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本と映画と、エトセトラ。

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読んだ本・観た映画について気まぐれに。 (photo by tomoko morishige)
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2018年11月の記事一覧

日本的曖昧性と『道』の成立についての雑感

日本的曖昧性と『道』の成立についての雑感

最近読んだ『数学する身体』が今年のマイベスト本トップ10に入る勢いだったので、熱冷めやらぬうちに備忘録をば。

私はもともと批評家の小林秀雄が好きで、そこから彼と対談していた岡潔を知り、岡潔がきっかけで数学者として『理転』した人が書いたと知って読んだこの一冊。

『数学』という言葉がタイトルに入っているけれどほとんど数式は出てこなくて、ああこれを書いた人は言葉の世界の人なんだな、と思った。

ちな

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「解」より「問い」でつながっていたいの

「解」より「問い」でつながっていたいの

最近本を読んでいて思うのは、『いい本はいい問いを持っている』ということ。

解ではなく問いがある。それが私の思う『いい本』だ。

その際たるものが小説で、一冊丸々を読みきったところで人生にすぐ役立てられるような知識はほぼ何もない。

古典的な教養書が与えてくれる『こう生きるべき』『こう考えよ』といった示唆も、そのまま使える知識ではなく自分なりに咀嚼しなければならない命題のような問いだ。

つまりそ

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「自分研究」は、永遠に終わらない最高の娯楽

「自分研究」は、永遠に終わらない最高の娯楽

私のツイートは常に『I think』からはじまる。もしくは『I feel』。

なんにせよ、私のツイートの主語は常に『私』だ。

noteに関しても、たぶん他の人と比べてひとつの記事あたりの『私』の量がずば抜けて多いという自覚がある。

これは明確に意識してやっていることなのだけど、主語を『私』という最小単位に限定することが私なりに発言に責任を持つということであり、発信という行動をとる上での誠意だ

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健全に自分を支えるということ

健全に自分を支えるということ

ある程度読んでくれる人が増えると意見が合わない人も出てくるのは世の常で、まったく建設的でない悪意を向けられることがたまにある。

Twitterを見ているとよくそれに対して怒っている人を見かけるのだけど、私は『誰かを見下したり批判することでしか自我を保てない精神の貧困性』について毎回考えさせられる。

先日こんなツイートをしたのだけど、批判というのはもっとも思考力を使わずにできる暇つぶしだ。

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やさしさは、100年後の強さを作る #やさしさってなんだろう

やさしさは、100年後の強さを作る #やさしさってなんだろう

このコラムは、soarの#やさしさってなんだろうキャンペーンに賛同して書いたものです。自分なりの「やさしさ」とは何かを考えるきっかけになれば幸いです。

私の人生において追求したいことのひとつに『優しい世界と強い世界の両立』がある。

きっかけは友人がくれた一言だった。

これは人生において大切にしている言葉のひとつである『道徳なき経済は罪悪であり、経済なき道徳は寝言である』や、フィリップ・マーロ

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