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MTB-Oの練習(2019年版)

最初に告知です!年末に東海地方でMTB-Oの練習会やります!

12/28(土) 三重県伊賀市 集合場所:上野森林公園

12/29(日) 愛知県春日井市/小牧市 集合場所:落合公園

10時頃集合→練習開始、15時頃終了の予定です。MTBだけでなく、シクロクロスバイク、クロスバイク、ママチャリなどでも走れる場所とコースにする予定です。

途中参加/退出、ドタキャン/ドタ参加全然OKです。参加をご検討の方はFacebookやtwitter、コメントなどでご連絡ください。


ここから本編

本投稿は「オリエンテーリング Advent Calendar 2019 今年もオリエンテーリングを語ろう(裏版)」の11日目の記事です。主に2019年のMTBO Japanチームの活動/練習について紹介します。

企画ページはこちら → https://adventar.org/calendars/4582


自己紹介

さくっと自己紹介をします。京葉オリエンテーリングクラブの阿部と申します。千葉県在住の会社員で、オリエンテーリングの世界に足を踏み入れて8年目になります。所属クラブは東北大学学友会オリエンテーリング部→京葉オリエンテーリングクラブです。

直近ではフット-O(日本で広く行われている足で走るオリエンテーリング)とMTB-O(マウンテンバイクで行うオリエンテーリング)を交互にやっており、春夏:MTB-O、秋冬:フット-Oとオフロードバイクみたいな感じでやってました。ただし、現在は膝の靭帯を手術しており、2020年秋ごろの競技復帰を目指して治療/リハビリ中です。競技以外ではフット-Oのイベント運営を定期的にやっています。

MTB-Oでは日本代表として2018年(Austria)、2019年(Denmark)の世界選手権に出場しました。

日本のMTB-Oのお話

まずMTB-Oについてさっくり説明します(知ってる人は飛ばしてね)。文字通りマウンテンバイクで行うオリエンテーリングです。道/小径のネットワークが発達した森の中や市街地で行います。道/小径と一部の通行可能なエリア(開けたところや舗装区域)のみ走ることができます。マウンテンバイクで走るので高速度でのルートファインディング/ナビゲーションを行います。これが意外と難しいです。

20191207 MTBO2019世界選手権報告会資料_訂6

日本国内のMTB-O競技人口はフット-Oと比べて少ないのでクラブチームは存在せず、MTB-Oを行う人たちのFacebookグループ「MTBO Japan」で競技や練習についての情報共有を行っています(興味がある人は覗いてみてね!)。あと、Twitter(@mtbo_japan)も広報でやっています。

https://www.facebook.com/groups/mtbojapan/

2019年シーズンのトレーニング

MTBO Japanチームは毎年開催される世界選手権、マスターズ世界選手権に向けたトレーニングを行います。今年の世界選手権はDenmarkのViborgで7月末~8月上旬に、マスターズ世界選手権はGermanyのRabenbergで10月上旬に行われました。MTBO Japanチームはこれら2つの遠征に向けたトレーニングを行っていきました。

MTB-Oのトレーニングとしては主に①実践トレーニング②フィジカルトレーニング③バイク競技(MTB/シクロクロス)④フット-O競技の四つに分かれます。今回は①実践トレーニングについて書きます。本投稿での実践トレーニングはチームメンバーが集まって合同でMTB-Oの練習を行うことを表現しました。


トレーニングキャンプ in Denmark

国内での合同トレーニングが本格化する前に、Denmarkでは4月のイースターに合わせてトレーニングキャンプが開催されました。世界選手権の対策として羽鳥さんがこれに参加し、現地の状況などを共有してくれました。参加者は300名以上いたそうです。

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路面は砂利道などでガシガシ踏める道はわかりやすいネットワーク密度が高い(ナビゲーション難易度が高い)。多くの森にMTBトラックがある。軍用地(リレーのみ)は状況が異なり、道の種類によっては砂がちで走行度が下がる、分岐が砂地になってて道と道のつながりが分かりにくい。というようなプロファイルがMTBO Japanチームで共有できました。

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日本国内での実践トレーニング① 4月~7月

世界選手権に向けて、国内での実践トレーニングでは、既にマップ化されているエリアに加え、新規地図も作って対策をしていこうという形になりました。使われたエリアは以下の通りです。太字は今年新規で作成したマップです。

4月 三重県伊賀市(阿山)、東京都武蔵村山市/東大和市/埼玉県所沢市(狭山湖周辺)

5月 愛知県稲沢市(既存)、長野県諏訪郡富士見町(兼代表選考会、既存、富士見パノラマリゾート周辺)

6月 静岡県裾野市(十里木、こどもの国とサファリパークの間のあたり)静岡県御殿場市(東富士演習場の隣)千葉県成田市(成田市街地)、長野県諏訪郡富士見町(富士見パノラマリゾート周辺)

