書いたもの

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電子書籍『ルーウィン』あとがき

8月13日に、Amazon Kindleストアで短編小説『ルーウィン』を出版しました。

舞台や構想、モデルについて

『ルーウィン』は元々、現在執筆中の、英国コーンウォール州ファルマスを舞台にした旅行記風小説『僕のファルマス滞在記』のスピンオフとして書き始めたものでした。実は、『僕のファルマス滞在記』に取り掛かる際に長編執筆のブランクが8年もあったため、何かリハビリが必要だったのです。ちょうどそ

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🌟電子書籍を出版しました!

8月13日(木)、自身初の電子書籍となる『ルーウィン』をKindleにて出版いたしました!イギリスの片田舎でほんのひと時出会う、男性と猫をめぐる短編小説です。Kindle端末をお持ちでなくてもスマートフォン用アプリなどで読めますので、お気に留めていただけるととても嬉しいです。読み放題プランからもご覧いただけます。
商品ページにはこちらからアクセスいただけます。
https://amzn.to/30

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感謝しかないですね。
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干し柿の味

 少年僧・宗心が臨済宗妙禅寺の仏門に下ってから、五年が経とうとしていた。

 宗心は両親を生まれて間もなくして失った。すぐに奇特な親戚の老夫婦に引き取られ、それなりによく世話をされたが、これも二、三年ほどで流行り病に倒れた。ほかにも血縁者はいたがどれも金のある家ではなく、これから食い盛りになる子供を受け入れようとは思えなかった。それで結局、彼の面倒を見ようという身内は全くなくなってしまった。

 

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ジェイク・リーの一日



毎朝地下鉄駅を出てくるところから、ジェイク・リーの一日は始まる
人の群れに続いて地上に上がる
入り口を出るとすぐに、四角い澄んだ青空が顔を出す
十一月の早朝は肌寒い
彼は身をすくめる
そして、すでに上げられたジャケットのファスナーを今一度上げる

ジェイク・リーはまっすぐ早足で歩いていく
向かう先は小さなレンガ造りのアパートだ
その部屋は、小説を書くためだけに借りている
まるで彼が救世主か何か

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南天の枝



 秋も暮れという時期、さる保養地に一組の男女が越してきた。年の頃三十くらいのまだ若い夫婦で、細君のほうは胸を病んでいたらしい。二人は、割に温暖な、幸いに良い病院もある地方へと、治療と静養のためにやって来たのだ。とはいえ、妻はもう長いこと患っていたので、彼らの間には、最期くらいは物静かで景色も美しい土地で過ごしたい、という思いが薄々とあったのかもしれない。

 二人は主治医のいる病院のすぐそばに

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『南天の枝』について独り言

短編小説『南天の枝』をお読みいただいた皆様、ありがとうございます。また、これからお読みになるという方にもお礼を申し上げると同時に、折角ですので同作品が生まれた経緯についてちょっと語ってみようと思います。

『南天の枝』は、私自身が撮影した写真に言葉をつけていく、という『Story from a Picture』の第2弾として生まれたものです。この「写真に文章を加える」という試み、なかなか難しいもの

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『また飛べるように』シリーズとChroma Key楽曲

写真を編集中に音楽を聞くことがよくあるのですが、最近は元Dream Theaterキーボーディスト、Kevin Mooreさんのソロプロジェクト、Chroma Keyの楽曲に力になってもらっています。

今回の『また飛べるように』三部作には『Strong』という曲を使いました。この曲の実際の意味や歌詞とは乖離しているかもしれないので、「インスピレーションを受けた」などとはあんまり言えないのですが・

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 夕方の散歩中に犬を見た。よく見知っている犬だ。顔が黒と白の八割れで、人の顔を見れば必ず吠えてくる、憎たらしいあいつだった。

 けれども、今日は様子が違っていた。いつものように、檻の中に気だるげに寝そべっているのではなく、飼い主のおじいさんが運転するシニアカートに乗っていた。普段浮かべている、世の中をどこか諦めたような表情はどこへやら、カートの前部に陣取り、あたかも自分がおじいさんを率いる将

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【超・短編小説】カメオ

小さな石橋の上に、傘を差した少女が立っていた。

少女は真っ白なワンピースを着ていた。差している傘も真っ白だった。少女にそれらを与えたのは彼女の恋人であった。そうして、少女はその小雨の降る中、その澄んだ美しい瞳をじっと見据えて、その恋人を待っていたのである。

少女の恋人は、二三年前、少女の国と隣の国との間に戦争が起こった、兵士として駆り出されていった。そのとき、少女は恋人が町を出て行くのを、遠く

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花火は見ないけれど


 もう三十年も生きているはずなのだが、花火の良さというものがいまいちよく分かっていない。ぱっと光って消えていく大輪の火の花、その後巨大ウニのように夜空に広がる煙、そして火薬の匂い(実は花火の中でこれを一番気に入っているかもしれない)。その迫力や、体の髄まで響いてくるような爆音はなかなか好きなのだけれど、毎夏のように出かけて行って鑑賞すべきものなのかと思うと、自分としてはちょっと違うなあという考

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