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週末(9/5,6)の2歳戦回顧


今週も、事前に書いた記事を検証するとともに、そのほかに触れておきたい馬について、メモを書いておこうと思います。


札幌2歳ステークス


土曜日の札幌芝コースは、完全に内有利のバイアスが復活しており、この札幌2歳ステークスを除くすべての芝のレースで、インベタないし内から2頭目を通ってきた馬が連対を果たしていました。

これを踏まえると、いかに道中のラップが特殊な分布になったとはいえ、終始外を回って好勝負を演じた2頭の地力は、かなりのものがあると評価できるでしょう。


勝ったソダシは、道中、前に壁をつくることができず、終始、4頭分ほど外目を走らされていました。この日のトラックバイアスを考慮すると、序盤は最も苦しい競馬を強いられていたのがこの馬だったと言えるでしょう。

ところが、3コーナー手前からユーバーレーベンがマクリに出たことによって、この馬も早めに動かざるを得なくはなったものの、前に行っていたピンクカメハメハやバスラットレオンにより強くプレッシャーがかかる形になったことで、結果的に利を得たのは確かだったと思います。ただ、その分を差し引いても、道中、外々から前を行く馬をねじ伏せ、後ろから迫ってきたユーバーレーベン以下を振り切ったのですから、これはもう『強い』のひと言でしか表現のしようがありません。

これで、クロフネの代表産駒であるフラムドパシオンですら成し得なかった札幌2歳ステークス制覇を現実のものにしたのですから、ソダシにはフラムドパシオンの無念を晴らす活躍を期待したいと思います。あっ、そうそう、フラムドパシオンのネタは、以前、ソダシが新馬を勝った直後にnoteに記事を書いていますので、是非、そちらもご覧いただければと思います。

余談はさておき、これでソダシの未来は大きく開けたと言ってもいいでしょう。瞬発力に課題があるのは確かでも、今回のように自らレースを動かすくらいの強気な競馬で押して行けば、芝でも大きいところを十分に狙えるはず。ダートへの転戦は後回しにしてもいいので、まずは牝馬クラシック路線での活躍を期待したいですね。


2着のユーバーレーベンは、混戦になってワンチャンスという事前の想定を大きく上回る見事なレースぶりを披露してくれました。出遅れ気味のスタートから行き脚がつかないところまでは想定どおりだったものの、12秒台前半のラップの地点で大外をひとマクリしたのには、正直かなり驚かされましたね。それでいて、勝ったソダシに唯一頭最後まで食い下がったのですから、これはもうあっぱれというほかありません。

ただ、ポテンシャルの高さが確認できた反面、ここ2戦で器用なレースができないという顕著な弱点を露呈した以上、今後、安定した活躍が見込みづらいという難しい印象もあります。おそらく、この馬のキャラクターはかなり特殊で、直近ですぐに思う浮かぶ牝馬はおらず、古い話で恐縮ですが、若き日の藤田伸二ジョッキーが騎乗し1993年のエリザベス女王杯を大外ひとマクリで圧勝したタケノベルベットだとか、重馬場で行われた1997年のオークスで2着に食い込んだナナヨーウイングあたりまで遡らないと、似たようなキャラクターの馬を見つけられないくらいなんですよね。そう考えると、今後、パッとしない時期がありつつも、オークスあたりで一発大逆転的なことをやってのける可能性は十分と言えるのかもしれません。


3着のバスラットレオンは、事前の想定どおり相当厳しいレースを強いられた中で、それでも馬券圏内を守り通したのは立派だったと思います。今回は力負けという格好にはなりましたが、この厳しいレースを経験したことが、必ず次に生かされるはずですから、この敗戦で評価を大きく落とす必要はまったくないと思います。

この馬は、初戦の内容からもっと脚を溜めた方が良さが出そうな印象もありますし、距離はむしろマイルくらいの方が合う気もしますので、今後、広いコースでどんなレースを見せてくれるのか、大いに楽しみです。


