日本で最も過酷なサッカー大会「地域CL」が今年も開幕

地域CLと呼ばれる大会が今年も無事開催を迎えました。正式名称は「全国地域サッカーチャンピオンズリーグ」です。私は毎年、この大会を楽しみにしています。独身の頃は全日程を観戦するほどに好きでした。近年は家庭の事情により観戦は控えていますが、注目度は変わりません。

日本のサッカーリーグの構図はJリーグを頂点とし、JFL、地域リーグ、都府県リーグと続くピラミッド構造となっています。そして上下関係の有る各リーグの間には昇降格が発生します。各リーグ間で行われる昇降格のうち、地域リーグから全国リーグであるJFLへの昇格チームを決める大会こそが地域CLです。

地域CLは「日本で最も過酷な大会」と呼ばれています。そう呼ぶ方々の着眼点は様々ですが、私は2つ有ると思います。ひとつは過密日程、もうひとつはクラブの存続すら賭けた戦いである点です。

過密日程については日程表を見ていただくのが早いです。大会は1次ラウンドと決勝ラウンドの2段階となっており、それぞれ4チーム総当りを3日間で実施します。要するに3日で3試合を2セットです。サッカーの試合日程は3日程度の間隔をとるのが通例です。今年はJリーグも過密日程となっていますが、それでも中2日は空いています。

過密日程の背景には懐事情がありそうです。地域リーグを戦うクラブは活動費が潤沢ではありません。基本的にスポンサー収入がほとんどであり、クラウドファンディングを利用して活動費を集めるクラブもあります。そのクラブを支える企業も資金が潤沢にあるのは稀です。加えて選手や運営スタッフは一般企業で働く社会人です。遠征のために有給を取得する必要があり、あまり長い休暇は取得できません。これらの事情を考慮した結果、週末を利用した3連戦となる日程が組まれているようです。

クラブの存続すら賭けた戦いであるというのは、その懐事情が背景にあります。全国リーグへの昇格を果たすには、関東リーグなど各地域リーグを制した強者すら制さなければなりません。そのためにはある程度の選手を集める必要があり、選手にとって魅力的な環境を整える必要があります。場合によっては選手とプロ契約も締結します。そうこうしているうちに地域リーグのクラブにしては身の丈に合わない出費が生じてしまいます。

全国リーグ昇格を目標に活動しているクラブが何年も昇格を果たせなかった場合、スポンサーが離れてしまう可能性があります。あるいは大企業の部活動として活動しているクラブの場合、経営判断により解散を命じられるかもしれません。地域CLに出場する実力がありながら姿を消したり規模を急激に縮小していったクラブは幾つも見てきました。各クラブの積年の思いがこの大会に集約されます。

全国リーグに昇格できるのは参加12クラブのうち2クラブのみです。既に1次ラウンドの1試合は終わっており、本日は2試合目が開催されます。場合によっては決勝ラウンドに進出するクラブが決まります。高い緊張感の中で行われる「日本で最も過酷な大会」をどのクラブが勝ち抜くのか、とても楽しみです。

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