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余談的小売文化論

「知性ある消費」をテーマに、現代の消費行動や理想論と現実的な問題のギャップについて考え、言語化しています。「正解」を語るのではなく、読み手が自分なりの正解を見出すための一助になる… もっと読む
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2019年4月の記事一覧

紙とWebにおける決定的な違い

紙とWebにおける決定的な違い

高校時代から雑誌を読むのが好きだったのだけど、ここ最近は消費文化総研の定例で『雑誌を深める会』を毎月開催していることもあって、いち消費者としてだけではなくビジネス視点で雑誌を読むことも増えた。

その中でも、VERYは毎号気づきと発見がある、という話はこれまでにもnoteやTwitterで散々書いてきた。

VERYのすごさは他にもいろいろあるのだけど、直近半年のVERYを読んでいて、『これは紙だ

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学ぶごとに、人はもっと優しくなれるはずなのだ

学ぶごとに、人はもっと優しくなれるはずなのだ

『まなび』は私を構成する言葉のひとつだ。

物心ついたときには読書が一番の楽しみになり、自分の気づきを周りの大人に『先生、あのね』方式でいちいち報告し、不思議に思ったことは誰彼構わず『なんで、なんで』と質問責めにするような子供だった。

わからないことは知りたい、わかったことは誰かに伝えて共有したい。

幼少期に育まれた好奇心と発信欲が今の自分を作っていると言っても過言ではない。

しかし、その純

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点ではなく線で残す

点ではなく線で残す

昔から「長く続くもの」に興味があった。

老舗と呼ばれるお店、歴史ある場所、連綿と続くしきたり。

積み重ねられてきた時間と、たしかにそこにあった歴史の息吹を感じる瞬間が、とても好きだ。

だから伝統や文化のあるものがなくなるのは悲しいし、できるだけ残していきたいとずっと思ってきた。

しかし、である。

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「平成ベストセレクション」マガジンを作りました

「平成ベストセレクション」マガジンを作りました

2017年に有料マガジンをはじめて、早くも2年近くが経ちました。

『余談的小売文化論』に格納した記事数も200本を超え、少しずつ少しずつ、読んでくださる方の数が増加していくことに嬉しさを感じながら、これまで続けてくることができました。

ただ、アーカイブが増えてくると最近マガジンを読み始めてくださった方から『過去の記事は読めないのですか』とお問い合わせいただくことも増え(今月購読をはじめた場合先

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憧れの物語は、いつだって省略されている

憧れの物語は、いつだって省略されている

小学生の頃、偉人の伝記を読むのが好きだった。

エジソン、ナイチンゲール、ベートーベン。図書館にある伝記を片っ端から読んだ。

地元の町名の由来にもなった江戸時代の偉人や、地元の名士の逸話を聞くのも好きだった。

昔から『すごいひとのはなし』を聞くのが好きで、その興味は今も変わらない。すごいひとたちの考え方や哲学を理解したい、という欲求は私の大きなモチベーションだ。

ただ、すごいひとの話を知り過

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人工美と自然美の調和

人工美と自然美の調和

先日六義園に行って驚いたことがある。

歩道の砂利道を歩いていると、前方で係の人が箒を持って作業しているのが目に入った。

近づいてみると、彼らは散らばった歩道の砂利を中央に集め、畝を作るように綺麗な道を作り上げていた。

私はこの光景を見て初めて、歩道の砂利道は人の手で成形されていたことに気づいた。

思い返してみれば、日本庭園の歩道は庭園と砂利の間に土の部分があり、常に砂利は中心に集められてい

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いい体験には「横の感動」がある

いい体験には「横の感動」がある

『店舗は体験の場になる』といたるところで言われているが、具体的にどんな体験に私たちは感動し、ブランドのファンになっていくのだろうか。

インスタ映えする綺麗な空間を作ること?
新しいテクノロジーを活用すること?
商品を実際に試せること?

私たちがブランド視点で『体験』を考えるときはこうした手段を思い浮かべがちだが、実際に自分が感動した体験を思い返してみると、そこに共通しているのは『横の感動』なの

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「話題になる」ことの落とし穴

「話題になる」ことの落とし穴

新しく商品を作ったりサービスをリリースするとき、誰もが『いかに話題になるか』を考える。

マーケティングやPRの多くはいかにたくさんの人に知ってもらうかを主眼においていると言っても過言ではないだろう。

『あれいいよね』と言ってくれる人が増えるのはいいことだ。

特にその口コミがSNSを通して可視化されていけば、いい口コミはどんどん伝播していき、ファンも増えていく。

一方で、最近SNSを見ていて

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外の世界を知ることと自分のルーツを知ること

外の世界を知ることと自分のルーツを知ること

日々英語の勉強も兼ねて海外メディアの記事を読んでいると、それぞれの国にそれぞれの課題があるという当たり前のことを強く感じるときがある。

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買い物はパッケージ化していく

買い物はパッケージ化していく

『Instagramが消費行動を変えた』という話はすでに至るところで語り尽くされている。

Instagramで見つけたものを買うだけではなく、Instagramに載せたいがために私たちは映えるカフェに足を運び、盛り付けにこだわろうとする。

しかし最近自分自身が買い物をしていて思うのは、Instagaramの一番大きな影響は『世界観を統一しなければならない』という感覚を植えつけたことなのではない

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発信とは「人となり」を伝えること

発信とは「人となり」を伝えること

先月からnote公式マガジン「 #お店 記事まとめ」の共同編集者としてお店オーナーのnoteを発見しては追加しているのですが、その中で気づいたことがあります。

それは、文章を書くことは『人となり』を伝えることであるということ。

お店について書くというとこだわりや思想を書き連ねるイメージが強いのですが、無理に綺麗な言葉を並べようとするよりも、その人の視点から見た景色を共有することの方が重要なので

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