人の夢と書いて

人の夢と書いて「儚い」

それを教えられたのはいつだっただろうか。
それを教えてくれたのは誰だっただろうか。

すごい!!!

幼い頃のわたしは感動した
人の夢は儚い
儚いのは人の夢

すごい!!!

漢字ってすごい!!!!

それからわたしは考えた
他にもいい感じに例えられる漢字はないかと

人が木の横にいて「休む」
その通り。成り立ちも確かそんなだった

木と木と書いて「林」
木と木と木で「森」
これは発想の勝利

人の犬と書いて「伏せる」
まあ確かに飼い犬なら躾はされてるだろう

水也。水なり。「池」
そりゃ水だろうな

田んぼの心を思う。
糸の冬が終わる。
もうこれは意味がわからない

全然ねえじゃん!!!

もうそれっぽいの!!!

そもそもはかない、なんて漢字なかったのに
なんかいい感じに言いたかった人が
いい感じにいい漢字つけたんじゃないのか

ならわたしも考えてやる
自分で勝手につくってやる

なぜならいい感じにいい漢字を言いたいからだ

儚いの感動を再び味わいたいからだ


えっと。
なにがいいだろう。
そうだなあ。

…人の夢が儚いと言うのなら

人が憂うさまを優しさと呼ぶのなら

わたしは人が生きると書いて
「すべて」と呼びたい

……

え、微妙じゃね!?!!

きっと
人が生きると書いて
イキると読むのだ

きっとそうだ

#ショートショート
#漢字
#ひとりごと



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