日記8 どんなに飼い慣らしても狼は森だけを見る

「あつまれ どうぶつの森」の我が島に、ブンジロウというオオカミが引っ越してきた。

「あつ森」では、好みのどうぶつを島に住まわせるための手段がいくつかある。
離島(作品内通貨の一つである「マイル」で旅行券を買うことにより行ける)やキャンプ場にいるどうぶつをスカウトする、amiiboカードを買ってキャンプ場に召還する、通信先の島から引っ越してきてもらう、等々。
amiiboカードや引っ越しでは目当てのどうぶつをピンポイントでやって来させることができるので、人気キャラともなるとカードがすさまじい値段でメルカリに売られていたりする。
一方、離島でのスカウトは通称「離島ガチャ」と言われるように、目当てのどうぶつを狙って何度も何度も離島に通う運試しである。
7匹目の住人を迎えるにあたり、これといって狙っているどうぶつがいたわけではないが、ピンとくるまで何度か離島に行き、スカウトしてきたのがオオカミのブンジロウだったというわけだ。

どうぶつには何パターンか性格があるが、ブンジロウはコワモテの男だ。他の性格の男キャラと比べて声もダントツで低いし、二人称が「オメェ」だし、目つきも悪い。
本人(本狼?)も自分がイカツいおっさんであることを重々承知しているらしく、今時の横文字ワードを知っている言葉に置き換えて喋ったり、可愛いものに対して「オレみたいなオッサンには似合わねえなぁ……」と苦笑いしてみせたり、さらには白髪が生えたなどの加齢自虐トークまでしてくる。

そんなイカツいおっさんであるブンジロウの最大の魅力、それはみんな大好き「ギャップ萌え」である。

普段はチンピラとべらんめえ調の中間のような口調で話し、任侠じみた雰囲気を漂わせているが、時折垣間見える知的な一面が素敵だ。
ブンジロウはよくメガネをかけて本を読む。自分がメガネのため普段メガネ萌えを全くしない私だが、これにはときめいてしまった。
しかも読んでいる本がいつも活字オンリーなのである。他のどうぶつは花の図鑑とか、楽器や筋肉の本など図入りのものしか読んでいるのを見たことがないので、もしかしてブンジロウはこう見えて読書好きの部類に入るんじゃないかと思った。
さらに、ブンジロウの部屋にはチェス盤が置いてある。チェスといえばなんだか頭の良さそうな趣味だ(頭の悪そうな感想)。

部屋のインテリアも良い。丸太素材の落ち着いた家具で統一されており、ゴチャゴチャしていない。さりげないセンスの良さが光る。
そうかと思えば部屋で鳴っているのはゴリゴリのロックである。推せる。
部屋にクーラーボックスがあるので、釣り好きなのだろう。ブンジロウの将来の夢は「登山家」なので、アウトドアに関心が深いのだと思う。

落ち着いた大人の彼だが、意外とはっちゃけている一面も見られる。広場で歌を歌っていたり、この間は他住民の誕生日パーティーで星のサングラスをつけて跳ね回っている現場も目撃した。

そして、ブンジロウ最大の魅力は「笑顔がかわいい」。
普段の目つきの悪い顔から一転、(^∀^)←こんなニコニコ目で屈託なく笑うのだ。あれにはやられてしまった。加えて、笑うと目の下に一本線が入るのが最高にかわいい。

島に来たばかりだというのに、ブンジロウの多面的な魅力にすっかりあてられてしまった。
これはやばいのではないかと思い、Twitterで「ブンジロウ 夢女」「ブンジロウ ガチ恋」など検索をかけたところ、出るわ出るわ、たくさんの同志を確認できた。中には同担拒否の御仁もいらっしゃったほどだ。

どうぶつの森シリーズは、釣りや虫捕りに邁進したり、インテリアにひたすらこだわったり、はたまた花の交配ガチ勢、カブ取引ガチ勢などといった勢力も存在し、多種多様な楽しみ方がある。その一つとして、プレイヤーのものの見方によっては乙女ゲー、ギャルゲーとしてエンジョイするという道もあるのだ。

ブンジロウを迎えて思い出したのだが、懐かしのDSソフト「おいでよ どうぶつの森」ではロボというオオカミが大好きだった。
ロボとブンジロウは種族も性格も同じなので、共通点が多い(ブンジロウのほうがより渋い印象だが)。
当時小学生だった私は、大好きなロボにしょっちゅう話しかけたり手紙を送ったり、やたらめったら家に押しかけたりしていた。
デリカシーのないことに、住民はこちらが送った手紙を同じ村に住んでいる家族や通信先の友人に見せてしまうのだ。力の入ったガチ恋レターを読まれてしまい恥ずかしくなったのも今となっては良い思い出だ。
ロボとはちゃんと写真をもらうまでの仲になったはずである。
私の初代DSはまだ壊れていないので、電源をつければ「おい森」を再びプレイすることもできるはずだ。
あの頃夢中で駆け回った村は今頃どうなっているんだろう、ブンジロウの一件でふとノスタルジーに駆られた一日だった。

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