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小売の未来を考えるために、いま学んでおきたいこと

今年も小売関連の本をたくさん読んできましたが、中でも特にいろんな人におすすめしているのが「百貨店の進化」です。

小売分野の書籍は「お店の始め方」のような個人に向けた入門書か、ひとつの事例をもとに成功の理由を解説する企業本、もしくは最先端の事例を集めたビジネス本の3つに大きく分類されます。

それぞれの本にも意義はあるものの、幅広い事例とこれまでたどってきた歴史をもとに汎用性のある学びにまで昇華させている書籍は少なく、あったとしても学際色が強すぎて一般の人には読みづらい本がほとんどです。

そんな中でこの「百貨店の進化」は、著者が経済学の教授であり長年小売分野でフィールドワークやトップインタビューを通して研究されてきただけあって、事例の幅広さもこれまで小売業界が辿ってきた歴史への洞察も深く、百貨店関係者以外の人にもぜひ読んでほしい一冊です。データや過去の研究の引用も豊富なのでそれだけでも学びがあるのですが、語り口は論文や学術本ほど堅苦しくなく、今知っておくべき基本情報を簡素にまとめられている印象です。

私は特に下記の4つのポイントにわけてこの本を読み解きました。

・百貨店(小売)が本当の意味でITを活用するためには?
・海外の百貨店と比較した際の日本の百貨店の特殊性
・小売と都市の経済学
・百貨店(小売)がこれから提供していくべき価値

読みながらたくさんラインを引いて読んだのですが、特に学びが多かったのは下記の4つの箇所です。

百貨店は、情報技術に代替されるような部分でいくら頑張っても、先端の企業よりも優れたサービスを提供することは難しい、と観念する必要がある。そうした代替的なサービスが外から提供されるのであれば、そのサービスを徹底的に利用し、自らは補完的な機能のさらなる強化に努めるべきだろう。情報技術が進むほど、補完的な機能の価値は高まるはずだ。
図にもあるように、地域の人口の規模と百貨店の店の数の間には強い相関関係がある。
人口が拡大している間は、都市は郊外に向かって拡大していく。しかし、人口の成長が止まり、高齢化が進んでいけば、都市の郊外への拡大が止まるだけでなく、中心部への回帰が始まるのだ。こうした動きが今後とも継続していくと考えるべきだろう。
百貨店を利用する消費者は、どちらかといえば所得の高い人たちが多いだろう。つまり時間の価値が高い人が多いということになる。その人たちの時間への対応は、百貨店のビジネスにとって重要な要素ということになる。

百貨店は今後どのようにデジタルを取り入れていくべきか、またその際に選考事例としての海外百貨店のやり方を単に真似するだけではいけないのはなぜか、日本流の百貨店のあり方を考える上でどんな情報やデータを土台にするべきか。
こうした要素が非常にコンパクトにまとまっており、私が日頃考えてきたこととリンクする部分も多かったため、この本を読み解くための読書会を12/14(月)20時〜21時で開催します。

【読書会詳細】

日時:12/14(月)20時〜21時

開催場所:Zoom(有料箇所にZoomリンクを貼付しています)

参加費:500円(この記事を購入いただくと自動的にZoomリンクがみられるようになります)
※「余談的小売文化論」「消費文化総研」購読者の方は無料でご参加いただけます。
※「消費文化総研」購読者の方は読書会終了後もSlack上で議論を深めていければと思います。

参加条件:「百貨店の進化」の購入
※紙の本でもKindleでもどちらでも大丈夫です
※図や説明の引用など書籍が手元にないと話がわからない可能性が高いため、購入を推奨しています。
※読了は必須ではありませんが、読了して参加いただいた方がより理解が深まるかと思います。

読書会内容
当日は大きく分けて下記の2テーマにわけて進行します。

前半:4つのポイントから本書を読み解く(30分)
後半:チャット欄の質問やコメントを取り上げながら私の見解をお話しする(30分)

前半で解説している間も適宜コメントや質問などいれていただいて大丈夫なので、私が話すだけでなく参加者のみなさんの気づきや疑問をベースにより学びを深めていけたらと思っています!

ということで、参加ご希望の方はこの記事の単品購入もしくは有料マガジンの購読をお願いいたします〜!

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