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大企業とベンチャーを両方経験して感じる人事の面白み

初めまして、株式会社エクサウィザーズという会社で採用の責任者をしております、半田と申します。HERPの冨田さんにお声がけいただき、オープンな採用のアドベントカレンダーに参加させていただきます。オープンなのかはわからないですが、下記のtweetのどれかでいいとのことだったので、「大企業とベンチャーを両方経験して感じる人事の面白み」について書いてみたいと思います。ノウハウ系やレポート系の話はたくさん皆様書かれてらっしゃるので、主観満載でポエムライクになるのをご容赦ください...

これは何か

どんな人を読者として想定しているか:30歳前後くらいで人事キャリアに悩んでいて、大企業もスタートアップもそれぞれ魅力的に感じている方

何を書いているか:大企業・スタートアップでの人事経験で得られたことをいい機会なので振り返ってます。

読まない方がいい人(という名の言い訳):大企業(リクルート)時代に担当していたのは基本採用がメインなので、本当に氷山の一角です。N=1のエスノグラフィーを読むくらいの生暖かい眼差しで何卒...

自己紹介

大企業とスタートアップの"越境"が得意な人事です。スタートアップ界隈の人事の情報発信は非常に活発にされておりますが、大企業側の話はあまり見かけません。自分は「リクルート」という狂ったように人に投資するカルチャーの会社にいたので偏った部分はあるかと思いますが、「大企業」「スタートアップ」それぞれを経験した上での視点を発信することは価値があるかなと思い、今回記事を書いています。

以下簡単な経歴です

・ベネッセコーポレーションで5年間マーケティング、商品開発、事業開発に従事
・2015年リクルートホールディングスに中途採用担当として入社し、子会社のIndeed, Inc.のPMIの一環としてエンジニア採用活動を支援
・2018年エクサウィザーズに一人目の専任人事として入社後、人事責任者/採用責任者として、組織拡大をリード。エンジニア及びDX人材組織の垂直立ち上げに強みを持ち、Linkedinが人材の質などのデータに基づき選ぶTop STARTUP Ranking 2019,2020年で2連連続で1位を獲得、3年連続ランクイン。2019年linkedin Japan が選ぶ人事でMVPを受賞
・現在は、採用責任者、子会社PMI(エンジニア採用)、大企業のDX組織/採用コンサルを担当

採用に関するnoteやイベントをいろいろやっております


越境人材には価値がある

以前noteで、「人事は成果が見えるまでの時間が長く、苦境を逃げずに解決してこそ価値がある」的なニュアンスで書いたのですが、今回はあえて別の切り口で、「越境人材」の価値について触れてみたいと思います。

入山先生の「世界標準の経営理論」で書かれているのですが、会社や職種を「越境」することはイノベーションの源泉となります。なので、これまでの環境と大きく違う場所・立場に挑戦することは非常に価値があると思います。

業務内容やルールやお作法、必要なケーパビリティは異なります。成果を出すために違いを意識して、自分の振る舞いや仕事の仕方を変えていく必要があります。越境に伴い生じる"壁"に向き合っている時は(3年前の自分を慰めるために書いてる気分になってきました)「自分の能力不足」をただ卑下したり悲観するのではなく、「トランジションに時間がかかる」ものだ、という認識を持てばいいのではないかなと思います。不必要に凹むこともないですし、アンラーンをしていけば良い。人生100年時代、長く働くには一定「楽しく」やることが必要だと思います。

最近では「大企業とスタートアップ間の転職で悩んでます」ということをよく相談されますが、「人生長いのだから、どっちもやれば良いのでは?」と思ったりもします。ちゃんと仕事してればどっちからも必要とされる人間になると思うので、あとはどっちから行くかの好みかなと。「どちらから登るか?」については最後に書きたいと思います。

大企業で経験できたこと

自分はリクルートホールディングスに3年おり、リクルートとindeedを行ったり来たりしていたのですが、そこでの経験で「よかったな」と思うことを羅列していきます。

1.育成してくれたので基礎がついた

これは個人の育成に対する企業やリーダーのガチャも一定ある前提ですが、人事・中途採用未経験でリクルートに入社した際に、その道のプロの先輩方や上司に考え方から実行の細かいところまで叩き込まれたのは非常にラッキーだったなと思います。

中途採用の中で、書類選考はレジュメの読み方に始まり(すべてのポジションの可能性を考慮した上で1枚1分で見れるようになるまでは、一人でやらせてもらえなかった)、面接のトレーニング(ジャッジOKもらうまで1年弱かかった)、エージェントさんとのお付き合いの仕方(即興で繰り出される口頭試問的なものに合格することがミッションの一部になっていた)などなどみっちりとトレーニングをしてもらいました

中途採用は新卒採用と違い(エンジニアは特に)マニアックな専門職の要素が強く、「知ってるか」「知らないか」で仕事の成果が大きく変わってきます。原則は書籍やweb上の記事でさらえるものの、人事はナマモノなので絶妙なさじ加減はやはり横について細かくFBが欲しいもの。「なんとなくやったことある」と「一定の基準値を超えてできる」は大きく意味合いが違います。採用人事としての仕上がりに大きな差がつくので最初にそのトレーニングを受けることができたのは、非常にありがたかったです。

