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発見の裏には、必ず伴走者がいる

毎日noteを書いたりツイートしたり、さらにはコミュニティのSlackでもまなびを投稿したりと常に何かしら発信しているので、そのネタ元を聞かれることがよくある。

これまではずっと「本を読んだり映画やYouTube、Podcastなどのインプットを増やすこと」と答えてきたけれど、自粛期間中に人と会う機会が激減してから、実は人と会うことが一番重要なのではないか、と思うようになった。

3月からの3ヶ月間でインプットは普段の1.5倍くらいに増えたにも関わらず、前よりもnoteのネタを考えたり、何をツイートしようかと悩む瞬間が増えたからだ。
これまで私のアウトプット量を支えてきたのは、本や動画から何かを「学ぶ」ことではなく、大量のインプットを整理して思考に輪郭を与えるための「会話」だったのかもしれない。

そう気づいたのは、このnoteを読んだのがきっかけだった。

noteの中に、研究における「共鳴箱」という概念が登場する。

数学で共同研究をするというのは、簡単に言ってしまえば、そのテーマについて話が通じる相手と共同生活をするということです。朝から晩まで、一緒にご飯を食べたり、コーヒーを飲んだり、散歩したりしながら、常にテーマについて話が出来る状況にしておく。良い聴き手、つまり「共鳴箱」を持つことは、数学の仕事をする上で非常に重要なのです。

これは研究職に限らず、クリエイターなどアイデアを出す仕事に必要不可欠な考え方なのではないかと思う。

本でも音声でもワークショップでも、何かしらのインプットをしたあとは頭の中でそれぞれの情報がとっ散らかり、別々に保存されている状態だ。
しかしそれを人に話して自分の思いを語っていくことで、自分の中に蓄積してきた問題意識やアイデアの種と融合し、自然とひとつの結論に収束していくことがある。
話しながら「私ってこんなことを考えていたのか!」と気づかされることも多い。

ここで重要なのは、「良い聴き手」は必ずしもアドバイスをくれる相手でもなければ、激しい議論をする相手でもないということだ。

ビジネスの世界では「壁打ち」と呼ばれるような、アイデアを引き出す聴き手は、川の流れのように思考の旅に寄り添ってくれる伴走者を指すのだと私は思う。

しかもどちらかが一方的に奉仕するのではなく、流れのままに深めていった会話の先に双方が気づきを得られるような会話が理想である。

そのためには、前提や定義をすり合わせる作業をせずともわかりあえるほど同じ言葉を使い、同じ課題意識を共有しておくことが必要だ。

みなまで説明せずとも、パッと思いついたことを投げかけただけで理解して反応を返してくれる相手がいればこそ、細かい説明や議論の手間をかけずにアイデアを広げていくことができる。
専門外の人に一から説明することによって得られる着想もあるが、前提を共有しコミュニケーションコストが低い関係性の中でこそ生まれるものもあり、「良い聴き手」を見つける方が何倍も難しい。
ストレスなく語り合える相手に出会ったら、その関係は大事に育んでいくべきだと思う。

クリエイティブなアイデアは常に個人の中から生まれるし、どんな決断も究極的には決める誰かが必要になる。
しかしそれは孤独の中で行うものではなく、心通じる相手とキャッチボールをしながら、思想の輪郭を少しずつ作っていった結果として生まれるものだと私は考えている。

「考える」とは必ずしも机に向かってじっと思いを巡らせることばかりではない。
思考の伴走者こそが、アイデア創出の立役者なのではないだろうか。

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Retail Futurist / curator。「知性ある消費を作る」をミッションに掲げています。 将来は世界一の店舗メディアを作る予定。noteの有料マガジン「余談的小売文化論」とコミュニティマガジン「消費文化総研」もよろしくどうぞ!

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