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これからの、小売の話をしよう。

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ショップは、ただモノを"売る"だけの場所ではなくて。そしてお客様は"買ってくれる"だけの相手でもなくて。明日がくるのが楽しみになるような、そんなショップがそこら中にある世界につい… もっと読む
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#アパレル

私たちは、本当は接客「されたい」生き物だ

一時期、『接客不要バッジ』が話題になったことがあった。
買い物中に店員さんに話しかけられるのが嫌な人のために、『話しかけないでください』と意志表示するためのアイテムだ。

実際にバッジを使う人が少なかったのか運用面に問題があったのか、こうした取り組みは結局たいして広がることはなかった。
しかしこうした取り組みが実験されるほど、私たちの多くは店員さんに話しかけられることにストレスを感じている。

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「現場を知らない人間にはなるな」という教えに導かれて #えぶりツアー

「現場を知らない人間にはなるな」という教えに導かれて #えぶりツアー

もう1年半以上も前のことだけど、『創造する未来』を書いた尾原容子さんのお話を生で聞く機会があった。

『創造する未来』はいまだにいろんな人におすすめしている本で、ファッションや人がものを買うことの本質に迫りつつ具体的な事例を噛み砕いて説明しているそのバランスが絶妙だと読み返すたびに思う。

そして尾原さんご自身も豊富な経験と最先端の情報のバランスが理想的で、直接お話したことはないけれど尊敬する人の

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【vol.6】アパレルとK-POPアイドルの関係性

【vol.6】アパレルとK-POPアイドルの関係性

韓国視察レポート第六弾は、韓国ならではの『アイドルがアパレルに及ぼす影響』について解説します。

これまでの記事は下記からどうぞ。

【vol.1】韓国でスタンダードになりつつある "売らない店舗"たち
【vol.2】韓国が常に "旬"な理由
【vol.3】美容大国・韓国ならではのインフルエンサー×コスメ事情
【vol.4】レコードショップを運営する意外な企業の秘密
【Vol.5】韓国の書店トレン

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これから “売る人”に必要な能力

これから “売る人”に必要な能力

以前、VERY読書会で参加者の和子さんが感想としてこんなnoteを書いてくれました。

和子さんは現在、販売員の人材育成をされているということでその視点からの感想になるほどと考えさせられました。

読書会の中でVERYは取材力も凄いよねって話になったけど、現場で私たちは毎日、何人も何人も取材(接客)している。
だから、その接客を一回の振り返りだけに使わず、データとしても大切に収集して感性、感覚を磨

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それはもはや、コマースというよりメディアと呼ぶにふさわしいのかもしれない Net-A-Porter #リテールスタートアップ研究

それはもはや、コマースというよりメディアと呼ぶにふさわしいのかもしれない Net-A-Porter #リテールスタートアップ研究

すっかり更新が滞っていましたが、久しぶりのリテールスタートアップ研究のコーナーです!

今回は、もはや研究するまでもないほど有名なNet-A-Porter。

2015年にYOOXと合併し、グローバルで見ても今やFarfetchと双璧をなす巨大ラグジュアリーECになりました。

2016年のオンライン売上でラグジュアリーECトップの座に躍り出たYNAP(YOOX&Net-A-Porter)について

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サイジングの肝は「ぴったり感」ではない

サイジングの肝は「ぴったり感」ではない

先日発表されたZOZOの新展開。

スーツへの参入とグローバル展開のニュースは、ファッション業界だけではなくあらゆるところで話題になっていました。

ZOZOSUITで数値を測定し、体型にあったカスタムオーダーを実現するZOZOに対して、賛否両論様々な意見が飛び交っています。

私は今後『サイジング』はファッション領域においても重要なポイントになっていくと思っているのですが、そこでよく話にでてくる

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一足の靴が出来上がるのは、奇跡に近い。歩きやすく美しいハイヒールを作る「gauge(ゲージ)」の挑戦 #ブランドインタビューリレー