2."一流に触れる"打席に恵まれた

自分の場合、採用担当としてのデビュー戦で担当した候補者がAmazonのシニアなエンジニアでした。当時採用競合していたのはGoogleで、XX万円レベルのオファーパッケージ(株含み)をめぐり、細かいクロージングをするなど、日本を見渡してもそうそう生じないであろう案件を担当しました。(というかいまだに自分の採用人生で過去トップクラスのオファー金額です)

もちろんオファー金額の多寡だけではないのですが、世界のトップクラスの技術者の市場感や候補者を経験することはスタートアップでは早々ないかなと思いますし、その経験をしたことがあるというのはそれだけで採用担当のレアリティの向上につながったなと思います。これは完全に乗り込む船が良かっただけの話で、大企業はこの辺りはいいなと思います。

また新卒採用においても、東大や京大などのトップクラスの大学のコンピューターサイエンス専攻学生、いわば今後の日本の頭脳とも呼べるような候補者との接点に恵まれました。今後の日本を作っていく未来のCTOとも呼べる優秀な技術者と接する中で、彼らが何を考えているか、どんなオファーが出ているか、ということを肌実感を持って感じることができ、エンジニア採用の面白さ難しさを早々に体験することができました

3.豊富なリソース

2にもつながるところではあるのですが、数千万-億円規模の予算を使ったプログラミングコンテストの開催や、大胆なエージェントとのfee交渉やリテーナー契約、世界中のエンジニアのマーケット調査や自社のブランド調査、元マッキンゼーのパートナーの方と一緒にプロジェクトを進めるなどなど、予算がないとなかなかできない経験をすることができました。

どこまで予算を踏んだらどんなアウトカムが得られる、という肌実験を持っていることは戦略のオプションを持つ意味で大きかったです

4.複雑な問題に向き合うことができる

大企業はどうしても話を通すべきステークホルダーが多い、関連すべき部署や確認をお願いすることが多くなってしまいますが、その分複雑な課題を解く面白さがあります。

問題が複雑になったり、通すべき関係者が多くなると途端に手が止まったり、ギブアップしてしまう癖がつくことなく、一つの問題にじっくり向き合うことや、スピードが出なくても関連各所と合意しながらプロジェクトを進める経験は非常に良かったと思います。人事はやはり複雑な問題を解ける、ということは一つの価値だと思います

5.グローバルな仕事がたくさんできた

indeed社内は公用語が英語だったため、英語ができないと仕事になりません。ビジネスで英語を使ったことがなかった自分は最初の頃は本当に必死に英語を勉強していました。右も左も分からないところから、なんとかサバイブできるレベルの英語力を身につけました。その際割と手厚めに「現場で使える英語」を当時のトレーナーにトレーニングしてもらいました。これも大企業ならではのことかと思います

また、ロンドンで子会社を設立するとなった際には、子会社の代表と二人で現地にいき、エージェントさんや複数の候補者とひたすら会う、というような業務を経験したのですが、この時の経験はスタートアップでインドに行ってエンジニアの採用を立ち上げる際にも役立ちました

そのほかバルセロナでプログラミングコンテストをスポンサードし、世界中から優秀なエンジニアを採用する、ということを0→1で起案して実施しました。その際の自分たちの活動や、世界中の会社の採用人事とのやり取りの中でに「日本の人事、全然世界に負けてないじゃん、(英語さえなんとかすれば)戦えるじゃん」という実感を持てたのも非常に良い経験でした。

スタートアップで経験できたこと

スタートアップのいいところも書こうと思っていたのですが、すみません、時間切れになってしまいましたので、とりあえず羅列します。こちらにいろいろな会社の方が発信されているので"オープンな採用〜実はうちって〇〇なんです〜 Advent Calendar 2021"をぜひご覧ください!

自分が感じた部分で言うと、

1.担当すべき守備範囲が広く全体感がわかるのと経験値が貯まるスピードの速さがすごい

2.経営者や事業責任者及び現場との距離が近い

3.フェーズ次第だが、0→1だらけ

4.会社に対しての介在価値が大きい

5.人事の喜びも悲しみも生々しい(ああ、もっとちゃんと書きたい..)

どちらが良いなどの二元論ではなく、両方経験することが良いのではないかというのが個人的な結論です。

あとは経験する順番が論点かと思うのですが、個人的には大企業→スタートアップしか経験していないので一意見として聞いてもらえればですが、人事に限って言うと、「先に大企業、次にスタートアップ」の方がトランジションは楽かなぁと言う印象です。ただ、違いを認識して自分を変えることができれれば逆も全然ありえると思います。

自分の主張の根拠としては、大企業→スタートアップだったからこそ感じるのは下記です

1.大企業で0→1に近いプロジェクトをそれなりの数こなしていたから、ある程度経験・耐性があった。大企業の中でもそういうプロジェクトにアサインされたり手を挙げればどっちのメリットも同時に味わえる

2.組織のサイズを逆算して、「今必要なこと」「3年後に必要なこと」のイメージ、解像度が比較的ある。人事は時間がかかるので、この視点を持ってるか、は戦略レイヤーの意識決定では非常に重要

3.課題解決力、合意形成力などのビジネス基礎力を鍛えてもらっていたので、スタートアップで責任のある業務を担当したときにある程度の成果を出すことができた

長々と書いたわりに、最後完成しきらずの状態の告知で、非常に心苦しいのですが、「大企業、スタートアップ迷うな..」という方に朗報です。どちらの醍醐味も味わえるエクサウィザーズという会社があります。そんなうまい話あるんかいな、という方、ご興味がある方はぜひお話ししましょう!

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