note運営の参考にしたい、大日本市の「カタリベ」企画3つのポイント
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note運営の参考にしたい、大日本市の「カタリベ」企画3つのポイント

最所あさみ

中川政七商店が企画運営する展示会・大日本市がnote上ではじめた「 #カタリベ大日本市 」企画。開始前から企画概要については聞いていたものの、実際に投稿を集め、展示会で大日本市コーナーを拝見して「このやり方はぜひ他の企業さんにも真似してほしい!!!」と強く感じました。

80名を超える応募者はもちろんのこと、その熱量と反響は企業noteの理想的な姿であると感じ、note proチームとともに勉強会も開催しました。
※トークの内容は下記の記事にまとまっています

「カタリベ大日本市」を参考にしてほしい理由

大日本市担当の岡本さんにお話を伺ってからいたるところでカタリベ大日本市の事例を喧伝していたのですが、その一番の理由は「クリエイターとして個人と企業が対等につながることで共創を実現している」企画だったから。

カタリベ企画の内容は、展示会に出された商品を一定期間使ってもらった感想をnoteに投稿してもらう、というシンプルなもの。ともすると、ギフティングやインフルエンサーマーケティングと混同してしまう人もいるかもしれません。

しかし今回の企画はただ商品を渡して宣伝してもらうのではなく、本当に工芸が好きで中川政七商店や大日本市に共感し、モノについて語る熱量の高い人とつながることを重視して実施されました。結果としてそのモノのよさが伝わる投稿が集まり、展示会でも人気の高いコーナーになったとのこと。

つまり一時的なキャンペーンではなく、これから長く続くつながりを作るためのきっかけとして企画されたのが「カタリベ大日本市」でした。

展示会当日もタペストリーに印刷されたカタリベのみなさんの投稿を拝読しましたが、巻物のように長い布地の中にすらすべてが収まりきらないほど愛のこもった文章が綴られており、足をとめてじっくり読んでいる人が多かったのも印象的でした。
※カタリベの投稿作品は下記のマガジンからすべて読むことができます。

私も大日本市の別の企画に参加していたので当日も展示を拝見し、たまたま居合わせたカタリベさんとお話しする機会もありました。その上で担当の岡本さんに企画に込めた想いを伺ったところ、noteで個人と企業の双方が満足いく共創企画を作るには下記の3つが重要なのではないか、と考えました。

  1. 手ざわりのある「アウトプットの場」を用意する

  2.  クリエイター同士をつなげるハブになる

  3. 語るための材料を渡す

以下でそれぞれのポイントについて解説していきます。

集めたあとのアウトプットまで設計する

今回、特に印象的だったのが展示会の会場に作られていたカタリベ大日本市のコーナー。

展示会での「カタリベ大日本市」のコーナー。左のタペストリーにカタリベが投稿したnoteの文章が印刷されており、QRコードから続きも読めるようになっている。

背丈よりも遥かに高い位置から縦長のタペストリーが吊るされており、カタリベが買いた文章の熱量がそのまま伝わってきます。今回は特に商品紹介の投稿だったこともあって写真の分量も多く、インパクトのある展示となっていたためかじっくり読んでいる人も多かったのが印象的でした。3,000字以上の大作が多かったため、そのボリュームごと感じられるように展示の仕方を工夫したとのこと。この展示方法はnoteのイベントでも参考にしたいねとみんなで話していました。

noteのみならず、SNSの投稿を促す企画は気軽に開催できるのがよい点ですが、気軽にできる分、集めた投稿をアウトプットする場が用意されていないケースも散見されます。本当にその企業やブランドを愛し応援したいと思っているファンは、モノがもらえること以上に公式のお墨付きを得てその愛を語る機会に魅力を感じるもの。投稿や参加者の数を増やすためにモノやキャンペーンに工夫を凝らすよりも、集めた投稿をいかに有意義なかたちで企業の活動に組み込むか、アウトプットの方法を考える方が結果的にファンの熱量がそのまま投稿に現れるはずです。

カタリベ企画のようなリアルイベントが開催できない場合でも、集まった投稿をまとめた冊子を作り店頭で配布したりEC購入品に梱包したり、商品ページに埋め込んで良質なレビューとして活用するなど、アウトプットの場所はその企業によってさまざまなかたちがあるはずです。

今やSNSキャンペーンやインフルエンサーへのギフティングも一般化し、「型」に当てはめれば誰でも簡単にキャンペーン企画をうつことができるようになりました。しかし本当の意味で顧客との信頼関係を構築するには、単発の企画で終わらせるのではなく集まった顧客の熱量をアウトプットする場を設け、循環させていくことが重要なのではないかと思います。

一対一ではなく、n対nが生まれる場を

今回もうひとつ興味深かったのは、カタリベとのやりとりは担当者さんとの一対一ではなく、カタリベ全員が参加しているSlackのチャンネルで行っていたこと。結果的にカタリベ同士の会話が生まれ、そこから他の商品のおすすめにつながったり、工芸好き同士の情報交換の場にもなったとのこと。好みが似た人が集まる場なので、自然とコミュニティが形成されていったそうです。

