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外出自粛の時期に「店舗」ができること

※noteに関する言及箇所以外はすべてnoteプロデューサーとしてではなく、リテールフューチャリストとしての個人の見解です。

先週、政府から不要不急の外出を控えるよう声明が発表され、企業もリモートワークを推奨する動きが出てきました。

出張や旅行もキャンセルが相次ぎ、小売店、飲食店、ホテルなどリアルの場所を起点にサービスを行う企業は軒並み打撃を受け始めています。

特にこの2、3年はリアル店舗での体験が重視されてきたため、新たに店舗をオープンしたり投資を増やした企業も多かったのではないでしょうか。

今回の感染症の動きに関して、一番の懸念点は『収束時期が見えないこと』です。
冬が終われば自然と収束するインフルエンザとは異なり、未知のウイルスであるため暖かくなれば自然と収束するとは言えません。

つまりこうした外出自粛はすぐに終わるかもしれないし、半年以上続くかもしれません。
今月、来月の売上減少くらいであれば吸収できるとしても、同じ状態が半年以上続いたら資金繰りが難しくなるお店も多いはず。

そうした事態に手を打つため、今『お店』ができることについて私なりに考えてみました。

固定費の減額を交渉する

まず何より重要なのは支出を減らすことです。
特にこの先の事業計画を考える上で、家賃や機材リース費などの固定費は重くのしかかってきます。
通常こうした固定費の減額交渉は不可能に近いですが、今回のような不慮の事象により打撃を受けている場合、売上の数字を正直に話しながら減額や支払い期日を先延ばしにしてもらうといった交渉/相談はまず考えるべき一手だと思います。

もちろん不動産オーナー側にも生活があるので簡単には減額できないと思いますが、店子が廃業してまた新規の借り手を探さなければならない状況はオーナーとしても避けたいはず。特にこの先数ヶ月は新規オープンの希望者が激減することが予想されるため、潰れられては困るのはオーナーも同じです。

だからこそ、この先の事業計画と最悪のケースを想定した資金繰りシミュレーションを作り、例えば3ヶ月後も状況が変わらない場合は10%減額など時期と金額を交渉することをおすすめします。
あわせて銀行にも同様の話をして、現状いくらまで借入ができるかを確認しておくと当座の運転資金が計算しやすくなります。

まずは何より今の売上が続いたとしても耐えられる期間を長くすること、最悪の可能性を考えながら最善の手を打つことです。

店舗オーナーのみにしわ寄せがいくのではなく、業界全体で痛みを分かち合いながら支えあっていけるといいなと個人的には思っています。

発信に力を入れる

とりあえず半年は生きていける目処がついたら、空いた時間を使って発信に力をいれるのもおすすめです。

今は消費者もみな恐怖を感じていますが、同時にでかけられないフラストレーションも溜まっています。
家にいる間、この騒動がおさまったら行きたいところを検索している人もいるかもしれません。

さらに外にでる娯楽が減ると、必然的にSNSをみたりネットサーフィンをする時間が増えます。
普段は忙しくて後回しにしていた人も、これを機にプロフィールを整えたり、写真の撮り方を研究したり、動画編集に挑戦してみたりと発信の機会に使ってみるとあとからじわじわと客数増に寄与するのではないかと思います。

ただ注意すべきなのは、地域密着型のショップやオフィス街の飲食店など普段から評判ではなく立地によって選ばれてきたお店は、短期的にはSNSの効果が見えづらい点です。
SNSで発信するということは、いうなれば商圏が全世界になるということ。
よっぽどの特徴がなければ発信はインターネットの海に埋もれてしまいますし、フォロワー数もほとんど増えません。

その場合、個人的におすすめしたいのは近隣店舗とタッグを組んで、地域という『面』で発信をすること。
商店街や駅前などのエリアでアカウントを持ち、日替わりでお店やそこの商品、メニューを紹介することで、お店単体で発信するよりもその近辺に住んでいる人たちがフォローしてくれる可能性が高まります。

また発信するコンテンツは、なるべく『今だけの情報』ではなく、2、3年後に見ても価値のあるストック型を意識するのがおすすめです。
客足が戻って以前と同じくらい忙しくなってきたら頻繁に投稿するのは難しくなるため、今投稿しておけば1年くらいは投稿なしでも検索やハッシュタグの流入で見つけて来店してくれる人が増える、といった導線が作れると理想的です。

