直島

9時過ぎに飛び起き、10時からのWEBインターンに向けてばばばばばと準備をした。1分前に着席すると、「10分からはじめます」と表示があった。時間ギリギリ民にはありがたすぎる…と安堵しつつ息を整えた。

この1Dayインターン、最高だった。私のあこがれの業種だし、社員さんたちは雰囲気がやわらかく、フラットで、仲が良さそうだった。今のところかなり惹かれている。

最後、対面の2Dayインターンの案内があったが、それは恋人との旅行の日にちと被っていた。「どうしても都合がつかないのですが、これは選考にどの程度関係ありますでしょうか…?」と訊くと、それが本日ラストの質問になってしまってなんとなく恥ずかしかった。べつに選考には直結しないので大丈夫らしい。
就活生なんだからそれくらい我慢しろよとも思うけれども、会いたい人には会えるうちに会っておけ論を支持する私にとっては、恋人との旅行のほうが優先度は上である。

その恋人に今日、YouTubeとかのみに上がっている、タクシープールの「直島」をおすすめした。(送りつけた。)散歩しながら聴いてみる、と返されたが、本当に聴いてくれるかはわからない。私はいまだかつて、彼がハマる曲を紹介できた試しがないように思える。私が忘れているだけだろうか。

隣のマンションの住民と窓越しに目が合った。数秒間そのままだったので戦慄したが、目を逸らしたらなにかを認めたようなものなので、真顔で見返して対抗した。おそらく向こうからするとたまたま目が合ってしまっただけだと思う。なんだか悪いことをした。カーテンをクリーニングに出したままで、室内を丸見えにしているのは私なのだ。

台風前のすずしい風の中、自転車でスーパーまで走って晩ごはんの材料を買った。
「当店のカードお持ちですかー?」「いえ、持ってないです」「…」
いつもレジを担当してくださる店員さんとのいつものやりとり。かしこまりましたーとか、はい、とかいう返答を期待するのは間違いなのかもしれない。この沈黙のあいだに彼女は何を考えているのだろう。

納豆チャーハンと、トマトと卵炒めを作った。朝に卵かけご飯を食べたのにさらに3個も卵を使い、一日の食事がたまごたまごしすぎなのでは、と少し危機感を覚える。たんぱく質過多。炭水化物過多よりはマシだろうか。
トマトは炒めすぎてびしゃびしゃになった。

くらしモアのフルーツ蒟蒻ゼリーを口直しに食べると、ディープキスみたいな甘美な食感がした。品の無い感想。具体的な相手を想起するわけではなく、概念としてのそれである。今日の日記はこのことを記録するために書き始めたので、我ながら馬鹿だなあと思う。
中学のときにクラスメイトが、牛タンを食べる友達に牛とベロチューしてる〜と言ってふざけ、焼肉屋に怒られたと話していたような、いなかったような。そんな遠い記憶が一瞬よみがえった。

寮のチャイムが鳴って、あわてて出ると郵便屋さんだった。郵便屋さんってかわいいな。正式にはなんて言うんだ、配達人か?
ほかの住人の荷物を代わりに受け取った。助かりましたー!と気持ちの良い笑顔で言う年配の配達人を見て、以前もこの方が来たことを思い出した。そのときも、いや〜助かりましたー!と笑ってくださったのでほっこりした気がする。
「助かります」はお礼系の言葉のなかでも上位で嬉しい。自分が急にヒーローになった気分である。私ももっと使っていきたい。


読んでくださってほんとに助かります。

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