企業のキャンペーンでは、担当者が個別に連絡をすることがほとんどです。もちろんキャンペーン規模や商品の特性によっては顧客同士が直接交流できることでトラブルに発展することもあるのでケースバイケースではあるものの、自分たちのことを「顧客と顧客をつなげる場」と捉えて企画することで、相乗効果でより熱量の高い関係構築につながります。

とはいえ、Slackチャンネルやグループチャットでの会話を無理に盛り上げる必要はないと私は考えています。その空間で会話が活性化するように工夫するよりも、それぞれのSNSでつながったり直接会ったりする機会を作る方が、ゆるやかなクラスタとしてお互いがちょうどいい距離をとりながらやりとりできるからです。

運営側がそのグループ内でのやりとりを活性化しようとするとどうしてもコミュニケーションの押し付けのようになってしまい、それぞれの快適なペースでやりとりすることができません。その結果、スローペースでやりとりしたい人にとっては居心地が悪くなってしまい、コミュニティとして成り立たなくなってしまいます。

企業がコミュニティ作りを意識するとどうしても自分たちの目の届くところで盛り上ってほしいと考えがちですが、顧客同士がつながるきっかけづくりを意識するとお互いがより自由にのびのびと企画を楽しめるはずです。

商品を使ってからが興味のはじまり

さらに今回カタリベの投稿を一段深いものにしたのは、大日本市側がカタリベと作り手さんのコミュニケーションの機会を積極的に設けたことにあると私は考えています。

商品が到着し数日使用してもらったあと、いくつかの商品やブランドをピックアップして、商品開発の背景や想いを直接語り、逆に質問や改善提案を受けるなど作り手と使い手が対話する機会をできるかぎりつくったのだそう。その結果、使用してみた感想だけではなく、使いやすいと感じた部分には職人さんのどんな意図が反映されているのか、なぜこの素材・このデザインにこだわったのかという裏側の話も自然と織り込まれ、読み応えのあるnoteが多数投稿されました。

この作り手と使い手の対話は、企画冒頭ではなく一度商品を使ったあとのタイミングだからこそ効果を発揮したのだと私は考えます。商品を使う前よりも、使ってみたあとの方がモノにまつわる情報への興味が高まるからです。

使う前(購入前)は、どんな丁寧な説明でも自分たちの商品を選んでもらうための方便に聞こえてしまうものです。使用前の段階では作り手・売り手の方が圧倒的に情報を持っているため、使い手・買い手は情報の真偽を確かめるのが難しく、どうしても「売りつけられている」感覚に陥りがちです。

しかし使用後であれば自分なりの意見や感想を持っている状態なので、対等にコミュニケーションができ、語られる背景やこだわりへの納得感も生まれます。実際に使ってみた経験にストーリーや知識が加わることで、より説得力のある「語り」につながるのです。

ちなみにカタリベと作り手さんの対話によって、職人側も消費者視点の感覚を直接知ることができ、早速商品開発や改善に生かしていきたいという声も多かったとのこと。文章を書くことに慣れている人は自分の感覚を言語化する能力が高い人も多いので、発信だけではなく作り手とのコラボレーションまで組み込めると全員の満足度が高い企画に落とし込めるのではないかと思います。

日頃やっていることの延長が、いい企画につながる

カタリベ企画について担当の岡本さんにお話しを伺っていると、「中川政七商店がこれまでやってきたことの延長線上に今回の企画があった」と会社全体のミッションとの親和性を強調される場面が多々ありました。この自然と身についたブランドらしさこそが今回のカタリベ企画の成功にもつながっているのではないかと私は思います。

実は大日本市の展示会が終わったあと、中川政七商店さん企画の奈良の履きものを中心とした工場見学ツアーに参加してきました。
▼関連note

本当はパンデミックがなければカタリベさんにもそのツアーに参加してほしかったので、状況を見ながら今後企画していきたいとのこと。すでに展示会は終了し企画もひと段落した時期でしたが、カタリベ企画を単発で終わらせることなく、工芸好きの人の輪を広げていく意識が伝わってきました。

noteは特にじっくりゆっくり関係を深めていきたいクリエイターが多いように私も感じているので、ハッシュタグ企画やコンテストも打ち上げ花火のように一気に盛り上げようとするのではなく、コツコツ発信を重ねながら強固な関係を築くことに向いているメディアだと思っています。

そういう意味でも大日本市のカタリベ企画は理想的な使われ方であるように感じたので、ぜひ大日本市やカタリベさんのnoteもあわせて読んでみてください。

note運営のブレストやアドバイスも行っていますので、ご興味のある方はお問い合わせからお気軽にご連絡ください。

(現在問い合わせ多数のため、新規の月額契約が難しい可能性がありますが、単発でのブレストやアドバイスであれば調整しやすいのでnoteの運用をざっくり相談したいという方もお気軽にどうぞ〜)

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最所あさみ

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最所あさみ
Retail Futurist .「知性ある消費を作る」をミッションに掲げています。プロ野球と食べものがすきです。noteの有料マガジン「余談的小売文化論」と学びをシェアするサークル「消費文化総研」もよろしくどうぞ!