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【紛争と平和】 #564


ある種族は
一度に子供が20人生まれる
しかし
寿命も短く
とても弱い存在だが
1年も経てば成人して
毎年子供を産める
のであるが
先に述べたように
とても弱いから
20人生まれてと
成人するのはせいぜい
1〜2人程度
寿命は持って15年
だいたいは10年程で亡くなる


それに対して
別の種族は
一生に1〜2度しか出産ができない
その代わりに
とても寿命が長く
カラダも強くできている
だから病気や怪我などで
死ぬ者は滅多にいない
成人するまでには50年かかる
寿命はだいたい200年



この2つの種族は
先に述べたのはサリ族で
後に述べたのはガリ族と呼ばれる

サリ族は森に住み
ガリ族は砂漠に住んでいる

サリ族の森と
ガリ族の砂漠の間には
大きな湖があり
両属共にこの地を巡って
争いが止まない

サリ族はカラダは弱いが
頭脳はガリ族より優っており
彼らの街は発展している
ガリ族はあまり頭は良くないが
砂漠にもそこそこの街を作っている
だいたいが農業従事者だ

この2つの種族
協定を結んで
協力し合えれば良いのだが
元々のカラダの作りが違うので
そもそもが合わない

サリ族は寿命が短いのもあって
決断も早く即行動に移すのに対して
ガリ族はサリ族からしたら
もの凄くのんびりしており
決断するにも何十年とかかったりする

ですので
交渉ごとをしようと思っても
サリ族からしたら
ひとつの提案をしても
回答までに何世代も待たなくてはならない

そんな訳で
結果的に水と油の関係になってしまった

常にサリ族は好戦的で
ガリ族は仕方無しに対抗措置を取る

闘う人数はサリ族の方が圧倒的に多く
武器も多彩であるのに対して
ガリ族はその半分以下だし
武器といっても
せいぜい農機具やそれらを多少加工した物しか持っていない

だがサリ族は弱い
ちょっとしたことでスグに命を落とす

結果的にいつも決着が付かない

では何故このような紛争が常に続くのか

それはちょっとした出来事から始まった
そして争いのキッカケは湖ではなかった



今から数百年前
サリ族の女性とガリ族の男性が恋に落ちた

この頃も両族は決して仲が良かった訳では無いがいがみあってはいなかった

ただ両族の血が交わる事はお互いに不吉とされていた



しかし2人は恋に落ちてしまい
しかも子供もできてしまった
最初が男の子で次にできたのが女の子であった

2人は両族から逃げて湖の反対側にある小さな島で潜んで暮らした

男の子の名前はアダムと名付けられ
女の子の名前はイブと名付けられた

2人はスクスクと成長した

ある時
サリ族のお母さんが寿命が来て亡くなってしまった
ガリ族のお父さんは寿命の事は分かっていたが
悲しみにふけ
とてもじゃないが生きていけない
そんな気持ちになった

お父さんは言った

「私たちはもう行かなくてはならない
お前たちは新しい種族となった
お前たちは兄妹だが種のため
結婚して子供を産みなさい
そして平和な国を作りなさい」

そう言い残して
お父さんはお母さんを抱きかかえ
島を出て行った

その後
サリ族のお母さんと
ガリ族のお父さんの
遺体が湖のそばで
サリ族によって見付けられた

これがきっかけとなり
サリ族はガリ族に攻撃をし始めるようになった



アダムとイブは
両族に見つからないように
家族を作り学び成長し
どんどんその数を増やしていった

サリ族もガリ族も
その事を知らない

それから数百年の時が流れ
いまだにサリ族とガリ族は争っている

アダムとイブの子孫たちは
両族の血をひいて
寿命も数十年持ち
頭の回転もはやく
ドンドン発展した

やがて大きな街ができた頃
サリ族とガリ族は
この新しい種族を知った
この新しい種族は
マン族と呼ばれた

マン族の人々は
サリ族より発達した街を作り
ガリ族同様に丈夫なカラダを持っていた

サリ族とガリ族は争いの果て
殆どの人がいなくなり
消滅しかかっていた

マン族はそれに手を差し伸べた

両族をマン族の街に迎え
取り込み
多種多様な新しい人間が出来た

それからおよそ数千年後
地球にはマン族を主体とした
人間たちで溢れた

そして色々な国を作り
発展していった

しかし不思議なもので
サリ族の血が残っているので
今現在の地球でも
ありとあらゆる所で
紛争が絶えない

その反面
ガリ族の血も残っている

何が正しくて
何が間違っているのかは
それぞれの立場や思想により
色々な解釈はできてしまう

武器を道具に変え
農作物を育て
漁に出て魚を取り
お裾分けの命を頂き
感謝し
平和に仲良く
暮らす事はできないもの
なのでしょうか



ほな!

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