三度目の正直になるのか。二度あることは三度あるのか。今年こそ優勝して、この賞レースを卒業したかった。

順番は十組中三番手だった。少し早い出番だったが逃げ切れたら嬉しいなぁ、と呑気に考えていた。
僕らは今年できた一番のネタを披露した。

結果、三度目の挑戦にしてやっと優勝できた。生まれて初めての賞レース優勝だ。十四年目にして初めてだった。

嬉しかった。やっと漫才で一等賞をとれたのだ。コロナ禍でオンライン活動を多く試みた。なのでオフラインでの漫才での優勝は感慨深かった。ここから何かうねりを生みながら活躍できるように邁進したい。

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