マガジンのカバー画像

これからの、小売の話をしよう。

157
ショップは、ただモノを"売る"だけの場所ではなくて。そしてお客様は"買ってくれる"だけの相手でもなくて。明日がくるのが楽しみになるような、そんなショップがそこら中にある世界につい… もっと読む
運営しているクリエイター

2018年3月の記事一覧

「おしゃれだけど売れない店」にならないために

先週から西日本のあちこちをうろちょろしておりました。

その中で素敵なお店にたくさん出会ったのですが、「ここはどうやって儲かっているのだろう…?」と勝手に心配してしまうようなお店もちらほらありました。

もちろん東京にも、入店客数の量に対して買い物袋を下げてでてくる人の数が圧倒的に少ないお店はたくさんあると思います。

ただ、地方だと絶対的に人口も減りますし、観光客の比率が高い場所だと食器や生鮮食

もっとみる
アートは「コミュニティ」への入り口

アートは「コミュニティ」への入り口

先日NewsPicks上でも話題になっていた「アート」をテーマにした連載。

その中で、個人的にとても腑に落ちるフレーズがありました。

商品の価値は、「使用価値」と「交換価値」の2つに分けて考えることができます。使用価値とは、商品そのものが使われることで生まれる価値のことです。ノートや鉛筆は文字を記録することで、野菜や肉は食べることが価値となります。
一方で交換価値は、ある商品と他の商品を交換す

もっとみる
「気持ちよくお金を払えるポイント」をどれだけ作れるか

「気持ちよくお金を払えるポイント」をどれだけ作れるか

小売業、その中でも特に実店舗が好きな私にとって、「店舗経営」は常に興味の尽きないテーマです。

とはいえ自分の資本で店舗を経営した経験はないので、無責任にあれやこれや言っているだけではあるのですが、最近の私は「キャッシュポイントをどれだけ多く作るか」についてよく考えています。

キャッシュポイントが多いということは、その場を楽しむための方法に多様性があるということだと思うからです。

例えば、小売

もっとみる

本屋が楽しい、そのわけは

本屋がある街に住みたい。
本屋か図書館が近くにあることは、私にとって引っ越し場所を探すときの条件のひとつでもあります。

Amazonという便利なものができてから昔に比べるとめっきり本屋に行く機会は減ってしまったけれど、やっぱりあのぎっしり紙がつまった場所の匂いは、定期的に嗅ぎに行きたくなるものです。

買うものが決まっているときはAmazonが便利ですが、一度にたくさん見た上でセレンディピティを

もっとみる
「モノ」は「コミュニケーション」のためのツールになっていく

「モノ」は「コミュニケーション」のためのツールになっていく

小売の世界にいると、「モノからコトへ」は耳にタコができるほどよく聞くフレーズです。

人はモノを買わなくなっている。

それは半分真実だけれど、半分は誤った認識だと私は思っています。

昨日1日を思い出してみて、モノを一切買わなかった人はほぼいないはずです。

何かしら食べるものだって買ったはずだし、無くなりそうな消耗品を買い足したり、あの人がおすすめしていた本をAmazonで買ったり。

洋服や

もっとみる
「うつわ」は変わる。でも、必要とされる「役割」は変わらない。

「うつわ」は変わる。でも、必要とされる「役割」は変わらない。

普段ニュースを見ていると、やれ小売業の不振だ、出版不況だという暗いニュースがたくさん目に飛び込んできます。

他にも、大企業の給与カットや早期退職、業績不振による事業譲渡などの話題も度々目にします。

しかし、かたや私が日頃仕事をしているコミュニティ内では、誰かが起業したり、新しいブランドを立ち上げたり、Webメディアを軸に新しい雑誌を創刊したり、というニュースもよく見聞きします。

つまり、世の

もっとみる
「とくべつ」はきっと、"違い"じゃなくて"近さ"のこと

「とくべつ」はきっと、"違い"じゃなくて"近さ"のこと

あらゆる分野で選択肢が増えてきた今、「差別化」は重要なテーマです。

しかし、たくさんの企業が一斉に差別化をはかるようになったことで、「違い」だけで特別な存在になることの限界がきているのがちょうど今の時代なのだと思います。

例えば、コンビニでずらりと並んだお茶のペットボトルの中から「これ!」と思うものを選び出せる人はどのくらいいるのでしょうか?

大半の人は、適当に目についたものを手に取っている

もっとみる