SNSが広告の巨大な「実験場」になる日

先日Twitterで新たにアカウントを作成する機会がありしばらく利用していたが、広告に関して時代の変化を感じたので記録に残そうと思う。

Twitterでアカウントを作成してタイムラインを見たとき、少しスクロールするだけで広告が表示される仕様になっている。大阪住みのアカウントを作成後、Twitterを開くと大阪の関する広告が表示され、東京住みのアカウントを作成後、Twitterを開くと東京の広告が出ている。まさにこちらのアカウントの属性に応じた広告をTwitterは表示している。

ここで表示される広告、以前は胡散臭い企業が広告を入れていることが多かったように思うが、現在は大手企業がTwitter広告にどんどん参入しているように感じている。

これはTwitterに限らない。すべてのSNSで大手企業の広告が増えている。


背景にはCookieの廃止

Cookieとはトラッキングによって得られたユーザーデータを保存しているものでそのデータは非常に有益なものだった。広告業者にとっては『どんな属性の人』がこのサイトを見ているか?『どんな属性の人』にこの広告を出すといった広告戦略を練ることが可能であり、広告業者の中での必須ツールになっている。

例えば一度調べた内容がずっと広告として表示されることはよくあるだろう。この方は『サッカーを調べていた』からこの方にら『サッカーの広告を表示する』といった内容である。広告戦略の中で非常に役に立っていた。

しかしながら個人情報の収集といった観点で問題になる今後の廃止が決まっている。

対応を追われるマーケティング手法

大手企業にとっては今までCookieを生かした広告が今後期待薄になるために広告費の振り直しが検討課題になっている。

広告業は元々時代背景とともに変化してきた過程がある。

スマートフォンが出るころまでは都会ビルの看板、ビラ配りなどがメインの広告手法であった。大きい企業であれば『タレントを用いたテレビCM』といった訴求方法を行っていたが場合によっては億単位の費用がかかることもあり、メインはデジタルとかけ離れた泥臭い訴求方法だった時代だった。

しかしながらネットユーザーが増えたこともあり現在はWebマーケティングが多くの企業の主力になっている。『インスタ映え』など話題性が先行する広告が出てくることが増えたが、それも1つの広告戦力でありユーザーが拡散することで本来訴求する予定のユーザーが更に多くのユーザーに拡散してくれことになる。本来の広告費以上の宣伝効果が出てくるのだ。

こうして拡散することは知ってもらうユーザーを増やすといった点では渋谷の大きいサイネージで流すことと効果は同じではないかと考えている。個人的にはスターバックスはブランドイメージを作ってそのあたりの広告戦略が非常に違和感なくできているいい例だと思っている。消費者の購買プロセスはAIDMAの法則というものがあり、当たり前のことだが認知してもらうことが1番にこないと購買に繋がらない。

SNSを用いた広告へのシフト

時代とともに広告が変わっていていることは上述のとおりであるが、どうも今後のメインの広告手法はSNS広告であるように思える。現状Youtube広告、Line広告、Twitter広告、Facebook広告などあり、大手企業の参入が増えている。個人的な感覚ではTwitter広告とYoutube広告においては特に大きい企業が参入している。

この広告の時代変化は凄く頷ける結果だと思う。現状パソコンでなくスマートフォンユーザーがメインユーザーの時代、Yahooニュースをわざわざ見に行く層やGoogle検索をわざわざ使用する層は減っておりTwitterや『スマートニュース』などのアプリに移行している。今後Cookieが有効なままだとしてもリターゲティングなど従来の広告には少し限界を感じていたのではないかと思う。

SNS広告でもある程度その人の属性は分かる。『この人はどこ住みか』・『この人は何に興味があるか』・『この人は何歳か』など、リスティング広告までの効果は少ないかもしれないが、近いことができる。おそらく企業側はAIなどを用いたらつぶやきの内容からどのような人が詳細の分析までできるようになるのではないかと思う。

そして何と言ってもSNSは『動画』で訴求できるといった大きなポイントがある。現在のYoutubeの流行やInstagramのストーリーの流行を見たらわかると思うが、現在は動画がブームになっている。SNS広告は動画でも広告を出すことができる。見るにしても人々は楽な方に惹かれていくことは間違いない。現在の動画のPRは非常に伝わりやすいように思う。そして動画に話題性を持たせてユーザーに拡散(宣伝)してもらうことはSNSと非常に親和性のあることである。現在企業はどんどん動画PRにシフトしている。

今後多くの企業がSNS上で楽しんでふざけた投稿をしているユーザーを実験台に広告の試験導入を行うであろう。結果次第では今よりさらにSNS上に広告が増えるのではないかと推察している。まだYoutuberが儲かる時代は続いていると思っている。

いつまでも流行りのツールと個人情報の取得はセットであり、広告戦略は時代の流れに合わせていたちごっこをする。今後の動向を見守りたい。