Story from a Picture

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Looks Like Rain



何語なのか知らない歌を聞いている

真っ白な昼下がり

恐らく、悲しい歌だ

細かい意味なんてさっぱり分からない

分からないのにずっと聞いている

雨が降ってきそうだ

さっき君の車が、出ていくのを見たような気がする

(^^♪
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ジェイク・リーの一日



毎朝地下鉄駅を出てくるところから、ジェイク・リーの一日は始まる
人の群れに続いて地上に上がる
入り口を出るとすぐに、四角い澄んだ青空が顔を出す
十一月の早朝は肌寒い
彼は身をすくめる
そして、すでに上げられたジャケットのファスナーを今一度上げる

ジェイク・リーはまっすぐ早足で歩いていく
向かう先は小さなレンガ造りのアパートだ
その部屋は、小説を書くためだけに借りている
まるで彼が救世主か何か

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酒は米の水 水戸様は丸に水 意見する奴ぁ向こう見ず・・・嘘です。
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『南天の枝』について独り言

短編小説『南天の枝』をお読みいただいた皆様、ありがとうございます。また、これからお読みになるという方にもお礼を申し上げると同時に、折角ですので同作品が生まれた経緯についてちょっと語ってみようと思います。

『南天の枝』は、私自身が撮影した写真に言葉をつけていく、という『Story from a Picture』の第2弾として生まれたものです。この「写真に文章を加える」という試み、なかなか難しいもの

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ありがたいことです。
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南天の枝



 秋も暮れという時期、さる保養地に一組の男女が越してきた。年の頃三十くらいのまだ若い夫婦で、細君のほうは胸を病んでいたらしい。二人は、割に温暖な、幸いに良い病院もある地方へと、治療と静養のためにやって来たのだ。とはいえ、妻はもう長いこと患っていたので、彼らの間には、最期くらいは物静かで景色も美しい土地で過ごしたい、という思いが薄々とあったのかもしれない。

 二人は主治医のいる病院のすぐそばに

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おめでたいおめでたい
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『四十年前の昨日』



四十年前の昨日、

僕は確かにここに立っていた。

四十年後の今日、

僕はまだこの場所を覚えている。

記憶にあるこの場所は四十年前と驚くほど変わっていない ―

長く帰らなかった僕を責めるかのように。

あの時と比べて驚くほど縮んだようだけれど ―

僕の老いた父母がそうであるように。

ただ、ここにずっと残ったところで、

一体僕に何ができただろう?

その先には何があっただろうか?

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おめでたいおめでたい
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