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作図ソフトへの地理空間情報の読込方法を探る

※この記事を読む前提として、基盤地図情報の仕組みとジオリファレンスについて理解する必要があります。

オリエンテーリングの地図を作成するうえで、原図を何にするか考える必要があります。コンピュータが普及していない時代は各市区町村の都市計画図などを使っていましたが、現在は国土地理院が発行している「基盤地図情報」という統一基準のもと作成された地理空間情報があります。ここでは、これらのデータから
「必要な情報だけを抽出→OCADやOpen Orienteering Mapper(以下OOM)が読み込み可能なファイルへと変換→ソフトに読み込ませる」
といった一連の流れについて探っていきます。

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※TIFF形式は下絵地図としてのみ読み込み可能(要ジオリファレンシング)
※Open Street Map, CS立体図については今回は取り扱いません

作図ソフトの読込可能なファイル

OCADもOOMも概ね同じファイルを取り扱うことが出来ますが、バージョンやソフトの種類によって若干異なります。筆者はOCAD9(Standard, Pro)、 OCAD2019(Orienteering)、 OOM(Ver0.9.2)を所有しているので、主に利用するファイル形式が読込可能かどうかこれら4つのソフトで比較してみました。
※参考にジオリファレンスに用いるワールドファイルの作成についても記載しておきます。

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この中で、DXF形式はどのバージョンでも利用でき、非常に扱いやすいです。SHPファイルが扱えるソフトではそのソフトの記号変換DBと連動するので、インポートする記号をコンバータファイルに保存すれば毎回設定する必要がありません。特にOOMは記号変換のGUIが良く、操作しやすいです。一方で最新のソフトでしか扱えないOpen Street Map(OSM)形式ファイルは、高精度かどうかが地域の調査者によって異なり、情報が本当に正しいかどうか怪しいため取り扱いには十分注意が必要です。

基盤地図情報を扱う

地理空間情報のうち、オリエンテーリングの地図作成で主として用いられるのは、「基本項目」と「数値標高モデル(以下DEM)」の2つです。基本項目は選択肢がないので問題ないのですが、DEMはいくつかある中で精度の高いものを選択する必要があります。最も高精度なのは「5mメッシュ航空レーザ測量(DEM5A)」です。整備範囲は、地理院地図で確認できるので、ダウンロード前に確認しましょう。整備されていない場合は、10mメッシュデータか測量データを所有する企業からLiDARデータを購入する必要があります。

地理院地図

図 地理院地図で整備範囲の様子(未測量部分は白抜き も見える)

これらXML形式のデータを、従来は「Vector Map Maker」を用いて読込可能なDXF形式ファイルに変換していましたが、別の方法も可能です。実際にいくつか試してみました。
※Vector Map Makerを用いた変換については↓の記事に詳しく記載されています。


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図 Vector Map Maker(DXFへの変換が容易)

基盤地図情報ビューア(FGDV)を用いた変換
ソフトは国土地理院のHPからダウンロードできます。画像をTIFF形式(ワールドファイルも保存可)、各要素をSHP形式に変換できます。このときに平面座標系(JGD2000)に自動的に合わせてくれるので、ジオリファレンスもしやすいです(チェックを外せばUTMとなるのかは不明)。デメリットとしては、任意の等高線をエクスポートできない(地理院地図で表示される10m間隔のみ可能)、PCによってSHPファイル変換の際にソフトが落ちてしまう場合があることです(筆者のPCではダメでした)。もちろん上手くいけばOCADやOOMにそのままインポートできますし、ArcGISやQGISといったGISソフトを用いることで、DXF形式にも変換可能です。OCAD8など古いバージョンを使用している人は、この方式でやってみましょう。
※SHP形式でOCADに読み込む際に"Field ~ not found"のエラーが発生する人は、SHPファイルとその周辺ファイル(dbf, prj, shx等)の名前を半角8文字未満にして下さい(こちらの"OCAD Wiki→Error message→Field ID not found"に記載があります)。

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図 基盤地図情報ビューア(目で見て分かりやすい)

QGISを用いた変換
QGISは無償のGISソフトながらも非常に扱いやすく、データのインポート・エクスポートの際に座標系を自由に選択できます。しかし、データの扱いには「測地基準系」、「地理座標系」、「投影座標系」の3つの違いを理解する必要があります。

測地基準系」・・・経緯度や標高定義のための基準。「JGD2000」や「JGD2011」、「WGS84」などの種類がある。
地理座標系」・・・座標を経緯度で表したもの。平面距離の単位は度(°)で表示されるため、注意が必要。
投影座標系」・・・曲面の「地理座標系」を平面に変換したもの。平面距離の単位はメートル(m)となるので、作図ソフトへの読み込みが可能となる。

基盤地図情報の生データは緯度経度の情報がXML形式となって保存されており、「地理座標系」のデータです。この座標系でDXF形式に変換しても作図ソフトではうまく読み込めませんので、「投影座標系」への変換作業が必要となります。QGISでインポートの際に「地理座標系」を、エクスポートする際に「投影座標系」を選択してDXF形式のファイルに変換してください。なお、DEMデータに関してはそのままではQGISに読み込みできないので、株式会社エコリスの「標高DEM変換ツール」で変換する必要があります。
※QGISでの変換方法についてはこちら(工事中)
※OCAD9でジオリファレンスする際はソフトが対応している測地基準系が「Tokyo(Bessel1841を基に算出)」であることに注意してください。ただし、「JGD2000」でもそこまで変化はないので違っても特に問題ないのかもしれません。

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図 QGIS(2020年4月現在、最新版は3.12.1)

地理空間情報をソフトで直接扱う

OOMや最新版のOCADはOCAD8や9の時代に比べて劇的に進化しています。これらのツールや方法はより正確な地図作成の一助となるでしょう。(記事が出来たらリンク上げます)

・Web Mapping Service(OCAD)

・DEMツール(OCAD)←オススメ

・XMLの生データを下絵として扱う(OOM)

追記:OCADのDEMツールについて、詳しく紹介されている記事がありますのでご紹介します


まとめ

ここまで述べてきた一連の流れを図にしてみました。

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※FGDVでは任意の等高線を作成できない

様々な方法を検証した結果、作図する場合はやはり「VMM」か「QGIS」を用いた方が手間が省けて良いことが分かりました。最新版のOCADを使用している人は、DEMツールを使いこなせば「標高DEM変換ツール」を使う手間も省けるので沢山地図を作る人はぜひ活用してみましょう。
この記事が、素早く正確に良質な地図を作成するための一助となれば幸いです。現在は世間的に動きにくい時期ではありますが、皆さん頑張っていきましょう!

参考サイト

OCAD
OCAD 公式wiki
FGDV
- 国土地理院 基盤地図情報ビューア(改訂版)操作説明書
建築学科ごっこ 基盤地図情報ビューアの使い方
QGIS
QGIS入門のためのチュートリアル -第3回 ラスタデータに触れてみよう-
非専門家のためのQGIS ~基盤地図情報を使った身近な地域の城地図作成~
GIS実習オープン教材 よくある質問とエラー ~測地座標系の変換~
その他(測地系等)
esriジャパン GIS基礎解説 ~測地系~
- 国土地理院 日本の測地系

※実際と異なる部分があった場合は遠慮なくご指摘・ご連絡ください。

追記:現段階では「Vector Map Maker」での作成が一番簡単で速いです(ほかに速い処理方法がある方は教えていただきたいです)


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