13着ピンクカメハメハは馬体重が20kg増えていましたが、太目感はなく、むしろ馬体がしっかりした印象もありました。結果的に、1番枠から好スタートを切ったことが災いした感じもありますが、勝負どころで外からマクられた時にまったく抵抗できなかったところを見ると、この馬は、もう少しじっくりと脚を溜めるレースをした方がいいのかもしれません。

ただ、今回のレース内容を見る限り、気性的に抑える競馬ができるかは未知数ですし、馬の雰囲気的に言えば、もっと短距離寄りに適性がある印象もあります。森厩舎の馬でもあり、次走どんな条件のレースを使ってくるかはわかりませんが、今後のレースぶりには特に注目しておきたいですね。

ということで、現時点においては、この馬の評価はひとまずペンディングにしておきます。


小倉2歳ステークス


日曜日の小倉は、午後から強い雨が降り出したため、外伸びは外伸びでも、極端に後ろからでは届かない馬場状態に変化していました。

そんな中、これ以上ない完璧な立ち回りで抜け出したモントライゼを、道中掛かり気味の追走だったメイケイエールが大外から差し切ったのには、さすがにちょっと驚かされましたね。


その勝ったメイケイエール。出遅れというほどゲートが遅かったわけではないものの、初戦同様行き脚がつかず、序盤は最後方を追走。そこからジョッキーがなだめながら追走する形になりましたが、かなりハミを取ってガツンと行きたがっていましたから、序盤に相当のロスがあったことは間違いありません。その様子を見て、「ああ、これはマクって止まるな」と思ったわけですが、止まるどころか先に抜け出したモントライゼまで捕まえてしまったのですから、これはもう、ここではモノが違ったというほかないでしょう。

ただ、今回この馬が果てしない可能性を感じさせてくれたのは事実でも、行き脚の鈍さと行きたがる気性は今後に向けて大きな懸念材料になってくるとも思います。相手が軽いうちは力づくでもなんとかなるものですが、さすがに一線級の相手にこのレースぶりでは、なかなか上位に食い込むのは厳しくなるはず。それを考えると、今後はレースを使いながら少しずつでも経験を積んでいく必要があると言えそうですね。


2着のモントライゼにとっては、馬場の悪化やレースの流れなど、これ以上ないほどの条件が揃う中で負けたのでは、これは力の差としか言いようがありません。

それでも、悠々と2着は確保したのですから、自分の力だけはしっかりと出し切るいいレースができたとは言えると思います。大物感こそありませんが、好位から安定したレースができるのは大きな強みですから、今後も大崩れのない安定した結果が期待できそうです。


3着フォドラは、こちらの想定どおり、差しに構えて進境を見せてきました。控える競馬ですぐに答えを出したセンスの良さは、きちんと評価しておきたいですね。

ただ、ポテンシャル的には、現状はこれが精いっぱいという印象もあります。距離延長が歓迎とも思えず、あまり追っかけてどうこうと馬ではないように思います。


8着セレッソフレイムは、終始、内からアールラプチャーに張られたのが致命的でした。まあ、それがなくとも3着までだったとは思いますが、考えうる中で最悪の展開になってしまったのは事実でしょう。

したがって、この大敗は度返しもいいはずで、フォドラとほぼ同等くらいの評価は残しておきたいところです。血統も厩舎も地味で、基本は人気になりにくいタイプですから、次走以降の巻き返しは常に頭に入れておきたいところですね。


すずらん賞


このレース、新潟からの転戦となったラストリージョが接戦を制して勝利しました。実はこの馬、新馬勝ち直後に、諭吉さんをたくさん連れてきてくれそうな馬として、noteの記事で紹介していたのですよね。(当時の記事はこちら

今回は、初芝で地方馬との交流レースでもありましたから、事前に確実に勝てるとまでは言い切れなかったわけですが、好枠から出てインで脚を溜め、序盤で行きたがった分、ゴール前でややジリっぽくはなったものの、それでもしっかりと勝ち切ったのは立派だったと思います。

いつもうまくいくわけではないけれど、こういう地味で力のある馬を何頭自分の引出しに入れておけるかによって、年間の馬券収支はビックリするほど大きく変わってきますから、是非皆さんも、こういった視点を大事にして競馬を楽しんでもらえたらと思います。

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