7月 静岡県御前崎市(ほぼ全域)山梨県北杜市(長坂総合スポーツ公園周辺)、長野県諏訪郡富士見町(富士見の森)、千葉県成田市(6月と同じ)

チームメンバーが関東と関西に住んでるので中間の長野県、山梨県、静岡県での練習が多かったです。トレーニングに選んだエリアは走りやすい未舗装路多め、もしくは道のネットワークが密なエリアが主に選ばれました。

日本国内での実践トレーニング② 8月~9月

マスターズ世界選手権向けのトレーニングでは、本戦での登りの多さを考慮し、高低差のある場所が多く選ばれました。関西在住の遠征メンバーが多いため、静岡県、岐阜県、滋賀県などで練習が行われました。同じく太字は今年新規作成したマップです。

8月 滋賀県米原市(山東、伊吹山のふもと)、静岡県御前崎市(7月と同じ)

9月 静岡県浜松市(三ヶ日エリア)岐阜県大垣市(スプリントテレイン「時」周辺)岐阜県恵那市(クラブカップ7人リレー会場周辺)岐阜県中津川市(中心地)静岡県御前崎市(7月と同じ)

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練習期間を通じて、多くの新規作成マップで練習を行うことができました。新規マップが多いということはそれだけ事前の記憶なしでナビゲーションの練習ができるので、毎週のように質の高い練習ができたと思います。


実践トレーニングの様子

実践トレーニングはだいたい9時ぐらいに集合、バイクのセッティングをしながらメニュー前のミーティングを行い、10時ぐらいに開始、各自自分で選んだコースを走ります。コースの合間に休憩を入れながら15時~16時ぐらいまで走ります。メニューは6~10kmぐらいのコースが4~6本ぐらい用意されていて、羽鳥さんとか自分が全部やりきるか1、2本残るぐらい。毎回なんやかんやで1日40km以上走りました。

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6月~7月はDenmark対策ということで、とにかく細かいナビゲーションの練習をしました。結果として毎回下の写真のようなコントロールピッキングのコースを中心に走りました(NaviTabiの設定がしんどかったです)。ちゃんと休憩しないと途中で意識が遠くなったりします。

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途中から、コンビニの近くをフィニッシュにすると休憩が取りやすいということに気がついたため、スタートフィニッシュをコンビニにするようになりました。みんなポケットにSuicaや1,000円札を入れてメニューやってます。長野県の練習ではあのハッピードリンクショップがスタート/フィニッシュになることもありました。

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週末を狙ったように天気の悪い日が多い夏だったので、だいたい雨に降られ、時々蒸し暑いコンディションで走りました。

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いくつかの練習会にはMTBOチームだけでなく、MTB、シクロクロスやフット-O、スキー-Oの競技者が飛び入りで参加してくれました。MTB競技者の岩田さんはMTB-Oもすごく速かったです。羽鳥さんもびっくり。

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MTBO Japanチームのマップ作成

最初の方で今年は多くの新規作成マップでトレーニングができたと書いていますが、トレーニングに使うマップは随時MTBO Japanチームで作っています。やり方は国土地理院の国土基本情報と国土交通省の国土数値情報をダウンロードし、それらを専用ソフト(VectorMapMaker、QGIS、OCAD)で加工し、地図として出力してます。マップの雰囲気はだいたいこんな感じです。道/小径と私有地(オリーブ)、耕作地(黄色)、林(薄緑)、公園(オレンジ)、建物(グレー)が表現されています。

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MTBO Japanチームでは、今年のゴールデンウイークに新規マップ作成のマニュアル(NishiPRO様提供)を整理する合宿を行い、そこでまとまったノウハウで新規マップを作成しました。マップを作りながら徐々にマニュアルやソフトの設定をブラッシュアップし、現在では慣れれば1日以内で地図作成ができるようになっています。夏から秋にかけての怒涛の新規作成マップはこうしたノウハウをベースに実現しています。

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NaviTabiの活用

2019年の実践トレーニングには通過証明/計時システムとして、スマートフォンアプリ「NaviTabi」を全面的に活用しました。もともとはロゲイニング/フォトロゲイニングを中心に活用されているアプリでしたが、2019年4月からMTB-Oの練習にも導入しました。4月末に自動パンチ機能が実装されてからはNaviTabiを使っての練習が基本となりました。MTBO Japanチームからも機能/操作/不具合のフィードバックを行うなど、相互に協力しながらアプリの利用を進めていきました。現在ナビたび様はMTBO Japanチームのスポンサー企業となっております。

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MTB-Oの実践トレーニングにNaviTabiを使うメリットとしては自動の通過記録現地の設置/撤収不要③特別な機材の購入不要④走行中の選手の状態がわかる⑤走行ログが共有できるといったメリットが挙げられます。

