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それは、身にまとうアート

新卒で百貨店に入社したとき、自分があまりに "ファッション"というものに疎くて絶望したことを昨日のことのように覚えています。

もともと食品がやりたくて入社したので、ファッションへの造詣が深い同期を横目に見ながら、「新卒3年目までは食品への異動はなし」というルールをずっとうらめしく思っていました。
(新卒研修でデパ地下配属になった数週間が一番ハッピーだった!笑)

学生時代から洋服は好きだったけれど、パッと見の "カワイイ"が優先で、そのブランドのコンセプトやフィロソフィーなんて考えたこともなかった私が配属されたのは特選婦人フロア。

エルメス、シャネル、ディオールなどの有名どころから、ブルネロ・クチネリ、ロロピアーナなど知る人ぞ知る名品ブランドまで、1着の単位が10万円からという世界に放り込まれておろおろするばかりでした。

そこで目にしたのは、ファッションというよりももはやアートに近い芸術的な洋服の数々。

シンプルなドレスやジャケット、シャツに人の体が入るだけでここまで美しく仕上がるのかといちいち感動したものです。

そう、すべての洋服は着てもらうために存在している。

とはいえ1着数十万の洋服を買える人なんてほんの一部、人口の数%程度だし、そもそも一般人にとってはそんなに着飾っていくべき場所なんてありません。

それでも、数億円の価値がある美術品が美術館に行けば鑑賞できるように、これだけ丹精込めて作られた洋服たちを見て・着て楽しめる場所が作れないだろうか、とあの頃からずっと夢見ています。

私は作り手の気持ちはわからないけれど、自分の持てる限りの力を尽くして作ったものはできるだけたくさんの人に見て、体験して、その素晴らしさを認めてほしいのではないかと思うからです。

もちろんその分だけ正当な収入が得られることが前提だけれど、あれだけの洋服を作り出せるメゾンブランドたちが、一般的には財布とバッグのブランドとしか捉えられていないのは非常にもったいないことだと思っています。

きっとそう感じるのは私がファッションオタクではないからで、客観的にブランドやファッションというものを見つめられる立場だからかもしれません。

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女性が結婚式に憧れるのは、それが究極の非日常だからです。

誰だって一生に一度はお姫様になる権利がある。

しかし結婚式ほどではないにせよ、手をかけてつくられた洋服を身にまとうことは非日常の高揚感を与えるものだと思います。

結婚するかどうかは不確定要素だけど、心を癒す "非日常"は自らの手で作り出すことができる。

毎日がんばるのは疲れるけれど、週に1回、せめて月に1回くらいは自分史上最高のキレイを目指してもいいんじゃないかと思う。

明日がくるのが楽しみになるような、健全な物欲は世界を平和にすると本気で信じているので、今年も夢に向かって挑戦を重ねていきたいと思います。

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(Photo by tomoko morishige)

私のnoteの表紙画像について書いた記事はこちら。

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Retail Futurist / curator。「知性ある消費を作る」をミッションに掲げています。 将来は世界一の店舗メディアを作る予定。noteの有料マガジン「余談的小売文化論」とコミュニティマガジン「消費文化総研」もよろしくどうぞ!

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