心打たれる哲学

ウィトゲンシュタインの哲学で心打たれたこと。

否定、は世界には存在しない、ということ。

説明しよう。

例えば、「今、雨が降っている」という文は、窓の外を見て、雨が降っているかどうか確認することで、正しいか間違っているかが明らかになる。

それはつまり、言葉に対応した事実が、世界に存在しているからだ。

では、「この部屋にカバはいない」という文はどうか。
「いない」は世界の何に対応しているのか? 「いない」という事実だろうか? だが、何かを否定する事実が存在するとなると、それは膨大な数になる。その否定的事実を認めない立場をとるなら、「この部屋にカバはいない」という文の、対応する事実は存在しないことになる。

このことから、「否定」は、世界には属さず、言葉に属することだと言うことがわかる。言葉で思考する者がいなければ、「否定」は存在しないのだ。

こういう考え方に心打たれるなら、そこにウィトゲンシュタイン理解の糸口が見つかるだろう。

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