①はNaviTabiの「自動パンチ」機能を使っています。コントロールの中心から40m以内に移動するだけで自動で通過証明をしてくれます。パンチ動作不要です。ストレスフリーです。使いながら、もしかしたら未来のOrienteeringは自動パンチが当たり前になるのかもしれないと思いました。

②計時に必要な仕組みはアプリケーションで完結するため、当然現地に機材を設置したり撤収したりする必要がありません。おかげで、バイクを準備したらすぐトレーニングに取り掛かれますし、終了後はすぐバイクを片付けられます。現地にフラッグはないので、通過証明の音が鳴るまではここで合ってるよね?と少しドキドキすることもあります。

③参加者が持っているスマートフォンにNaviTabiをインストールするだけで始められます。もちろんGPS/GNSSの精度の良いスマートフォンを持っているという前提条件があるのですが…

④NaviTabiの「ライブ観戦」機能で各選手が今どのコースのどのあたりを走っているのかをリアルタイムで確認することができます。集合/合流へのコミュニケーションやトラブルの察知などに役立てることができます。

⑤NaviTabiの「結果リスト」から各選手の走行ルート、各地点の走行スピードを確認することができます。トレーニング後のルート検討や反省に役立てることができます。

日本国内でのトレーニングでの使用実績を引っ提げ、世界選手権のフォーラムではNaviTabiを紹介しました。その後、ヨーロッパ各国から試用の問い合わせがあり、10ヶ国以上で利用されています。

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エリア紹介

今年新規で作成したマップ/エリアをいくつか紹介します。

①千葉県成田市 市街地

いわゆる成田ニュータウンと呼ばれる成田駅から西側の住宅街エリアをマップにしました。道のネットワークが細かく、道の方向もぐねぐね曲がる上、車道とは別に緑道が発達しており、ほぼ迷路のようなエリアです。人と車が多いので事故防止の前方確認は頻繫に行ってください。ほとんど舗装路なのでロードバイクでもママチャリでも普通に走れます。

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②静岡県御前崎市 市内ほぼ全域

静岡県の真ん中よりちょっと西側。御前崎市の主要部分と牧之原市の一部をマップ化した感じです。地図内に浜岡原子力発電所も描かれています。ネットワークが密で不規則、ところどころ未舗装路あり、登り区間もありと器用なエリアでした。海鮮なぶら市場集合/解散で美味しい魚介を味わうことができます。

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③山梨県北杜市 長坂総合スポーツ公園周辺

長坂総合スポーツ公園から西側、長坂駅と小淵沢駅の間のエリアです。作成は八ヶ岳レジャーセンター大泉様に行っていただきました。未舗装路区間が多く、ガツガツ走れて楽しいエリアでした。世界選手権前の3連休は北杜市/富士見町の3エリアでトレーニングを行いました(宿泊はもちろん八ヶ岳レジャーセンター大泉です)。

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あとがき

自分自身は春から7月までチームのトレーニングを行い、世界選手権に出場しました。結果としてはMiddle DistanceでSIACの起動確認を忘れ、第2コントロールからスタートに戻ってやり直すという大ポカ以外はパンクや落車などの大きなトラブルなく4種目で完走ができました。去年と違い、確実に完走したことで世界レベルとの差(パワー、テクニック、ナビゲーション、ルートチョイス)がイメージできたという材料を得て帰国しました。

トレーニングの成果については、去年よりスムーズにルートファインディング/ナビゲーション/実走をつなげることができたと思います。ただ、細かいところでのルートミス、微細エリアでのナビゲーションミスが課題になりました。

成田や御前崎などでのトレーニングでの効果は出ていますが、自分のバイクスキルがまだ未熟なため、ルートファインディング/ナビゲーションに使う脳内のリソースを未舗装路をバイクで走るという処理がひっ迫しているような形になり、結果的にミスを生むといった状況だと整理しています。特に最後のRelayで使われた軍用地エリアは、砂地や水溜まりなどの乗り方が下手くそでずるずる遅れてしまいました。こうしたバイクのテクニックを向上させることも大きな課題の一つです。

5月6月の体調管理が上手くいかず、ローラーを踏めない時期もあり、特にLong Distanceなどでパワー不足も実感しました。以上が大まかな今年の反省です。

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事前の記憶がないエリアでのトレーニングは一定のナビゲーションの負荷がかかりますし、特に成田のトレーニングはスプリントなどでの競技力向上につながるという声もあり、多彩なエリアでのトレーニングはチームの全般的な競技力向上に結びついています。

引き続きMTBO Japanチームは2020年Czech Republic、2021年Finlandへの準備を続けていきます。機材レンタルもやっていますので、MTB-Oを始めてみたい方、MTB-Oの練習に興味がある方は、ぜひ一度練習会に来てみてください!

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