怪我

早く起きてパパッと準備をし、インターンに向かった。バスは珍しく時間通りに来てくれたが、降りるバス停を間違えたので慌てた。結局間に合った。

休憩時間に、他のインターンの人たちと進々堂でお昼を食べた。私以外の3人はパスタやサラダランチなどを注文していたけれど、お金がない私はパン1個をもすもす食べた。
カトラリーケース内の紙ナプキンを何気なく取り、口を拭った。そのあと、隣の人がナプキンを探す仕草を見せていたので、自分が勝手に彼のナプキンを使ったことに気づいた。そもそもパンしか頼んでいない私にカトラリーがつくわけはない。間違えました、すみません…と彼に謝った。さぞ不快だろうなとびくびくしたが、まさかとは思ったんですよ、とめっちゃ笑っていたのでほっとした。

日中、恋人から「おはよう、こんばんは」「間違えた笑」と続けてラインがきていた。彼が海外にいたときは日本との時差がほぼ12時間だったので、よくこういう挨拶をしてくれていたのだ。しかしもう、私たちのあいだに時差は無い。

退勤後、スーパーでにんじんとじゃがいもと玉ねぎを買い、学生寮に帰ってカレーを作った。冷凍の肉を無理な体勢で切ったとき、勢いあまって左手の人差し指をぐさりと刺してしまった。だらだら血が流れ続け、おー、やべえ、と思った。
料理を中断し、ティッシュやウエットで止血しようとしたが、調べるとどちらもよくないらしく、キッチンペーパーがベストだった。それで止まらない血を止めながら再開し、おいしいカレーを作り上げた。

余ったカレーは寮の同級生たちに配ろうかと考えていたけれど、万が一血が混じっていたら衛生的に問題なのでやめておいた。あと、どうでもよいが血入りの料理はなんかメンヘラっぽい。

5日前に右手指を切ったばかりで、ようやく治ってきたところなのに自分どんだけ怪我するんだよ、と可笑しくなった。そういえば怪我だらけの高校生が出てくる漫画があったなと思い出し、10話を一気見した。『矢野くんの普通の日々』である。矢野くんの姿を前にして、私の怪我はまだまだだと思った。

カレーを平らげたあと、夏の曲たちを聴きながらドラッグストアまで歩いた。優秀バンドエイドが欲しかったが、6枚入800円に気後れし、25枚入400円ちょいの並バンドエイドを選んだ。
帰路、ここ最近にしては風が涼しい夜だなあと感じて気分が良かった。

私は今お風呂に入らなければならないのに、傷がしみるのではないかとびびって行けない。並バンドエイドはどこまで守ってくれるだろうか。

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