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「ごめんなさい」の遠慮より、「ありがとう」の喜びを。

一瞬の夢のようだった、香港・マカオ旅行も終わり、南国の花咲く温暖な国からまだまだ寒さ厳しい日本へ帰ってきました。

今回、なんとマカオ旅行中にスマホを紛失するという事件を起こしてしてしまったのですが、マカオから香港への出国ギリギリのタイミングでホテルから「見つかったよ!」と連絡を受け、なんとかホテルへ戻って無事に取り戻すことができました。

実は連絡に気づいたのがフェリーの出国ゲートを出てしまったあとで、イミグレーションの担当者からは「一度出国してしまったらもう戻れません」と言われ、ホテルの人になんとか持ってきてくれないか懇願したのですが答えは「NO」。

タクシーでたった10分で取りに行ける距離なのに、一枚のゲートによって取りに行けない歯痒さに「国境」というものの悲哀を感じていました。

幸い帰国の便は夜だったので時間はあるし、ホテルの人が持ってきてくれそうな時間まで待つか、最悪郵送してもらうか…と様々な可能性を考えつつホテルの担当者と粘り強く交渉していたら、唐突にイミグレーションの担当者から「Follow me!」との言葉。

半泣きでのこのこ着いていくと、イミグレーションの取調室のようなところで書類を書かされ、状況が把握できないでいると「You can go out to pick up your cellphone.」と告げられ、無事に再入国してホテルへ取りに行くことができました。

そして私が携帯を忘れていたリッツカールトンカフェのスタッフも散々電話で迷惑をかけたにも関わらず「無事に出られてよかったー!」「携帯見つかってよかったねー!」「とりあえずお茶でも飲んでいって!あ、ケーキも食べる?」と気遣ってくださり、異国でスマホを失くしてショックを受けていた心にその優しさが染み渡りました。

お言葉に甘えてカフェで充電までさせてもらい、最後に「また来るから〜!」とハグをして別れ、お土産にともらったケーキとコーヒーを持って再度出国ゲートへ行くと、そこには入国時に散々面倒を見てくれた担当のおじさまたちが。

「I finally got my cellphone〜〜〜〜〜〜Thank you〜〜〜〜〜!!!」とスマホが見えるように振りながら伝えると、はにかんだような微笑みで手を振り返してくれました。

私の不注意のせいでイミグレーション担当の人たちにもリッツカールトン・カフェの人にも多大な心配と迷惑をかけ、これが日本だったら「本当にすみません」とただただた恐縮するばかりだったと思います。

しかし、今回は言葉の問題もあって「ごめんなさい」よりも「ありがとう」の方が感情を伝えやすかったので全身を使って「よかったー!嬉しいー!」と表現した結果、迷惑をかけた相手すらも一緒に喜んでくれて、それはスマホが見つかったのと同じくらい嬉しいことでした。

「ごめんなさい」より「ありがとう」の方をより多く使いなさい、というのはよく言われることですが、今回の経験を通して改めて「申し訳ないから」と先回りして遠慮したり恐縮するより、自分の希望をはっきり伝えた上で、叶えてもらったら最大級の笑顔で「ありがとう」を伝える方が、みんなの幸福度が高いのかもしれないな、と思ったりしました。

出国後の再入国もケーキのお土産も特別措置で、あくまでいつも対応してもらえるものではないとわきまえておくことが大前提ではありますが、「これはやってもらえないよね」「こんなこと言ったら恥ずかしいかも」と勝手に想像して諦めてしまうことも、実は本当に困っていることを伝えたらどうにかなることもたくさんあります。

そして本当に困った時に助けてもらった感謝の気持ちこそが、次に自分が助ける立場になった時に相手の身になって最大限の努力を払ってあげようという動機にもなるのです。

海外に行くと感じることのひとつが、「Sorry」よりも圧倒的に「Thank you」を言う頻度の方が高いということです。

それは、日本では「当たり前」のことも海外ではスムーズにいかないことの方が多すぎて、いちいちクレームを入れるよりも「要望を叶えてもらってありがたい!」という気持ちの方が強くなるからなのかもしれません。

とはいえ、海外がよくて日本が悪いとも思わないし、時間も約束もきっちり守られ、説明も丁寧な日本は素晴らしいと帰国するたびに思います。

ただ、「当たり前」のハードルを上げすぎると「なんでできないんだ」「ごめんなさい」のループに入ってしまうので、そもそもの期待値を下げることで「こんなにやってくれてありがとう!」「どういたしまして」のやりとりが増えれば、もっと幸せになる人が増えるんじゃないかと思うのです。

私は人並み以上にうっかりしているのでミスや失敗も多いのですが、必要以上に「ごめんなさい」と小さくなるより、助けてもらった時には迷惑をかけた分のマイナスをプラスに変えてしまうくらい、心からめいっぱい「ありがとう」の気持ちを伝えたいなと思っています。

もちろんきちんと反省してミスを繰り返さないように工夫することは前提ですが、失敗した時に「自分なんて」と自己否定に陥ってしまうか、「私はなんて周りの人に恵まれてるんだろう!」と境遇への幸運を感じるかによって、同じ事象でも人生の幸福度が大きく変わるような気がしています。

せっかくなら、世界の優しさをもっと感じながら生きていきたい。そんなことを改めて感じた旅行最終日でした。

「コンビニとかスーパーとかで買い物してるとき、お店の人がわたしの買った物をせっせと袋に入れてくれてるときにさ、あたしなんかのためにその手がせっせと動いてくれてるんだよ
わたしなんかのために、お菓子やお総菜なんかを袋につめてくれてるわけ
それを見てると胸がギュッとして泣きたくなる
あたしには幸せの限界があるの
誰よりも早く限界がくる
ありんこよりも早く
だってこの世界はさ、幸せだらけなんだよ
リップヴァンウィンクルの花嫁

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