東京でトークイベントを見に行った

2023年11月12日(日)
『現代短歌パスポート2』刊行記念
伊舎堂仁 × 小島なお × 谷川由里子トークイベント
@青山ブックセンター本店

に、行ってきた。

わたしが伊舎堂仁を一生懸命に追っているのは、「この人はそのうちすごく有名になってわたしなんかでは会えなくなる人かもしれない」と思うからなのもあるが、なにより去年せっかく梅田であったトークイベントに行けなかったことをずっとうっすら引きずっているからというのが大きい。まぁその日、イナ戦のライブを見に熊本にいたから本当にどうしようもなかったんだけど。いやでも配信もあったんだから買えたよなー、あー、と、ずっと思っている。今回このイベントに行くことで、その気持ちがちょっとくらい晴れればなと思って行くことにした。前日から文学フリマのために東京にいたしな。

普段イベント事なんてそれこそイナ戦のライブくらいしか行かないから、その感覚で開場30分前に現場到着からの開場即凸で行ったのだが、こういうのって全然そういう場じゃないらしい。開場5分前になっても待機列も何もなく、「え?え???」と思っていたらヌルッと開場時間になり、なんかヌルッと真っ先に中に入れた。結局、チケットにあった「A-3」の表記が整理番号だったのかどうかも分からない。

直前までイナ戦のライブのときと同じ脳の部分を使っていたので、「最前センター取れるかな♡」と思っていたのだが、あまりの会場の落ち着きぶりに勝手が全然わからなくなって怖くなったのと、なによりわたしがでかいスーツケースを持っていた(移動の関係でどうしても置いて来られるところがなかった)のとで結局端に座ることにした。そんなでかいスーツケースを持っている奴は最後までわたしだけだった。

スタッフさんからレジュメが渡されたので、開演までそれを読んだ。しかしますます自分がやるべき振る舞いがわからない。短歌はもちろん、そもそも書籍の出版記念イベントなんてやつが初めてなのだ。大学生の頃に見に行った学会の発表のときの方がまだ落ち着いていた可能性さえある。

なんとかして「大勢の客のなかの一人」になれ、絶対に目立つな、現代短歌への造詣が浅いことがバレるな、失礼な振る舞いをするな、なんならわたしがここにいることを伊舎堂さんにさえバレるな、と自分に思いすぎて、イベント中の90分ずっと身体がガチガチに緊張していた。昨日伊舎堂さんに直接ダル絡みしていた(すいませんでした)ときの方がよっぽどリラックスしていた。なんでお金を払ってこんなに緊張する経験をしているんだ。

しかしイベントは面白かった。(内容に関する感想を言うとトンチンカンなことを言っちゃいそうなので、全体についてざっくり述べます)
かつて生物ライターの平坂寛のイベントに行った際、「音楽ともお笑いとも芝居とも違う珍しい刺激で面白かった」みたいなことを言ったことがあるが、その感覚に近かった。平坂寛のイベントが「めちゃくちゃ面白い先生の授業」なら、このトークイベントは「めちゃくちゃ面白いゼミ生の意見交換」のような。

わたしは文学系の大学生だったことがあるので、ロラン・バルトの「作者の死」の概念をかなり早い段階で習い、それが一種正しいことだとさえ思っていたが、短歌の鑑賞にはそんなこと難しく考えなくていいのかもな、と思った。個人で鑑賞するだけなら、作者のことを考えても考えなくても、もっと柔軟に作品を受け止めていいのかもな。これは短歌に限らずだけど。
本当に当たり前のことを言うが、短歌をやる人って、感受性が豊かな上にそれを言語化する脳がめちゃくちゃ発達しているな〜〜と思った。こんな賢い人たちのお話をわたしなどが聞いてていいのだろうか、と思うくらいに。あとこれはマジでアホの感想だが、小島さんも谷川さんもお美しい方だったな〜。


なんか終演後にパネリストの方とお話したり書籍買ったりサインをもらったりできた時間があったようだが、本当に自分の正しい振る舞いの仕方がわからなくてさっさと退場してしまった。身体が緊張しすぎてもうガクガクに限界を迎えていたのもある。会場を出て、哲学書コーナーで座り込んでしまった。なぜか胃もギチギチと痛む。

しかし哲学書コーナー、せっかくなのでざっと見てみたがタイトルだけではやっぱりよくわからないものだな。哲学書って自分で読みたいものをアタリをつけてから探すもんなのだろうな。このタイミングでロラン・バルトの著書があったのは「お」と思った。『作者の死』はなかったけど。


しかし珍しいタイプの刺激を受けて面白かったな。なんとなく学生時代も思い出せたし。ゆとりちゃんの短歌の日も見学してみようかな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?