箇条書き

カーペットの上で目覚めた。電気がついていた気がするが、クーラーはついていなかった。夏、窓の閉まったあかるい密室で仮死状態。
カロリーメイトを1箱摂取してから、お風呂に入って干からびたメイクを落とした。そのあとは梨を剥いて食べ、マイナスに振り切った生活に対してささやかに抵抗した。

出勤ギリギリの時刻にバイト先に着き、シャツのボタンを留めながら慌ててタイムカードを切った。好きな同僚とシフトが被る日だと期待していたけれど、その人はなぜか来なかった。

20個近く年上の先輩をふと見たとき、彼の表情に凛とした色気を感じた。思うに、すべての人は色気を持つ。

休憩時間にアマプラで『SPEC』を観た。これは大人のための厨二ドラマだと思っている。超好き。

最後の1組が、閉店時間を30分ほどオーバーしても帰る気配がなかった。まだお客様いらっしゃるんですか、と社員さんに話しかけたところ、先に上がっていいよと言われたので素直に従った。

家に帰って、また1箱カロリーメイトを摂取した。味にはとうの昔に飽きているので、ただただ惰性でしかない。

日記を毎日書くのをやめてから、「書く日」と「書かない日」の境界が明確になってきている。それは「記録に残したい日」と「残さなくてよい日」で、さらに言えば、「だれかに知ってほしい日」と「知られなくてもよい日」。今日は後者。
しかし、こういう考え方はSNSのキラキラ人間と同じ気がして、自己嫌悪している。ほんとうは、自分を作っているのは少数のハレの日ではなく大多数のケの日であり、そうした雑多でつまらない日常を愛していたい。当の私は、他人のケの日記こそを愛しているのだから。

ストーリー化した一日ではなく、箇条書きの一日こそを。

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