一足の靴が出来上がるのは、奇跡に近い。歩きやすく美しいハイヒールを作る「gauge(ゲージ)」の挑戦 #ブランドインタビューリレー

#ブランドインタビューリレーは 、「新しい作り方・届け方」を模索するブランドにインタビューし、これからの小売のあり方を考察していくシリーズです。

今回は、オーダーハイヒールブランド・「gauge(ゲージ)」を手がける五十石さんにお話を伺いました。

<目次>
1.普通のOLから木型師へ。女性木型師ならではの「ハイヒール」への想い
2.高いリピート率、複数買い。キャリア女性に「gauge」がウケる理

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「服育」の重要性

「服育」の重要性

先週から大きな話題になっている泰明小学校のアルマーニ制服の一件。

個人的には、ここまでバッシングされることに驚きが隠せませんでした。

今回の一件に関しては様々な立場から多様な意見はあると思いますが、ラグジュアリーブランドのフロアからキャリアをスタートさせた私としては、日本人にとってラグジュアリーブランドのロゴはいまだに「自分の権威を誇示するためのツール」であり、「享楽的軽薄なもの」というイメー

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地方の百貨店に見る新たな商機

おととい、ずっと楽しみにしていたストライプインターナショナルの石川さんとのトークイベントを開催しました。

石川さんのお話は最新の中国の動向や決済サービス、AI、残業のない組織を作るための具体的なステップ、ホテルやライブハウスといった「体験」を重視する理由まで幅広く、私自身とても楽しみながらお話を伺いました。

どのテーマもひとつひとつ記事が書けるくらい学びの多い、濃い時間だったのですが、個人的に

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「知性ある消費」を増やすために

「知性ある消費」を増やすために

自己紹介の時に「小売が専門です」というと、いつも「やっぱり売るのが好きなんですか?」と聞かれるので、毎回答えに困っています。

というのも、私は「売る」ということ自体にはこだわりがないから。

より厳密にいうと、人に所有してもらうことへの限界を、もう5年以上も前から感じてきたので、その人のライフスタイルや感覚にあった商品との「接し方」がデザインできたらいいなと思っています。

昨日トークイベントで

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可処分時間を、いかに「まとめて」とるかの時代へ

可処分時間を、いかに「まとめて」とるかの時代へ

現代は、可処分時間の奪い合いだといわれます。

スマホにはSNS、ゲーム、ニュース、ショッピングとあらゆる機能をもつアプリが入り、それぞれが消費者の細切れの時間を奪い合っています。

これからもこの傾向は続いていくと思いますが、競争が激化しすぎた結果、これ以上広告を投下しても費用対効果が見合わないという分岐点がもうすぐそこまできているように思います。

最近話題の動画も、面白くなければ10秒ほどで

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「レコメンド」がすべて機械に置き換わったりしない理由

「レコメンド」がすべて機械に置き換わったりしない理由

「リッチマン・プアウーマン」というドラマをご存知でしょうか?

スタートアップ界隈にいる30代であれば知らない人はいないのではないかと思うくらい、月9の恋愛ドラマであるにも関わらず男性人気の高い作品でした。

億万長者のベンチャー社長・日向徹の言動がいちいちかっこよく、このドラマを見てベンチャーに入ったり起業を目指した人も一定数いるのではないかと思います。

仕事に向き合う姿勢や哲学などの名言が多

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「所有しないブランド」を作る

「所有しないブランド」を作る

「小売」という単語には「売る」という言葉が入っている通り、「いかに売るか」を常に考える必要があります。

作って、流通させて、買ってもらう。

突き詰めれば、小売の仕組みはとてもシンプルなのです。

私は小売が好きすぎてなんでも小売に絡めたがるので
「やっぱり、もの売りたいですか?」
とよく聞かれるのですが、実は「売る」という前提そのものを変えていきたいと考えています。

というのも、百貨店時代に

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「ZOZOSUIT」への悔しさと感謝と、私たちはここからどう戦っていくべきなのかということ。

「ZOZOSUIT」への悔しさと感謝と、私たちはここからどう戦っていくべきなのかということ。

私は今、この文章を半分泣きそうになりながら書いている。

何の感情なのかは自分でもよくわからないが、とにかく「すごい」という言葉がずっと頭の中でぐるぐるしている。

ルールが変わる、ここから。

毎週アメリカや中国のニュースを拾って自分なりに解説する中で、遅々として改革が進まない日本のアパレル業界に歯がゆい思いをしてきたが、ここから大きく変わる。

昨日はそう確信した日だった。

ZOZOSUIT

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