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社長アンケートで4割が求める「裁量労働制の対象拡大」にも期待したい話

本日の日経新聞朝刊の1面の見出しは『規制緩和「拡大を」9割 行政手続き・再生エネ 新政権に期待、地銀再編にも支持』という記事でした。社長100人アンケートの結果として規制改革を望む声が多く上がっています。如何に窮屈な思いで会社経営をされているかを推し量れます。中でも「行政手続きのオンライン化」は特に熱望されているようです。「菅政権に求める規制緩和」という題の複数回答のアンケート結果がグラフになっていました。「行政手続きのオンライン化」の回答は7割を超えています。

「菅政権に求める規制緩和」のグラフの中に私としては意外なものが入っていました。それは「裁量労働制の対象拡大」です。およそ4割の社長がこの選択肢を選んでいました。

裁量労働制は実労働時間に関わらず一定時間働いたとみなす契約です。例えば1日8時間と定められていた場合、4時間しか働いてなくても18時間働いても、1日8時間分の労働をしたとみなされます。追加の残業代が支払われないため、私は「定額働きたい放題」と半ば自虐的に揶揄しています。実務時間と成果が必ずしも一致しない職種で有効です。また、適用可能な職種が法で限られています。

裁量労働制は良し悪しの幅が広い契約体型だと思っています。従業員にとっては時間に縛られずに業務に没頭できる点と、ライフワークバランスの自由度が高いのが利点です。時間の縛りがないので始業時間も就業時間も実質は無いに等しいです。その代わり、どれだけ働いても残業代は出ません。システムトラブルやプロジェクトが架橋となった局面において、深夜や明け方まで対応することがあると思います。深夜割増は定められたとおりに発生するにせよ、残業代としては一定額しか支払われません。欠点はあるものの、総合評価としては従業員の幸福度が高くなる契約体型だと感じています。

一方で経営者にとっては扱いの難しい契約ではないかと私は想像しています。特に業務管理についてです。従業員の成果を正当に評価して強い信頼関係を結ばなければ選びにくそうな印象があります。裁量労働制の従業員はサボろうと思えば堂々とサボれてしまいます。業務管理を就業時間に頼る企業文化が根強いと、その転換には相当な労力を要すると思います。そのような理由でアンケートの4割というのは私は思った以上に多いと感じました。

裁量労働制が導入されることで、自ずと成果に目が向けられます。上手く活用できれば企業の生産性は大きく向上できるでしょう。噂に聞くデスクに座って仕事した気になっているオジサンは自ずと駆逐されます。裁量労働制の適用は特定の職種に限られています。おそらく裁量労働制の利点を活かしたい職種が他にも多くあるのでしょう。

「令和おじさん」などと呼ばれていた菅義偉氏は総理大臣就任によって印象が変わりました。今や改革の旗印です。菅政権からは現状は裁量労働制の緩和についての話は大きく上がっていなさそうですが、世論の期待が高まれば分かりません。裁量労働制の幅が広がって利点が十分に生かされたら、生産性や幸福度が上がる人が増えて良いのではと期待します。

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