会員制度に挑戦する

ある程度ファンを抱えているお店であれば、これを機に会員制度に挑戦してみるのも一つの手だと思います。
今回に限らず、今後も気候の問題や商品が仕入れられない、作れないといったトラブルが発生する可能性は十分あります。

そうした場合に備えて、モノを都度売るだけではなく新たなビジネスモデルとしてファンクラブのような仕組みを作ることができれば、何かあったときにも店舗運営が安定しやすくなります。

たとえばnoteで最近ローンチしたサークル機能を使えば、簡単にこうしたファンクラブ制度を作ることができます。
有料noteと違って定期的にコンテンツを投稿する負担がないので、忙しい小売店や飲食店にもぴったりです。

たとえばサークル参加者向けに商品の裏話を投稿したり、来店ごとに一品無料などの使い方もできます。
今の時期であれば、お店を支えたいという気持ちで入会してくれる人も増えるかもしれません。

※ただしnoteのサークル機能は一度作ったあと金額は変更できないのでご注意を。その他詳細は上記のリンクをご確認ください。

それ以外にも有料のメルマガや、月に数回ワークショップを開催するお稽古型の会員制度など、定期的にお金を払ってもらいながら価値を提供する仕組みはたくさん考えられます。
しばらくはオンラインでできること限定になるからこそ、無料の動画やテキストを配信して認知度を高め、落ち着いてからリアルの場を絡めた会員制度を有料で展開するのもありだと思います。

『持ち帰りメニュー』を充実させる

様々な店舗の中でも、今回の騒動で一番打撃を受けているのは飲食店だと思います。
さらに飲食店は小売と違ってECのハードルが高いため、打つ手も限られています。

個人的に思うのは、無理に配達しようとせずともお店の前に持ち帰りメニューを掲示するだけで、『お店で食べるのは無理だけど買って帰ろうかな』と思う人も多いはず。
なぜならお店自体が最強のメディアであり、目の前を通る人に訴求するのが一番手っ取り早いからです。

一方で、寿司や焼肉、麺類など、お弁当にすると店舗で出しているメニューとは味が変わってしまう場合もあります。
特に高級店はお弁当形式にしてしまうとどんなに高くても3000円程度が価格の限界になってしまい、下手をするとブランド価値を下げてしまう可能性すらあります。

であれば、例えば中食を想定して刺身や焼く前の肉の盛り合わせ、ゆでる前の生麺セットなどを用意することで価格をなるべく据置ながら持ち帰り需要を作れるのではないかと思います。
予約の取りづらい店舗であれば、こうした持ち帰りセットも予約前提にすれば食品ロスが出づらくなります。

今後この騒動が長引けば長引くほど、おいしいものが食べたいというフラストレーションは高まっていくはずです。
1、2週間は外食を控えることができても1ヶ月、2ヶ月と我慢するのは辛いことだからです。

だからこそ外食は減らしつつも外食の気分を味わえるちょっと高級な中食の需要はこれから増えていくのではないかと思っています。

※生肉や生魚の販売、加工品の販売などは別途保健所の許可が必要になるのでご注意ください。

『出張店舗』のチャレンジも

とはいえ、高級店の場合はブランドイメージもあってなかなか公に新しいことにチャレンジするのが難しいこともあると思います。
その場合、高級店は基本的に顧客データを持っていることが多いはずなので、既存顧客に対してシークレットで出張型のサービスを展開するのもありだと思います。

飲食店であれば最近出張シェフの取り組みが注目されてきていますし、エステや美容室、マッサージなどの施術型も同様の取り組みができいると思います。

その場合も前述の持ち帰りと同じくなるべく単価を下げないこと、オペレーションの効率化や物販による売上の+αを作り従業員単価を下げないことが重要になるでしょう。

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もちろんここに書いたことはすぐにできることばかりではないですし、業態や価格帯、ブランドイメージによっては上記に書いた内容が当てはまらないケースも多々あると思います。
私自身、今現在店舗を運営しているわけではないので的外れなアイデアもあるかもしれません。ただこうしたアイデアがそれぞれの打ち手を考えるきっかけになると嬉しいなと思います。

またここで書いたこと以外にも『うちはこんなチャレンジをしている!』というアイデアもあるかと思います。
その際、ぜひ『 #お店 』のハッシュタグをつけて、今困っていることや自分たちなりの解決策などの知見をnote上で共有していただけると嬉しいです。

お店のオーナー誰もが頭を悩ませている時期だからこそ、知見を共有しあってこの危機を乗り越えていけたらと思います。

感染が一刻も早く収束し、一日も早く日常が戻ってきますように。


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