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テレインハンティングは面白い?

まじめな方の記事は→こちら

なんか最近やたらと新規テレイン開拓ブームが起こっていますね。しかも皆良いところばっかり見つけてきてしまうので、とても羨ましいです。

まず、テレインを新しく作ろうと思ったとき、
①「良いテレイン」の探索
②該当地域との交渉
③テレインの調査
④調査結果を作図

の4つを実施するはずです。②や③に関しては既に過去のアドベントで沢山記事が出ているし、④もやり方は調べればすぐに出てきます。今回は「こんなやり方があるよ」という①についての記事です(過去に同じ内容のものがあったらごめんなさい)。

そもそも「良いテレイン」って何なの?

これに関して様々な解釈ができると思いますが、個人的には、
「ナビゲーション×走る能力をいかんなく発揮できる場所」
だと思います。もう少し噛み砕くと、オリエンテーリングは方向感覚や地形の読み取り能力が試され、それに加えて競走の概念を取り入れています。したがって、これらの能力を使わずに済んでしまうような場所はテレインとして相応しくないのです。どれだけ緩斜面であってもヤブや倒木が多すぎて明らかにスピードが落ちてしまうようなところ(ここでいうスピードが落ちるはナビゲーション能力を使おうとして落ちるスピードでなく、物理的な障壁が多すぎて落ちるスピードのこと)や、どれだけ見通しが良くてもただだらだらと登るだけ・下りるだけのところはオリエンテーリングに適したとはいえません。後者は特にコースプランナーに左右されると思います。テレイン自体の面白さとコースの面白さが噛み合って、初めて「良いテレイン」の印象を与えられるのです。

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WOCの併設で走ったフォレストテレインの一つ
見通しは非常に良く、それでいて複雑な地形によってナビゲーションが面白いコースでした

面白いテレインの探し方

ここからは具体的にどうやって探すのかを2つの視点から見ていきましょう。


①地形
傾斜が緩いところや尾根が発達した面白いところは地理院地図を使って調べます。すぐに見つけやすいので都道府県を絞れば面白そうな場所は大体見えてきます。下には例として富士南麓を出しておきます。周りに比べて圧倒的に緩く、尾根沢も入り組んでさすが富士テレインですね。

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しかし、地理院地図は等高線間隔が10mなので、一見緩そうに見えてもかなりごつい...ということがままあります。そこで、もっと細かい等高線間隔で表示させたい!というときは、基盤地図情報を簡単に見えるようにしたWeb等高線メーカー(埼玉大学 谷謙二研究室作成)を使うとよいでしょう。0.5m間隔でも表示できてしまいます。

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↑Web等高線メーカー:5m間隔&25m間隔で太線にした場合

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↑Web等高線メーカー:0.5m間隔にした場合(読み込み重いので注意!)

しかし、5mメッシュの基盤地図情報だけでは現地の細かい地形を完全に取ることはできません。さらに細かい情報を確認したい!と思ったら、CS立体図を使いましょう。CS立体図とは、長野県林業総合センターが考案した地図表現方法の一つで、曲率(Curvature)傾斜(Slope)の違いを着色して作られた立体図です。ちょっとした崩落面や亀裂が見つけやすいことから林業等に用いられています。詳細はぜひ下の資料を読みましょう。

参考資料(CS立体図の特徴):長野県林業コンサルタント協会より

そして、都道府県の中には詳細なCS立体図を公開しているところもあります。現在は長野、静岡、岐阜の3つがそれぞれ0.5m~1mメッシュのかなり高精度のものを公開しています(早く他の都道府県も公開してほしい)

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CS立体図の例(同参考資料より)航空写真では過去に地すべりの発生した場所であるのは判別できない

QGISなどのGISソフトを使えば基盤地図情報もCS立体図にできますが、5mメッシュなので解像度が大幅に落ちます。これ以上を望むのであれば、民間の航空会社からLiDARデータの購入をオススメします(高いけど!)

②植生・ヤブの発達具合
さて問題はこっちの方です。森の中の植生がどうなっているかは航空写真を見てもよく分かりません、「木の種類が違うな」程度です。しかし、これを解決してくれるツールがあります。
まずはみなさんご存じGoogleストリートビューです。日本の道路はほとんど網羅しているといっても過言ではないでしょう。どんなに山奥の道でもストリートビューが入っていれば、道のそばの植生はよく分かります。デメリットとしては、「道のそばしか分からない」、そして「情報が古い可能性がある」ということです。一度ストリートビューが入ると、再度入るまでにはかなりの時間が空きます。地元の車がよく通る道でさえも3年くらいかかったので、その間に伐採が入れば当然植生は変わってしまいます。

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岩倉学園付近のストリートビュー 2012年6月最終更新なので、今もこの植生とは限らない

ではどうやったら森の中の植生が分かるのでしょうか?実は日本には全国各地の植生を調査してまとめている企業、それが株式会社エコリスです。
まずは下図をご覧ください。このように植生の分布で色分けされた地図が「植生図」です。矢印で示した色がおおよそ走行可能度A、それ以外はO-mapと同じように、濃い色になるほど走行可能度が低いと思っていただければ結構です。樹木の種類にも注目すると、より走行可能度の区別はつけやすいです(例 ツツジ類は低木なので走行可能度B~C程度)
エコリスの植生図は→こちら

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今年10月に滋賀で行われた全日本大会のテレインの植生図 O-mapと見比べてもおおよそ一致していることがよく分かる

また、植生分布は透かして見れば地理院地図と合わせて見られるので、とても便利です。現在最新Ver.は第7回植生図ですが、まだ大半が未調査のままです。その場合は少し情報が古くなりますが、第5回・第6回植生図の方を見ましょう。

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富士テレインの植生図 植生図で見ても走行可能度は高かった!

さて、この二つを使えば日本全国作れそうなところを探すのはもう簡単です。植生図で大体アタリをつければ現地視察も何回も行くことなく費用が抑えられることでしょう。自分はこの植生図でご飯3杯は行けますね(なんじゃそりゃ)
というわけで、良いテレインの見つけ方をご紹介しました。あとは現地での渉外を頑張れば、大会開催も夢ではないかも!?

(おまけ終わり)


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