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【本紹介】世界のAI事情が概観できる一冊 『新たなAI大国 その中心に「人」はいるのか』


倫理×AIというテーマでは様々な観点から網羅的に語られており、各国のAI事情のキャッチアップと、活用事例を知りたく、手に取りました。

世界の各地域のAI業界について
国家のAIの国家戦略、開発の方向性を形作るものは下記の3つであると言われています。
- 1.その国の、保有しているDataの質
- 2.その国の、人口統計的、政治、経済のニーズ
- 3.その国の、文化的規範と価値観

現在、世界のAI業界をリードしているのは、アメリカと中国ですが、今後もその2つの国がリードしていく構造は間違いなさそう。EU、ロシアは今後も一歩遅れていくことが予想されます。

特に中国はテクノロジーに対しての国民の寛容度が高く(自動運転に対しての一般の許容度が、アメリカ52%に対して、中国90%)、データもの量も多いため、今後リードしていく可能性が高いとされています。

一方で国を超えたクロスボーダーな開発も進展いくとされています。クロスボーダーな開発とは例えば、アメリカの一流人材×中国人の政府支援の恩恵を受けて、膨大なデータ提供が提供される自動運転の領域など。日本に閉じた状態でのAIの進展のスピードはかなり遅れていると言わざるを得ず、日本に閉じた開発をしていると取り残される危険性が高いです。

日本のポジショニング
宗教的、文化的背景からユニークなポジションに位置しているということが興味深かったです。日本は古来からあらゆるものに神が宿るという考え方が浸透していたり、現代のポップカルチャー(アトムやドラえもんなど)の影響で、「人間以外の生命が意思を持つこと」に対して文化的に寛容と分析されています。そのため、”ヒューマノイド”の領域が発達しやすく、AIBOのような非人間的なサービスが受け入れやすい土壌があり、AIやロボットの存在を恐れない風土があるのでその分野で注目を受けているとのことでした。

新興国のその他のAI
イスラエルや、先進国以外のAIの活用事例になどについても紹介されています。

ナイジェリアのスタートアップ、Touchabl は、写真をアップロードすれば、ネットから似たような画像を見つけてきて、どこで手に入るかを教えてくれるサービスです。メルカリの画像診断に近いものですかね。

インドネシアのCekMataは、ユーザーがスマホでアップロードした写真を通して白内障のような病気の診断ができるサービスを提供しており、インドのSigtupleは、病理学検査をデジタル化して分析し、デング熱(インド行ったとき本当に怖かった)の診断、治療法を早めることができる。バルバドスでは、心理学に基づく質問で性格特性から糖尿病の患者の思考回路や解決策を提示する、など、どの国も似たようなアプローチを取っているなと感じました。どれくらい医療データを集めることができるか、エビデンスをつくることができるのか、によってサービスの浸透度が変わってきそうですね。

世界のAI事情を概観した上で、改めて感じたこと

AIが自分たちの生活を変えていくのは不可逆な状態であることを実感します。個人としては、労働者が専門的なスキルを提供するような雇用関係は今後崩れていくことがよそうされます。

「仕事を選ぶ」「ライフスタイルを選ぶ」などに働き方が自由に選択できる世の中になっていくなかで、その恩恵を受けるのは、「若者」と「教養のある人」で、それによって社会の格差は今後も広がっていくのが予想されます。自分はなにを知っていて、なにを知らないのか、どちらに行きたいのか?を考え、行動することの重要性が増す時代になると感じました。

こんな人におすすめ

世界のAIマーケットの未来がどのように進んでいくかを予測するために、幅広い情報収集をしたい人。AI事例が様々な形で紹介されており、AIを使ったサービスの着想を得たい人におすすめの一冊です。

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スタートアップの人事がビジネスの系の本を年間100冊くらい読んで感想を書きます。 https://twitter.com/raditz_hy21